第1章 組織犯罪との闘い 

(1)不透明化

ア 組織の不透明化

 平成4年3月,暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴力団対策法」という。)が施行され,指定暴力団の構成員がその暴力団の威力を示して一定の不当な要求行為等を行うことが規制されたことから,同法の施行以後,暴力団は,同法の適用を逃れるため,例えば,12年以後,五代目山口組(以下「山口組」という。)では,その直系組長以外の組員が,名刺に「五代目山口組」という名称を使用しなくなるなど,回状,名札,暴力団の名称を印刷した名刺等の使用を控え,組織実態を隠ぺいするようになった。
 図1-20のとおり,暴力団対策法施行の前後で,暴力団構成員として把握される者の数が減少する一方で,暴力団準構成員(注)として把握される者の数が増加しているが,その一因として,こうした暴力団の動きがあると考えられる。


(注)暴力団準構成員とは,構成員ではないが,暴力団と関係を持ちながら,その組織の威力を背景として暴力的不法行為等を行う者,又は暴力団に資金や武器を提供するなどして,その組織の維持,運営に協力し若しくは関与する者をいう。

 
図1-20 暴力団構成員及び準構成員の構成比の推移(平成5~14年)

図1-20 暴力団構成員及び準構成員の構成比の推移(平成5~14年)
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