第1章 組織犯罪との闘い 

ウ 窃盗犯の検挙状況

 過去10年間の来日外国人窃盗犯の検挙状況は,図1-7のとおりである。
 14年中の重要窃盗犯(侵入盗,自動車盗,ひったくり,すりをいう。)の検挙件数・人員が窃盗犯全体に占める割合は,10年前と比べると,件数は34.8%であったものが昨年は41.0%に,人員は9.8%であったものが昨年は21.0%にそれぞれ増加しており,窃盗犯のうち,より悪質な重要窃盗犯の検挙が増加している傾向がうかがわれる。
 14年中の窃盗犯検挙の特徴としては,依然としてピッキング用具使用による組織的な侵入盗や自動車盗の発生が顕著であること,12年から13年にかけ減少した自動販売機荒しの検挙件数が再び増加したことなどが挙げられる。

 
図1-7 来日外国人窃盗犯検挙状況の推移(平成5~14年)

図1-7 来日外国人窃盗犯検挙状況の推移(平成5~14年)
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事例1
 中国人の男が,不法残留の中国人らを配下として,中部・関東地方を中心にピッキング用具を使用して侵入する金庫破りや空き巣ねらいを広域にわたって敢行していた事件につき,1月までに,首領を含む30人,24都府県にわたる金庫破り事件等579件(被害総額5億6,696万円相当)を検挙,解決し,窃盗組織を壊滅した(愛知,岐阜,山形,岡山)。

事例2
 14年7月,カンボジア船籍の貨物船へ積み込まれる直前の中古車に盗難車両3台が含まれていたことから,税関及び海上保安庁と連携して積荷の139台の中古車すべてを調査し,盗難車4台及び未通関車両26台を確認,それぞれ警察及び税関において押収するとともに,ロシア人の船員1人を窃盗で逮捕した。
 被疑者は,昼間,客を装って訪れた中古車販売店において自動車の鍵を偽物とすり替え,夜間に窃取するという手口で犯行を重ねていた(富山)。

 

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