第2章 交通社会の変化に対応する交通警察活動

 平成9年3月、運転免許保有者数は7,000万人を超えた。今日の社会では、多くの国民にとって、自動車を運転することは日々の生活に欠くことのできないものとなっている。しかしながら、その一方で、国民のだれもが交通事故の被害に遭う危険にさらされていることも事実である。現に、8年中の交通事故による死傷者数は90万人を超えており、国民の約132人に1人が交通事故の被害を受けたことになる。
 また、自動車交通量の増大は、交通渋滞、交通公害等の問題を深刻化させており、生活環境の悪化という弊害を生じさせている。
 今後、安全で快適な交通社会を構築するためには、これらモータリゼーションの負の側面ともいうべき問題により的確に対処していくことが必要である。特に、社会の高齢化が進む中で、高齢者が生き生きと暮らせる活力ある社会を維持するためには、高齢者の安全で自由なモビリティーを確保することが重要な課題となっている。他方、高度情報通信技術の発達により、交通管理の高度化が可能となり、このことが、交通事故、交通渋滞等の問題の解決に大きな役割を果たすことも期待される。
 交通警察は、このような社会の変化に対応し、成熟した「くるま社会」を実現することを目指している。


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