第2章 生活安全の確保と警察活動

 平成6年の我が国の犯罪情勢をみると、刑法犯認知総数は178万4,432件であり、戦後最高を記録した5年(180万1,150件)に比べて約2万件減少し、全国的に展開されている地域安全活動の成果がうかがわれるが、全体としては高水準であり、また、銃器使用犯罪が多発するなど依然として予断を許さない情勢にある。特別法犯についても、マルチ商法による被害が多数発生したほか、覚せい剤の乱用が依然として高水準で推移していることなど市民を取り巻く犯罪情勢には極めて憂慮すべきものがある。総理府が6年12月に全国的に行った「国民の生活安全に関する世論調査」においても、犯罪に対する不安を感じる人が63.3%、必ずしも犯罪に至らない問題に不安を感じる人が71.3%を占めたほか、今後全国的にみて犯罪は増えると思う人が88.7%に達するなど、市民の犯罪、事故等に対する不安感は確実に増大していると考えられる。
 警察は、これらの状況に的確に対応し、市民生活の安全と平穏を確保するため、犯罪、事故及び災害の予防、犯罪等への適切な対応(検挙活動等)、犯罪等の被害の拡大防止と回復の諸活動を行うとともに、薬物乱用の防止、良好な風俗環境の保持、少年の非行防止、正常な経済活動の確保のための諸対策等を強力に推進することとしている。

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