革マル派は、組織拡大に重点を置き、党派色を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っています。平成17年中も、「イラク反戦・反安保、改憲阻止」を闘争の重点として労働運動や大衆運動に取り組み、引き続き、労働組合、大衆団体等に対する自派勢力の拡大を図りました。 労働運動では、憲法改正問題への対応をめぐり、連合、日教組、全教、自治労、JPU(旧全逓)、NTT労組等の主要な労働組合の執行部を、「体制翼賛の労働運動指導部」などと批判して、定期大会や定期委員会等の会場付近で、執行部を批判するビラを配布しました。特に、連合に対しては、会長選挙が行われた第9回定期大会(10月、東京)の開催前に、連合に加盟する多数の労働組合に対して「徴兵制・核武装を肯定する高木の会長選出反対」を訴えるビラを送付しました。 また、4月25日に発生した「JR西日本福知山線列車事故」をめぐっては、JR西日本に対して、「日勤教育」の問題をとらえて「安全性を無視した利潤第一主義」などと、また、JR連合に加盟するJR西労組に対して、「当局につき従う西労組ダラ幹」などとそれぞれ批判して、兵庫県内及び大阪府内のJR駅前でビラを配布しました。 一方、JR東労組内では、元顧問を絶対視する執行部を支持するグループと、これに反発して中央執行委員を辞任した8人等を支持するグループとの対立が14年から継続していますが、この問題に関しては、機関紙等での論評はみられませんでした。 大衆運動では、陸上自衛隊のイラク派遣に対して、派遣部隊が所属する部隊の駐屯地の周辺で集会、デモを実施するなど、反戦闘争に取り組みました。憲法改正問題、「日の丸・君が代」問題、住基ネット問題等をめぐっては、党派色を隠して市民団体が主催する集会等に参加し、シンパ層の拡大を図りました。 なお、7月7日に発生した「英国・ロンドンにおける同時多発テロ事件」に対して、「ブッシュ帝国が米CIAおよびMI6・MI5をも組織して仕組んだ謀略」などと「権力謀略論」に基づく主張を唱え、同派の特異な体質をうかがわせました。 革マル派は、18年も、勢力の維持、拡大を図るため、労働運動への介入を強めるとともに、反戦、憲法改正問題等を中心に大衆運動に取り組むものとみられます。また、中核派等の対立セクト、JR関係者、警察等に対する違法な調査活動を行うものとみられます。 |
![]() ブッシュ米国大統領来日時に取り組まれたデモ(11月、京都) |
中核派は、3年以降、「将来の武装闘争に備えて、「テロ、ゲリラ」戦術を堅持しつつも、一時的に組織拡大のため労働者中心の活動に重点を置く」(3年「5月テーゼ」)との方針に基づいて、労働運動、大衆運動等を通じて組織を拡大していく活動を行っています。特に、同派が「四大産別」と呼称する自治体、郵政、教育、JRの各労働組合の中に、活動家や同調者を増やす活動を最重要の取組課題としています。 |
![]() 「全国労働者総決起集会」開催時のデモ(11月、東京) |