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 右翼は、政治、外交、領土、歴史等の諸問題をとらえて、関係国や政府等に対する抗議活動を活発に行いました。
 特に、平成17年は、中国や韓国における反日運動の盛り上がり等に対する批判を強めたほか、戦後60年の節目として、靖国問題や憲法問題等をとらえた活動を活発に行いました。
 このほか、日本人拉致(らち)容疑事案等をとらえた北朝鮮批判や、北方領土問題をとらえたロシア批判も継続して行いました。
 右翼は、今後も内外の諸問題に敏感に反応して、関係国や政府等に対する抗議活動を活発に展開するものとみられ、その過程で、政党要人、政府機関、外国公館、報道機関等に対し、テロ等重大事件を引き起こすおそれがあります。


右翼による街頭宣伝活動(3月、兵庫)

 一部の右翼は、企業等の糾弾活動と称して、街頭宣伝車を利用し大音量で執ような街頭宣伝活動を行い、騒音被害や交通渋滞を引き起こすなど、市民生活の平穏を害しています。
 17年中、糾弾活動の対象となった企業は、約220社に上りました。糾弾を受けた企業側では、民事保全法に基づき街頭宣伝活動を制限する仮処分命令を裁判所に申し立てるなどしています。一部の右翼は、今後も悪質な街頭宣伝活動を展開するとともに、取締りや仮処分命令を免れるため、その手法を一層巧妙化するものとみられます。

 右翼は、その活動の過程において、時に「テロ、ゲリラ」事件を敢行するほか、資金活動や街頭宣伝活動に伴い多数の事件を引き起こしています。

1 テロ等重大事件の未然防圧

 17年中は、「明治神宮宮司私邸に対する邸宅侵入・器物損壊事件」(2月、警視庁)、「中國銀行横浜支店に対する火炎びん処罰法違反事件」(4月、神奈川)、「在大阪中国総領事館に対する器物損壊事件」(7月、大阪)、「原爆慰霊碑に対する器物損壊事件」(7月、広島)、「西本願寺に対する現住建造物等放火未遂並びに銃刀法違反等事件」(9月、京都)の5件の「テロ、ゲリラ」事件が発生し、右翼構成員等5人を逮捕しました。
 また、このほか、右翼によるテロ等重大事件を未然防圧するため、各種情報活動を推進し、銃器の摘発に努め、17年中は、右翼及びその周辺者からけん銃18丁を押収しました。

2 右翼による違法行為の取締り

 17年中の右翼による違法行為の検挙件数は1,647件、検挙人員は2,095人で、16年と比べてほぼ横ばい状態で推移しています。
 これらの事件のうち、右翼運動に伴って発生したものは203件(検挙人員は485人)で、全検挙件数の約12%に過ぎません。一方、恐喝事件は146件(検挙人員は379人)であり、これが全検挙罪種(道路交通法違反を除く。)の第1位となるなど、悪質な資金源犯罪が高い割合を占めています。
 また、市民の平穏な生活に支障を及ぼす悪質な街頭宣伝活動については、暴騒音規制条例違反等で2件6人を検挙したほか、その内容や形態をとらえ、名誉毀損(きそん)、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、強要等により、80件134人(16年中は74件226人)を検挙しました。


不正改造街頭宣伝車に対する取締状況(6月、大阪)

 


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