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第4章 支援等のための体制整備への取組

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1 相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)

コラム10 地域における犯罪被害者支援体制の整備促進事業

警察庁では、地域における犯罪被害者支援体制の整備促進事業として、研修会等を都道府県・政令指定都市と共催している。平成28年度は、岩手県、大阪府、山口県、高知県、沖縄県及び横浜市において開催した。

このうち、高知県、沖縄県及び横浜市の事例について紹介する。

【高知県】

高知県では、28年2月に県内全市町村において犯罪被害者等に対する総合的対応窓口が設置された。これを踏まえて、28年11月、犯罪被害者支援に関する基礎知識等を学び、総合的対応窓口の充実促進を図るため、総合的対応窓口担当課の職員を対象とした研修会を開催した。

研修会では、警察庁長官官房参事官(犯罪被害者等施策担当)阿波亮子が犯罪被害者等施策における地方公共団体の役割について講演したほか、被害者御遺族である市原千代子氏(おかやま犯罪被害者サポートファミリーズ理事)より犯罪被害者等から見た犯罪被害者支援について御講演いただき、犯罪被害者支援における地方公共団体の役割やその重要性について参加者の理解を深めた。

また、高知県警察本部警務部県民支援相談課、法テラス高知、認定特定非営利活動法人こうち被害者支援センター及び高知県文化生活部県民生活・男女共同参画課の各担当者から、それぞれの機関の取組について説明がなされた。

さらに、グループワークとして、交通事故被害の事例をもとに、市町村でどのような支援ができるのかなどについて意見交換を行った。

参加者からは、「犯罪被害者等の状況や苦しみについて理解が深まった。」、「どのような支援ができるのか考えることができた。」、「初めて聞く話が多く、勉強になった。」等の感想が寄せられ、今後の市町村における総合的対応窓口の充実を進めていく上で、非常に有益な研修会となった。

【沖縄県】

沖縄県では、毎年、市町村の総合的対応窓口担当者等を対象に、犯罪被害者等相談業務に必要な基礎知識の習得等を目的とした研修を行っており、28年度は警察庁と共催で、那覇市内で研修会を開催した。

研修会では、沖縄弁護士会の林千賀子弁護士より、家庭内暴力(DV)の被害者・加害者に見られる特徴やその家庭環境等のバックグラウンド、法的支援の概要、関係機関による連携支援の重要性とともに、様々な手続のメリット・デメリットを一緒に考えながらも、最終的な意思決定を被害者本人に委ねることが重要であることについて御講演いただいた。

また、家庭内暴力(DV)の被害者からの相談事案に対し、地方公共団体、警察及び被害者支援関係機関がどのように連携して支援するかについて考えるための映像を制作し、研修会の教材として活用した。同映像は、後日、各地方公共団体及び支援関係機関において活用するため、DVDとして配布した。

参加者からは、「自身の体験及び事例を交えた講演で説得力があり、これからの支援につなげるきっかけとなった。」、「基本的な知識や法的な手続の流れを整理することができた。」、「各機関の行う支援が異なるため、各機関の連携が重要であると分かった。」等の感想が寄せられ、今後、関係機関が連携支援を進めていく上で、有意義な取組となった。

沖縄県における研修会の様子
沖縄県における研修会の様子

【横浜市】

横浜市では、27年度に「途切れない支援のために関係機関の連携を『見える化』する事業」を行い、参加した関係機関が、互いの役割や犯罪被害者等に生じる生活上の困りごと(ニーズ)と支援の必要性について理解を深めるなど、多くの成果があった。

28年度には、各機関が連携を強化して犯罪被害者等に対するより適切な支援を行えるよう、多機関で共通使用できるツールの開発を目的に、「途切れない支援のための共通支援ツールの検討事業」を実施した。

28年10月から29年1月までの間、多機関連携に関するスーパーバイザーとして帝京平成大学の大塚淳子教授、助言者として犯罪被害者御家族、御遺族の協力の下、各機関の相談支援責任者や実務者の参加を得て、関係機関合同会議や、仮想事例を用いた事例検討(シミュレーション)等のグループ検討会を重ねた。

本事業により、犯罪被害者等のニーズを漏れなく把握するためのニーズアセスメントシート等から成る「共通支援ツール」を作成した。また、本事業を通じて、途切れない支援の実現のためには、犯罪被害者等の心情を十分に理解した上での情報提供や、各機関の役割・専門性の相互理解を踏まえた丁寧な引継ぎ等、犯罪被害者等を中心とした連携が重要であることについて、改めて認識を共有することができた。

共通支援ツール検討会の様子
共通支援ツール検討会の様子

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