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犯罪被害者等施策に関する基礎資料

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6.第3次犯罪被害者等基本計画(平成28年4月1日閣議決定)

V 重点課題に係る具体的施策

第2 精神的・身体的被害の回復・防止への取組

1 保健医療サービス及び福祉サービスの提供(基本法第14条関係)
(1) 「PTSD対策に係る専門家の養成研修会」の内容の充実等

【施策番号39】

厚生労働省において、医師、保健師、精神保健福祉士等の医療従事者等を対象に、「PTSD対策に係る専門家の養成研修会」を実施し、犯罪被害者等の精神的被害及び犯罪被害者等施策について、医療・福祉関係者に対する知識の普及・啓発を推進する。また、都道府県・指定都市等の行政機関へ研修者終了名簿を配布し、相談体制の充実を図る。さらに、関係機関である国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所において実施した「犯罪被害者メンタルヘルス研修」の効果を踏まえて、新たな取組を検討する。【厚生労働省】

(2) PTSDの診断及び治療に係る医療保険適用の範囲の拡大

【施策番号40】

PTSDの診断及び治療に係る医療保険適用の範囲の拡大については、有効性・安全性に関する科学的評価が得られたものについて、診療報酬改定時に必要に応じて措置を講ずる。【厚生労働省】

(3) PTSD治療の可能な医療機関についての情報提供

【施策番号41】

厚生労働省において、病院等の医療機関の医療機能に関する情報を住民・患者に対して提供する制度を医療機能情報提供制度として運用している。この制度においては、PTSD等の各疾病の治療に対応可能な医療機関を検索することが可能となっており、引き続き制度の周知に努める。【厚生労働省】

(4) PTSD治療に係る自立支援医療制度の利用の周知

【施策番号42】

厚生労働省において、PTSD治療(保険診療に限る。)が障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)に基づく自立支援医療(精神通院医療)の対象となることについて、自立支援医療制度の実施主体である都道府県等に対し改めて周知し、啓発を行う。【厚生労働省】

(5) 犯罪被害者等への適切な対応に資する医学教育の促進

【施策番号43】

文部科学省において、医学部関係者が参加する各種会議での要請や「医学教育モデル・コア・カリキュラム」(※1)等を通じて、医学部においてPTSD等の精神的被害に関する知識・技能及び犯罪被害者等への理解を深める教育を推進する。また、厚生労働省において、臨床研修の到達目標等を通じて、医学部卒業生の精神疾患に対する初期対応と治療の実際への理解を促進する。【文部科学省、厚生労働省】

(6) 精神保健福祉センターに対する犯罪被害者等支援業務についての理解促進

【施策番号44】

厚生労働省において、精神保健福祉センターにおいて犯罪被害者等に対する心の健康回復のための支援が適切に行われるよう、精神保健福祉センター長会議において必要に応じて犯罪被害者等に関する議題を取り上げる。【厚生労働省】

(7) 地域格差のない迅速かつ適切な救急医療の提供

【施策番号45】

厚生労働省において、地域格差なく迅速かつ適切な救急医療が提供されるよう、初期、二次、三次の救急医療体制の整備を図るとともに、総務省と連携し、メディカルコントロール体制(※2)の充実強化を図る。【厚生労働省】

(8) 救急医療に連動した精神的ケアのための体制整備

【施策番号46】

厚生労働省において、救急医療における犯罪被害者等の精神的ケアに対応するため、救急医療体制における精神科医との適切な連携体制の確保を図る。【厚生労働省】

(9) 交通事故による重度後遺障害者に対する医療の充実等

【施策番号47】

国土交通省及び独立行政法人自動車事故対策機構において、自動車事故による重度後遺障害者が質の高い治療・看護を受けられる機会を拡充するため、地理的要因や既存病床の利用状況等を踏まえて、療養施設機能一部委託病床の立地等のあり方について平成28年度末までに検討を行う。また、自動車事故による重度後遺障害者に対する介護料の支給や、短期入院・入所に係る助成を推進するとともに、介護料受給者宅を訪問して介護に関する相談や情報提供等を行う訪問支援の充実・強化を図る。【国土交通省】

(10) 高次脳機能障害者への支援の充実

【施策番号48】

厚生労働省において、高次脳機能障害が障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)に基づいて市町村が実施主体となっているサービスの対象であるという更なる周知を行う。また、都道府県において、患者・家族からの相談への対応や普及啓発等を行う「高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業」を実施する。【厚生労働省】

(11) 思春期精神保健の専門家の養成

【施策番号49】

厚生労働省において、平成13年度から実施している医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、児童相談員等を対象とした思春期精神保健の専門家の養成研修を継続して実施し、思春期精神保健の専門家を養成するとともに、児童虐待や配偶者等からの暴力の被害者の心理と治療・対応についての研修を実施する。【厚生労働省】

(12) 被害少年等のための治療等の専門家の養成、体制整備及び施設の増強に資する施策の実施

【施策番号50】

厚生労働省において、被害少年等について、犯罪被害者等に特有の対応を要する面があることを踏まえ、全国的に治療又は保護を行う専門家が不足し、そのための体制及び施設が十分ではないことを前提に、現状に関する必要な調査を行い、その上で、被害少年等が利用しやすく、地域的な隔たりなく十分な治療・配慮を受けられ、また、十分な期間保護が受けられるようにするため、児童精神科医等専門家の適正な配置や連携体制の整備及び施設の増強に資する施策を実施するとともに、専門の医療機関等についての情報提供を行う。【厚生労働省】

(13) 里親制度の充実

【施策番号51】

厚生労働省において、被害少年等の保護に資するよう、里親支援機関事業による里親の支援等により、里親制度の充実を図る。【厚生労働省】

(14) 児童虐待に対する夜間・休日対応の充実等

【施策番号52】

ア 厚生労働省において、児童相談所が夜間・休日を問わず虐待通告等の緊急の相談にいつでも応じられるよう、その体制整備に努める。【厚生労働省】

【施策番号53】

イ 厚生労働省において、児童虐待を受けた児童に対する医療ケアの重要性に鑑み、地域の医療機関との協力・連携体制の充実に努める。【厚生労働省】

(15) 被害少年等の保護に関する学校及び児童相談所等の連携の充実

【施策番号54】

文部科学省及び厚生労働省において、被害少年等の保護に関し、要保護児童対策地域協議会を活用するなど、学校と児童相談所等被害少年等の保護に資する関係機関との連携を充実する。【文部科学省、厚生労働省】

(16) 被害少年等に対する学校におけるカウンセリング体制の充実等

【施策番号55】

ア 文部科学省において、犯罪被害者等を含む児童生徒の相談等に的確に対応できるよう、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の適正な配置や犯罪等の被害に関する研修等を通じた資質の向上を通じて、平成31年度までにスクールカウンセラーを全公立小中学校に配置し、スクールソーシャルワーカーも全公立中学校区に配置することにより、学校における教育相談体制を充実させる。【文部科学省】

【施策番号56】

イ 文部科学省において、犯罪被害者等である児童生徒に対する心のケアについても、大学の教職課程におけるカウンセリングに関する教育及び教員に対するカウンセリングに関する研修内容に含めるなどその内容の充実を図るよう促す。【文部科学省】

(17) 被害少年が受ける精神的打撃軽減のための継続的支援の推進

【施策番号57】

警察において、被害少年が受ける精神的打撃の軽減を図るため、保護者の同意を得た上で、カウンセリングの実施、関係者への助言、犯罪被害者等早期援助団体を始めとする民間被害者支援団体への紹介等の支援を継続的に推進する。【警察庁】

(18) 警察における性犯罪被害者に対するカウンセリングの充実

【施策番号58】

警察庁において、性犯罪被害者の精神的被害回復に資するため、臨床心理士資格等を有する部内カウンセラーの活用や、警察によるカウンセリング費用の公費負担制度の運用が効果的なものになるよう、都道府県警察を指導するとともに、都道府県警察における部内カウンセラーの配置状況やカウンセリング費用の公費負担制度の措置状況を毎年公表する。【警察庁】

(19) 性犯罪被害者に対する緊急避妊に関する情報提供

【施策番号59】

厚生労働省において、性犯罪被害者を含め、緊急避妊を必要とする者が緊急避妊の方法等に関する情報を得られるよう、保健所や女性健康支援センター等による情報提供を図る。【厚生労働省】(再掲:第4,1(7)(156)

(20) 性犯罪被害者対応における看護師等の活用

【施策番号60】

厚生労働省において、内閣府、警察庁及び文部科学省の協力を得て、医療機関に対して、性犯罪に関する専門的知識・技能を備えた看護師、助産師等の活用について啓発を推進する。【厚生労働省】(再掲:第4,1(8)(157)

(21) ワンストップ支援センターの設置促進

【施策番号61】

性犯罪被害者のためのワンストップ支援センター(医師による心身の治療、医療従事者・民間支援員・弁護士・臨床心理士等による支援、警察による事情聴取等の実施が可能なセンター。以下「ワンストップ支援センター」という。)の設置を促進するため、以下の施策を推進する。(再掲:第4,1(10)(159~163)

ア 警察庁において、内閣府及び厚生労働省の協力を得て、性犯罪被害者が必要としている支援を迅速かつ適切に提供できるよう、「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター開設・運営の手引」の活用促進や「犯罪被害者等施策メールマガジン」を通じた情報提供等により、地方公共団体における性犯罪被害者支援に係る関係部局や医療機関、犯罪被害者等の援助を行う民間の団体間の連携・協力の充実・強化を要請する。【警察庁、内閣府、厚生労働省】

【施策番号62】

イ 内閣府において、相談員等に対し、性犯罪を含む女性に対する暴力の被害者支援に関する研修を実施し、相談体制の充実を図る。【内閣府】

【施策番号63】

ウ 厚生労働省において、都道府県等の協力を得て、犯罪被害者支援団体、医師等医療関係者等から、ワンストップ支援センター開設に向けた相談があった場合には、協力が可能な医療機関の情報を収集し、当該犯罪被害者支援団体等に提供する。【厚生労働省】

【施策番号64】

エ 厚生労働省において、医療機能情報提供制度の充実を図るとともに、当該制度によりワンストップ支援センターを施設内に設置している医療機関を検索することができることの周知を図る。【厚生労働省】

【施策番号65】

オ 上記施策のほか、関係府省庁において、必要に応じて連携し、ワンストップ支援センターを含む性犯罪被害者の支援体制の充実のための施策を検討する。【内閣府、警察庁、厚生労働省】

(22) 犯罪被害者等に関する専門的知識・技能を有する専門職の養成等

【施策番号66】

ア 警察庁において、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会及び一般社団法人日本臨床心理士会に働き掛け、犯罪被害者等に関する専門的な知識・技能を有する臨床心理士の養成及び研修の実施を促進する。【警察庁】

【施策番号67】

イ 警察庁及び厚生労働省において連携し、公益社団法人日本社会福祉士会、公益社団法人日本精神保健福祉士協会及び公益社団法人日本看護協会に働き掛け、犯罪被害者等に関する専門的な知識・技能を有する社会福祉士等の養成及び研修の実施を促進する。【警察庁、厚生労働省】

(23) 法科大学院における教育による犯罪被害者等への理解の向上の促進

【施策番号68】

文部科学省において、各法科大学院が、自らの教育理念に基づき多様で特色のある教育を展開していく中で、犯罪被害者等に対する理解の向上を含め、真に国民の期待と信頼に応え得る法曹の養成に努めるよう促す。【文部科学省】

(24) 犯罪被害者等に対する医療機関に関する情報の周知

【施策番号69】

厚生労働省において、犯罪被害者等が利用しやすいように、医療機関の情報を周知させるとともに、関係機関において、当該情報を共有し、適時適切に犯罪被害者等に提供する。【厚生労働省】

(25) 犯罪被害者等の受診情報等の適正な取扱い

【施策番号70】

ア 厚生労働省において、犯罪被害者等の受診情報が医療機関や保険者から流出しないよう、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、医療機関や保険者に対して適切に対応する。【厚生労働省】

【施策番号71】

イ 金融庁において、犯罪被害者等の保健医療に関する情報を始めとする個人情報の取扱いに関し、損害保険会社に問題があると認められる場合には、保険業法(平成7年法律第105号)に基づき、保険会社に対する検査・監督において適切な対応をする。【金融庁】

2 安全の確保(基本法第15条関係)
(1) 判決確定、保護処分決定後の加害者に関する情報の犯罪被害者等への提供の適正な運用

【施策番号72】

法務省において、「被害者等通知制度」に基づき、犯罪被害者等の希望に応じた、判決確定後の加害者に関する処遇状況や保護処分決定後の加害者に関する処遇状況等の情報提供について、関係機関とも連携・調整を図りつつ、引き続き円滑かつ適正な運用に努める。保護観察所においては、保護観察の開始に関する事項を通知する際、心情等伝達制度を含む更生保護における犯罪被害者等施策に関するリーフレット等を添付するなどして、通知制度を利用している犯罪被害者等に同制度の周知を図り、問合せに応じて説明を行うことについて、引き続き適正な運用に努める。【法務省】

(2) 加害者に関する情報提供の適正な運用

【施策番号73】

法務省において、再被害防止のため、警察の要請に応じ、刑事施設、地方更生保護委員会及び保護観察所が警察に対して行う釈放予定、帰住予定地及び仮釈放中の特異動向等の情報提供、再度の加害行為のおそれを覚知した検察官、刑事施設、地方更生保護委員会及び保護観察所による警察への当該情報の連絡について、関係者に周知徹底させ、引き続き、円滑かつ適正な運用に努める。【法務省、警察庁】

(3) 警察における再被害防止措置の推進

【施策番号74】

ア 警察において、子供を対象とする暴力的性犯罪の再犯防止を図るため、法務省からそれらの前歴者の出所情報の提供を受け、出所後の居住状況等の定期的な確認を含めた対策に努める。【警察庁】

【施策番号75】

イ 警察において、同じ加害者により再び危害を加えられるおそれのある犯罪被害者等を「再被害防止対象者」に指定するとともに、加害者を収容している刑事施設等と密接に連携を図り、防犯指導・警戒等の再被害防止の措置を推進する。また、再被害防止への配慮が必要とされる場合には、関係機関と連携し、犯罪被害者等の個人情報に配慮した上で、事案に応じた柔軟な対応に努める。【警察庁】

(4) 警察における保護対策の推進

【施策番号76】

暴力団等による保護対象者に対する危害を未然に防止するため、暴力団等から危害を受けるおそれのある者を保護対象者として指定し、その者が危害を受けるおそれの程度に応じ、その危害を防止するための必要な措置を講じるなど、警察組織の総合力を発揮した保護対策を推進する。【警察庁】

(5) 保釈に関しての犯罪被害者等に対する安全への配慮の充実

【施策番号77】

法務省において、加害者の保釈申請がなされた場合には、事案に応じ、改めて犯罪被害者等に連絡して事情聴取するなどして、裁判所に提出する検察官意見に犯罪被害者等の意見を適切に反映させるとともに、保釈申請に対する結果について犯罪被害者等に連絡するなど、犯罪被害者等の安全確保により一層配慮するように努める。【法務省】(再掲:第3,1(8)(123)

(6) 再被害防止に向けた関係機関の連携の充実

【施策番号78】

ア 警察庁及び厚生労働省において、配偶者等からの暴力の被害者、人身取引の被害者、児童虐待の被害者等の保護に関する警察、婦人相談所及び児童相談所等の連携について、現状に対する犯罪被害者等の意見・要望を踏まえ、一層充実させる。【警察庁、厚生労働省】

【施策番号79】

イ 警察庁及び文部科学省において、警察と学校等関係機関の通報連絡体制の活用、児童虐待防止ネットワークの活用、加害少年やその保護者に対する指導等の一層の充実を図り、再被害の防止に努める。【警察庁、文部科学省】

(7) 犯罪被害者等に関する情報の保護

【施策番号80】

ア 法務省において、証拠開示の際に証人等の住居等が関係者に知られることがないように求める制度、性犯罪の被害者等に関し公開の法廷では氏名、住所その他被害者が特定されることとなる事項を明らかにしない制度について、周知を徹底させるとともに、検察官等の意識を向上させる。また、証人への付添い、遮へい等の犯罪被害者等の保護のための措置について周知徹底を図り、一層適正に運用されるよう努める。更生保護官署においても、保管する犯罪被害者等を含む個人情報を適切に管理するよう周知徹底を図る。【法務省】

【施策番号81】

イ 法務省において、検察官が、ストーカー事案について、所要の捜査を遂げた上、事案に応じた適切な処分を行うとともに、捜査・公判の各段階において、被害者等に関する情報の保護に配慮するなど、適切な対応に努める。【法務省】

【施策番号82】

ウ 日本司法支援センターにおいて、常勤弁護士を含む職員に対し、犯罪被害者等の個人情報の取扱いに十分留意するよう指導を行う。【法務省】

【施策番号83】

エ 市区町村における「ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者の保護のための住民基本台帳事務における支援措置」、「DV被害者等の住所等の記載がある届書等に関する戸籍法第48条第2項に基づく届書等の記載事項証明書等の取扱い」及び「ドメスティック・バイオレンス及びストーカー行為等の被害者に係る選挙人名簿の抄本の閲覧に関する取扱いの周知徹底」、運輸支局等における登録自動車の「登録事項等証明書の交付請求に係る配偶者からの暴力、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者の保護のための取扱い」、軽自動車検査協会における「軽自動車の申請等に係る、配偶者からの暴力、ストーカー行為、児童虐待及びこれらに準ずる行為等の被害者の保護のための取扱い」、法務局における「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第1条第2項に規定する被害者等が登記義務者となる所有権その他の権利の移転の登記の前提としての住所の変更の登記の要否」、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第1条第2項に規定する被害者が登記権利者となる所有権の移転の登記における登記権利者の住所の取扱いについて」、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第1条第2項に規定する被害者が登記義務者又は登記権利者とならないが、添付情報に当該被害者の現住所が記載されている場合における閲覧の方法について」及び「DV被害者等から供託物払渡請求書の住所等の秘匿に係る申出があった場合における措置」について、引き続き、これらの手続の周知を図るとともに、厳格な運用により犯罪被害者等に係る情報の管理の徹底を図る。【総務省、法務省、国土交通省】

【施策番号84】

オ 警察による被害者の実名発表、匿名発表については、犯罪被害者等の匿名発表を望む意見と、マスコミによる報道の自由、国民の知る権利を理由とする実名発表に対する要望を踏まえ、プライバシーの保護、発表することの公益性等の事情を総合的に勘案しつつ、個別具体的な案件ごとに適切な発表内容となるよう配慮する。【警察庁】(再掲:第5,1(18)(255)

(8) 一時保護場所の環境改善等

【施策番号85】

ア 厚生労働省において、児童相談所及び婦人相談所による一時保護や婦人保護施設及び民間シェルター等への一時保護委託の実施について適正な運用に努める。【厚生労働省】(再掲:第1,3(2)ア(25)

【施策番号86】

イ 厚生労働省において、「少子化社会対策大綱」(平成27年3月20日閣議決定)により、平成31年度末までに、個別対応できる児童相談所一時保護所の環境改善を実施する。【厚生労働省】(再掲:第1,3(2)イ(26)

(9) 児童虐待の防止、早期発見・早期対応のための体制整備等

【施策番号87】

ア 警察において、子供の死亡例に関する適切な検視等の実施に資する教育、児童虐待の発見に資する指導・教育、児童の保護等を行う職員に対する虐待を受けた児童の特性等に関する教育等職員の児童虐待に関する知識・技能の向上に努める。【警察庁】

【施策番号88】

イ 文部科学省において、学校・教育委員会等に対し、学校教育関係者など職務上虐待を受けている子供を発見しやすい立場にある者が虐待発見時に適切に対応できるよう、早期発見・早期対応のための体制の整備や的確な対応を促す。具体的には、教職員が児童相談所等への通告義務を負うことの周知徹底を図るとともに、教育機関等から福祉部門への定期的な情報提供、教師用研修教材の活用や児童相談所職員との合同研修への参加等を促す。【文部科学省】

【施策番号89】

ウ 文部科学省において、児童虐待の防止に資するよう、地域人材や専門家等で構成する家庭教育支援チームによる家庭教育に関する取組を広く推進し、情報や学習機会の提供、訪問型支援等の相談対応の充実、家庭と地域とのつながりづくりや学校との連携等の地域の活動を支援する。【文部科学省】

【施策番号90】

エ 厚生労働省において、児童虐待の早期発見・早期対応に資するため、全国児童相談所所長会議等を通じ、児童相談所の体制の強化、児童相談所を中心とした多種多様な関係機関の連携及び児童虐待の防止に関する地域住民の理解向上への取組を促すとともに、全国の好事例を収集し、周知徹底を図る。【厚生労働省】

(10) 児童虐待防止のために行う児童の死亡事例等の検証の実施

【施策番号91】

厚生労働省において、児童虐待防止のため、社会保障審議会児童部会の下に設置された「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」での児童の死亡事例等の検証を行う。【厚生労働省】

(11) 再被害の防止に資する教育の実施等

【施策番号92】

法務省において、犯罪被害者等の心情等を理解させるための「被害者の視点を取り入れた教育」について、犯罪被害者等や犯罪被害者支援団体の意見を踏まえながら、矯正施設における受刑者等に対する改善指導・矯正教育等の充実に努める。また、家庭裁判所、検察庁等から矯正施設に送付される資料の中に犯罪被害者等の心情等が記載されている場合には、同資料を被収容者に対する指導に有効活用するよう努める。【法務省】(再掲:第3,1(24)ア(143))

(12) 再被害の防止に資する適切な加害者処遇

【施策番号93】

ア 法務省において、仮釈放等に際し、地方更生保護委員会が、事案に応じた犯罪被害者等の安全確保に必要な遵守事項の適切な設定に努め、保護観察所が、当該遵守事項を遵守させるための加害者に対する指導監督を徹底する。【法務省】

【施策番号94】

イ ストーカー行為等により保護観察付執行猶予となった者については、被害者との接触を禁止する等の特別遵守事項を適切に設定することや、その遵守状況を的確に把握し、指導監督することが必要であり、保護観察所と警察との緊密かつ継続的な連携によって、当該対象者の特異動向等を双方で迅速に把握して、必要な措置を講ずる。【警察庁、法務省】

【施策番号95】

ウ 法務省において、犯罪被害者等の意向等に配慮し、謝罪及び被害弁償に向けた保護観察処遇における効果的なしょく罪指導を徹底する。【法務省】

(13) 再被害防止のための安全確保方策の検討

【施策番号96】

内閣府、警察庁及び法務省が連携し、ストーカー事案や配偶者等からの暴力事案を始め被害者等が同一の加害者から再び被害を受けている実態やそのおそれ等を把握した上で、関係省庁とも連携して被害者等の安全確保方策について検討する。【内閣府、警察庁、法務省】

3 保護、捜査、公判等の過程における配慮等(基本法第19条関係)
(1) 職員等に対する研修の充実等

【施策番号97】

ア 内閣府において、二次的被害防止の観点から、相談員等が性犯罪を含む女性に対する暴力の被害者の置かれた立場を十分に理解し、適切な対応をすることができるよう、研修を実施する。【内閣府】

【施策番号98】

イ 警察において、採用時及び上位の階級又は職に昇任した際に行われる教育、専門的知識を必要とする職務に従事する実務担当者に対する教育、被害者・遺族等を招請して行う講演会、被害者支援担当者による各警察署に対する巡回教育、犯罪被害者等支援の体験記の配布、犯罪被害者等早期援助団体を始めとする民間被害者支援団体等との連携要領についての教育、性犯罪被害者への支援要領についての教育等、職員の犯罪被害者等への適切な対応を確実にするための教育等の充実を図り、職員の対応の改善を進めるとともに、二次的被害の防止に努める。【警察庁】

【施策番号99】

ウ 警察において、配偶者等からの暴力事案に的確に対処することができるよう、その担当者に対して必要な教育を行う。【警察庁】

【施策番号100】

エ 警察庁において、都道府県警察の被害児童支援担当者等を対象とした研修を開催し、被害児童支援の知識及び被害児童の心情に配意した聴取技能の向上を図る。【警察庁】

【施策番号101】

オ 法務省において、検察官、検察事務官に対する各種研修の機会における「犯罪被害者支援」等のテーマによる講義の実施、犯罪被害者等早期援助団体への検察官の派遣、矯正施設職員に対する犯罪被害者団体等の関係者を招へいしての講義等の実施、更生保護官署職員に対する犯罪被害者等支援の実務家による講義等の実施、全国の地方検察庁に配置されている被害者支援員を対象とする研修における犯罪被害者等に関する諸問題についての講義等の実施など、職員の犯罪被害者等への適切な対応を確実にするための教育・研修等の充実を図り、職員の対応の向上に努める。【法務省】(再掲:第4,2(8)イ(218)

【施策番号102】

カ 法務省において、検察幹部が犯罪被害者等の心情等に理解を深めることに資するためのセミナーの実施や、検察官に市民感覚を学ばせるため、公益的活動を行う民間団体や民間企業に一定期間派遣する研修を実施するなどし、職員の対応の向上に努める。【法務省】

【施策番号103】

キ 法務省において、検察官に対する研修の中で、児童や女性の犯罪被害者等と接する上での留意点等を熟知した専門家等による講義を実施し、児童及び女性に対する配慮に関する科目の内容の一層の充実を図る。【法務省】(再掲:第3,1(20)(138)第4,2(8)ア(217)

【施策番号104】

ク 法務省において、副検事に対する研修の中で、交通事件の留意点等を熟知した専門家等による講義を行うとともに、被害者及び被害者遺族の立場等への理解を深めるための機会を設けるなど、交通事件をテーマとした科目の内容について一層の充実を図る。【法務省】(再掲:第3,1(19)(137)

【施策番号105】

ケ 法務省において、犯罪被害者等からの事情聴取に当たり、可能な限り、そのプライバシー、名誉、心身の状況、社会的立場等に十分配慮するよう、検察官等の意識を向上させる。【法務省】

【施策番号106】

コ 日本司法支援センターにおける犯罪被害者支援の窓口となる犯罪被害者等への情報提供を担当する職員に対して、二次的被害防止のための方策等の研修を実施する。【法務省】

【施策番号107】

サ 厚生労働省において、民生委員・児童委員が犯罪被害者等を含め、地域住民に対する適切な相談支援を行うことができるよう、その資質向上のための研修の実施を支援する。【厚生労働省】

【施策番号108】

シ 厚生労働省において、公的シェルターにおける犯罪被害者等への適切な対応を確実にするための研修及び啓発の充実を図る。また、婦人保護施設における性犯罪被害者支援の現状についての実態を把握しつつ、全国婦人保護施設長等研究協議会や全国婦人保護施設等指導員研究協議会の場を活用して職員の専門的な資質向上を図るとともに、都道府県が実施する婦人相談所や婦人保護施設の職員、婦人相談員等を対象とした研修の取組を促進する。【厚生労働省】

(2) 女性警察官の配置等

【施策番号109】

警察において、警察本部や警察署の性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置及び実務能力の向上、事情聴取における相談室や被害者支援用車両の活用、産婦人科医会や犯罪被害者等早期援助団体を始めとする民間被害者支援団体等とのネットワークの構築による連携強化等に努め、性犯罪被害者の心情に配慮した対応を図る。【警察庁】

(3) 被害児童からの事情聴取における配慮

【施策番号110】

法務省、警察庁及び厚生労働省において、検察庁、警察、児童相談所等の関係機関が被害児童の事情聴取に先立って協議を行い、関係機関の代表者が聴取を行うことについて積極的に検討するほか、被害児童から事情聴取をするに当たり、聴取の場所・回数・方法等に配慮するなど、被害児童へ配慮した取組を進める。【法務省、警察庁、厚生労働省】

(4) ビデオリンク等の措置の適切な運用

【施策番号111】

法務省において、ビデオリンク等の犯罪被害者等の保護のための措置について周知徹底を図り、一層適正に運用されるよう努める。【法務省】

(5) 警察における犯罪被害者等のための施設の改善

【施策番号112】

警察において、被害者専用の事情聴取室や被害者支援用車両の活用を図るほか、これらの施設等の改善に努める。【警察庁】

(6) 検察庁における犯罪被害者等のための待合室の設置

【施策番号113】

法務省において、庁舎の建て替えを予定している検察庁では、建て替え時に被害者専用待合室を設置し、それ以外の検察庁については、スペースの有無、設置場所等を勘案しつつ、専用待合室の設置について検討する。【法務省】


※1 各大学のカリキュラム改革に資するよう、平成13年3月に文部科学省の「医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議」において、全ての医学生が卒業までに最低限習得すべき教育内容をガイドラインとして示したもの。
※2 救急現場から医療機関に搬送されるまでの間において、救急救命士等が行う救急医療活動について、医師による指示、指導・助言、事後検証を行い、その質を保障する体制。

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