犯罪被害者等施策に関する基礎資料

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6.第3次犯罪被害者等基本計画(平成28年4月1日閣議決定)

V 重点課題に係る具体的施策

第3 刑事手続への関与拡充への取組

1 刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等(基本法第18条関係)
(1) 迅速・確実な被害の届出の受理

【施策番号114】

警察において、被害の届出に対しては、その内容が明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものである場合を除き、迅速・確実に受理するよう努める。【警察庁】

(2) 告訴に対する適切な対応

【施策番号115】

警察庁及び法務省において、犯罪の不成立が明白であるような告訴や根拠が必ずしも十分とは認められないような告訴については、告訴人に対してその旨を説明し、告訴状の補正や疎明資料の追加を促す等の措置を取る場合もあり、全件直ちに受理するということは必ずしも相当とは言い難い場合もあるが、可能な限り迅速な対応が行われるように努める。【警察庁、法務省】

(3) 医療機関における性犯罪被害者からの証拠採取等の促進

【施策番号116】

ア 警察庁において、同庁が実施している「医療機関における性犯罪証拠採取キットの試行整備」モデル事業の結果を踏まえつつ、厚生労働省の協力を得て、医療機関において性犯罪被害者からの証拠採取及び採取した証拠の保管が促進されるよう、資機材の整備、医療機関への働き掛けを推進する。【警察庁】

【施策番号117】

イ 警察において、性犯罪被害者からの証拠採取の方法を産婦人科医会等とのネットワークを活用するなどして医師等に教示するとともに、捜査に支障のない範囲において、医療機関で採取した資料の鑑定状況についての情報を提供する。【警察庁】

(4) 冒頭陳述等の内容を記載した書面交付の周知徹底及び適正な運用

【施策番号118】

法務省において、冒頭陳述等の内容を記載した書面を犯罪被害者等に交付することについての周知徹底を図り、一層適正に運用されるよう努める。【法務省】

(5) 公判記録の閲覧・謄写制度の周知及び閲覧請求への適切な対応

【施策番号119】

法務省において、犯罪被害者等から刑事事件の訴訟記録の閲覧・謄写の申出があり、相当と認められるときは、刑事事件の係属中であっても、閲覧・謄写が可能である旨をパンフレット等により周知を図る。また、刑事確定記録の閲覧に際して、犯罪被害者等に対し、被告人や証人等の住所を開示するかどうかについては、裁判の公正担保の必要性と一般公開によって生じるおそれのある弊害等を比較衡量して、その許否を判断すべきものであるところ、被害者保護の要請に配慮しつつ、適切な対応に努める。【法務省】

(6) 犯罪被害者等と検察官の意思疎通の充実

【施策番号120】

ア 法務省において、犯罪被害者等の意見等をより適切に把握し刑事裁判に適正に反映させるため、犯罪被害者等と検察官の意思疎通をより一層充実させ、被害状況等の供述調書等による証拠化並びに被害者等の証人尋問及び意見陳述の活用等により、被害状況の的確な立証に努める。【法務省】

【施策番号121】

イ 法務省において、刑事裁判の公判前整理手続等の経過及び結果に関し、犯罪被害者等の希望に応じ、適宜の時期に、検察官がその経過及び結果について必要な説明をし、また、被害者参加人等が公判前整理手続の傍聴を特に希望する場合において、検察官が相当と認めるときは、当該希望の事実を裁判所に伝えるなどの必要な配慮を行うよう努める。また、犯罪被害者等が公判傍聴を希望する場合は、その機会が可能な限り得られるよう、公判期日の指定に当たっては、検察官が犯罪被害者等と十分なコミュニケーションをとり、必要に応じて、犯罪被害者等の希望を裁判所に伝えるよう努める。【法務省】

(7) 国民に分かりやすい訴訟活動

【施策番号122】

法務省において、検察官による視覚的な工夫を取り入れた国民に分かりやすい訴訟活動を行うよう努める。【法務省】

(8) 保釈に関しての犯罪被害者等に対する安全への配慮の充実

【施策番号123】

法務省において、加害者の保釈申請がなされた場合には、事案に応じ、改めて犯罪被害者等に連絡して事情聴取するなどして、裁判所に提出する検察官意見に犯罪被害者等の意見を適切に反映させるとともに、保釈申請に対する結果について犯罪被害者等に連絡するなど、犯罪被害者等の安全確保により一層配慮するように努める。【法務省】(再掲:第2,2(5)(77)

(9) 上訴に関する犯罪被害者等からの意見聴取等

【施策番号124】

法務省において、検察官が、被害者のある犯罪について、判決に対する上訴の可否を検討する際に、事案等を勘案しつつ、犯罪被害者等から意見聴取等を実施するなど、適切な対応に努める。【法務省】

(10) 少年保護事件に関する意見の聴取等各種制度の周知徹底

【施策番号125】

法務省において、少年保護事件に関する意見の聴取、記録の閲覧・謄写及び審判結果等の通知の各制度について、周知に努める。【法務省】

(11) 少年審判の傍聴制度の周知徹底

【施策番号126】

法務省において、少年法の一部を改正する法律(平成20年法律第71号)により導入された、一定の重大事件の被害者等が少年審判を傍聴することができる制度等について、パンフレット等により周知に努める。【法務省】

(12) 日本司法支援センターで行っている支援に関する情報提供の充実

【施策番号127】

日本司法支援センターにおいて、様々な広報媒体を連動させた広報を実施することに加え、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等のメディア媒体を活用した広報活動を実施する。【法務省】(再掲:第4,1(43)エ(205)

(13) 刑事の手続等に関する情報提供の充実

【施策番号128】

ア 警察庁及び法務省において連携し、犯罪被害者等の意見・要望を踏まえ、刑事に関する手続及び少年保護事件の手続並びに犯罪被害者等のための制度等を分かりやすく解説したパンフレット等の内容を充実させ、パンフレットの配布等の工夫も含め、犯罪被害者等への早期の提供に努める。【警察庁、法務省】(再掲:第4,1(41)ア(199)

【施策番号129】

イ 警察において、都道府県における外国人犯罪被害者等の多寡等の実情を踏まえて作成・配布している外国語版の「被害者の手引」について、その内容の充実、見直しを図りつつ、その確実な配布に努める。【警察庁】(再掲:第4,1(39)イ(197)

【施策番号130】

ウ 法務省において、犯罪被害者等に対し、犯罪被害者等の保護と支援のための制度の更なる情報の提供を行うため、外国語によるパンフレットやホームページの作成等による情報の提供を行う。【法務省】(再掲:第4,1(41)イ(200)

(14) 刑事の手続等に関する情報提供の充実及び司法解剖に関する遺族への適切な説明等

【施策番号131】

警察庁及び法務省において連携し、検視及び司法解剖に関し、パンフレットの配布等の工夫も含め、遺族に対する適切な説明及び配慮に努める。また、法務省において、警察庁、法医学関係機関等の協力を得て、司法解剖実施機関等で司法解剖後の臓器等が中・長期に保管される場合があることに関して、遺族の理解と協力が得られるよう、さらに、適切な説明等が行われるよう、対応に努めるほか、警察庁及び法務省において、法医学関係機関等と調整の上、遺族に対し、死者の臓器を適切に返還するための手続等について検討する。【警察庁、法務省】

(15) 犯罪被害者等の意向を踏まえた証拠物件の適正な返却又は処分の推進

【施策番号132】

警察において、検察庁と連携し、捜査上、留置の必要がなくなった証拠物件については、証拠物件の還付の方法について犯罪被害者等と協議し、その意向を踏まえた上で返却又は処分するよう努める。【警察庁】

(16) 証拠品の適正な処分等

【施策番号133】

法務省において、被害者の遺族及び家族の心情を踏まえ、捜査・公判に及ぼす影響等にも配慮しつつ、証拠品の還付等を行うとともに、必要に応じて、還付の時期及び方法等について説明を行っているところであり、引き続きその適切な運用に努める。【法務省】

(17) 捜査に関する適切な情報提供等

【施策番号134】

ア 警察において、捜査への支障等を勘案しつつ、「被害者連絡制度」等を周知徹底・活用し、犯罪被害者等の要望に応じ、捜査状況等の情報を提供するよう努める。また、犯罪被害者等の支援の必要に応じ、犯罪被害者等早期援助団体を始めとする民間被害者支援団体等との連携を図る。【警察庁】

【施策番号135】

イ 法務省において、捜査への支障等を勘案しつつ、犯罪被害者等に対し、適時適切に、捜査状況等の情報を提供するよう努める。【法務省】

(18) 適正かつ緻密な交通事故事件捜査の一層の推進等

【施策番号136】

警察において、重大・悪質な交通事故事件等については、捜査経験豊富な交通事故事件捜査統括官及び交通事故の科学的解析に関する研修を積んだ交通事故鑑識官が事故現場に赴いて客観的証拠の収集等の捜査指揮を行うなど、適正かつ緻密な交通事故事件捜査を推進するとともに、交通事故捜査員に対する各種研修の充実に努めるなど、被害者の心情に配意した取組を一層推進する。【警察庁】

(19) 交通事件に関する講義の充実

【施策番号137】

法務省において、副検事に対する研修の中で、交通事件の留意点等を熟知した専門家等による講義を行うとともに、被害者及び被害者遺族の立場等への理解を深めるための機会を設けるなど、交通事件をテーマとした科目の内容について一層の充実を図る。【法務省】(再掲:第2,3(1)ク(104)

(20) 検察官に対する児童又は女性の犯罪被害者等への配慮に関する研修の充実

【施策番号138】

法務省において、検察官に対する研修の中で、児童や女性の犯罪被害者等と接する上での留意点等を熟知した専門家等による講義を実施し、児童及び女性に対する配慮に関する科目の内容の一層の充実を図る。【法務省】(再掲:第2,3(1)キ(103)第4,2(8)ア(217)

(21) 不起訴事案等に関する適切な情報提供

【施策番号139】

ア 法務省において、不起訴記録の弾力的開示を引き続き周知徹底させる。また、不起訴記録の開示の対象拡大については被害者保護の要請に配慮しつつ、引き続き適切な対応に努める。【法務省】

【施策番号140】

イ 法務省において、不起訴処分について、犯罪被害者等の希望に応じ、検察官が、捜査への支障等を勘案しつつ、事前・事後に、処分の内容及び理由について十分な説明を行うよう努める。【法務省】

(22) 検察審査会の起訴議決に拘束力を認める制度の運用への協力

【施策番号141】

法務省において、平成16年の検察審査会法(昭和23年法律第147号)改正により導入された一定の場合に検察審査会の起訴議決に拘束力を認める制度について、公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図るという趣旨の実現に向け、引き続き必要な協力をする。【法務省】

(23) 受刑者と犯罪被害者等との面会・信書の発受の適切な運用

【施策番号142】

法務省において、受刑中の加害者との面会・信書の発受を希望する犯罪被害者等に関し、法令に基づき、受刑中の者と犯罪被害者等との面会・信書の発受について、引き続き適切に運用されるように努める。【法務省】

(24) 犯罪被害者等の意見等を踏まえた適切な加害者処遇の推進等

【施策番号143】

ア 法務省において、犯罪被害者等の心情等を理解させるための「被害者の視点を取り入れた教育」について、犯罪被害者等や犯罪被害者支援団体の意見を踏まえながら、矯正施設における受刑者等に対する改善指導・矯正教育等の充実に努める。また、家庭裁判所、検察庁等から矯正施設に送付される資料の中に犯罪被害者等の心情等が記載されている場合には、同資料を被収容者に対する指導に有効活用するよう努める。【法務省】(再掲:第2,2(11)(92)

【施策番号144】

イ 法務省において、保護処分の執行に資するため、少年の身体的・精神的状況、家庭環境、施設内の行動及び処遇の経過等に関する必要な記載がなされている少年簿について、関係機関と連携し、犯罪被害者等に関する事項について必要な情報を収集し、適切に記載するよう努める。【法務省】

【施策番号145】

ウ 法務省において、保護観察対象者に対する、問題性に応じた専門的処遇プログラムの内容等の充実を図るとともに、当該プログラムの受講を保護観察における特別遵守事項として設定するなどして、適切に実施する。また、保護観察対象者に対し、再び罪を犯さない決意を固めさせ、犯罪被害者等の意向に配慮しながら誠実に対応することを促すため、しょく罪のための指導を適切に実施する。【法務省】

【施策番号146】

エ 保護観察所において、犯罪被害者等の申出に応じ、犯罪被害者等から被害に関する心情、犯罪被害者等の置かれている状況等を聴取し、保護観察対象者に伝達する制度において、当該対象者に対して、被害の実情を直視させ、反省や悔悟の情を深めさせるような指導監督を徹底する。【法務省】

(25) 犯罪被害者等の意見を踏まえた仮釈放等審理の実施

【施策番号147】

地方更生保護委員会において、仮釈放等を許すか否かの判断に当たって、犯罪被害者等の申出により聴取した意見等を考慮し、必要に応じて保護観察中の特別遵守事項に反映させているところ、仮釈放等の審理において、一層犯罪被害者等の意見がしんしゃくされるよう努める。【法務省】

(26) 更生保護官署職員に対する研修等の充実

【施策番号148】

法務省において、仮釈放等を許すか否かを判断する地方更生保護委員会委員を対象とした研修について、犯罪被害者等の意見を仮釈放等の審理に適切に反映させるための講義を実施しているところ、より一層犯罪被害者等の心情や現状に配慮した仮釈放等の審理がなされるよう、引き続き、研修内容の充実に努める。【法務省】

(27) 矯正施設職員に対する研修等の充実

【施策番号149】

法務省において、矯正施設職員の新採用職員や初級幹部要員を対象とする研修について、「犯罪被害者の視点」等のテーマによる講義を実施しているほか、上級幹部要員を対象とする研修について、犯罪被害者団体等の関係者を講師に招くなど、犯罪被害者等の置かれている現状や心情等の理解を深められるよう、引き続き、研修内容の充実に努める。【法務省】

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