第2章 犯罪被害者等のための具体的施策と進捗状況
1 損害回復・経済的支援等への取組
(1) 損害賠償請求についての援助等
○主な取組
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日本司法支援センターによる支援(法務省)
日本司法支援センター(通称:法テラス)では,犯罪被害者支援の経験や理解があるとして弁護士会から推薦を受けている弁護士を,個々の状況に応じて紹介しており,平成26年1月現在,2,671人の弁護士を紹介用名簿に登載している。平成25年4月1日から平成26年1月末日までの紹介件数は1,101件であった。
また,損害賠償請求訴訟等の準備及び追行の過程で,代理人である弁護士等がカウンセラー等を犯罪被害者等との打合せに同席させることに対して,同センターが支援を行うことについて検討を行い,平成26年4月から,支援を受ける要件を満たす場合に,同センターが実施する民事法律扶助制度による立替払の対象とすることとした。
(2) 給付金の支給に係る制度の充実等
○主な取組
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現行の犯罪被害給付制度の運用改善(警察庁)
平成25年度における犯罪被害者等給付金の裁定金額は,約12億3,300万円となった。また,平成25年度の平均裁定期間(申請から裁定までに要した期間)は6.8月であった(第2次基本計画が策定された平成22年度は7.4月)。
犯罪被害給付制度の運用状況 -
犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討(内閣府,警察庁,法務省,厚生労働省,国土交通省)
有識者及び関係省庁からなる検討会において,平成26年1月に議論の経過及び提言について取りまとめを行った。
同取りまとめの中では,まず,犯罪被害給付制度については,一定の場合の配偶者間暴力被害事案以外の親族間犯罪では原則不支給又は減額割合が3分の2までとされている点につき,全額支給又は減額割合を3分の1までとする特例の範囲を広げるべきとの提言が出されている。
また,同検討会開催期間中に,複数の海外での邦人犯罪被害が社会の耳目を引いたことも踏まえ,犯罪被害給付制度の拡大適用の形ではないとしても,社会の連帯共助の精神にのっとり,何らかの経済的支援をスタートさせるべきとの提言が出されている。
そのほか,各種社会福祉の窓口を市町村が担っていることにかんがみ,引き続き,内閣府において,市町村に対し,犯罪被害者等に対して適切な情報提供を行う総合的な対応窓口の設置促進を働き掛けることが提言として出されている。
これら取りまとめの内容は,同年3月に開催された第11回犯罪被害者等施策推進会議に報告され,同会議において,今後,同取りまとめに従った施策を推進していくことが決定された。
(3) 居住の安定
○主な取組
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居住場所の確保(厚生労働省,警察庁,内閣府)
保護を要する女性については婦人相談所において一時保護(委託を含む。)を実施しており,配偶者からの暴力や人身取引被害者等を含めた一時保護件数は,24年度で11,565件(要保護女性本人6,189件,同伴家族5,376件)となっている。また,平成24年度の児童相談所の一時保護所内一時保護件数は20,777件,委託件数は11,268件となっている。
警察庁において,平成19年度から,自宅が犯罪行為の現場となり,破壊されるなど居住が困難で,自ら居住する場所が確保できない場合などに,一時的に避難するための宿泊場所を公費により提供し,犯罪被害者等の経済的,精神的負担の軽減を図っている(犯罪被害者等に対する一時避難場所などの借上げに要する経費(国庫補助金):25年度16百万円,26年度17百万円)。
(4) 雇用の安定
○主な取組
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被害回復のための休暇制度の周知・啓発(厚生労働省)
厚生労働省において,企業や労働者に対し,同制度についての周知・啓発を図るため,平成25年度にはリーフレット等を作成し,関係行政機関や,経済団体,労働団体等224団体に送付するとともに,セミナーを開催した。