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コラム9 預保納付金を用いた犯罪被害者等の支援事業について

振り込め詐欺救済法(正式名称:犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)に基づく預保納付金(平成24年2月末時点において約48億円)は、犯罪被害者等の支援の充実のために用いることとされており、今般、預保納付金の具体的な使途として、①犯罪被害者等の子供に対する奨学金貸与、②犯罪被害者等支援団体に対する団体助成の両事業に支出することが決定されました。

ここでは、上記両事業が決定されるまでの経緯、両事業の担い手、両事業の制度概要等について説明します。

※ 預保納付金とは、振り込め詐欺救済法の被害者救済手続を経ても、被害者からの返金申請がなされなかった等の理由により、被害者にお返しすることができなかった残金で、預金保険機構に納付されている金銭を指します。

1.預保納付金を用いた犯罪被害者等の支援事業決定までの経緯

預保納付金の具体的使途については、平成22年10月以降、金融庁、内閣府、財務省の3政務官で構成される「振り込め詐欺救済法に定める預保納付金を巡る諸課題に関するプロジェクトチーム(以下「PT」)」を計4回開催し、議論を行ってきました。その結果、平成23年8月26日に公表されたPTの最終取りまとめ(「預保納付金の具体的使途について」)において、預保納付金を「犯罪被害者等の子供に対する奨学金貸与(以下「奨学金貸与」)」及び「犯罪被害者等支援団体に対する助成(以下「団体助成」)」の両事業に活用することとし、平成24年3月21日、これらの内容を盛り込んだ、「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律第二十条第一項に規定する割合及び支出について定める命令」が公布されました(同年4月1日より全面施行)。

2.預保納付金を用いた事業の担い手について

預保納付金を用いた事業の担い手については、昨年7月にPTの中間取りまとめ案を公表、意見募集を行った際に、自らが担い手になることについて関心のある団体から、その旨を意見としてお寄せ頂く形で公募を実施致しました。担い手の選考に当たっては、犯罪被害者等に知見を有する有識者の方々のご意見を取り入れた上で慎重に決定することが望ましいとの観点から、第三者である当該有識者の方々にヒアリング・審査等を通じてご協力頂き、最終的には、かかる有識者の方々の審査結果を踏まえて、PTにおいて、「公益財団法人日本財団」を預保納付金を用いた事業の担い手に決定致しました。

3.犯罪被害者等支援制度の概要

ここでは、上述した平成23年8月公表のPT最終取りまとめの内容に基づいて、①奨学金貸与制度、②団体助成制度の両制度の概要について説明したいと思います。

  • 奨学金貸与制度

    犯罪被害者等に対して適用される既存の経済的支援制度としては、国による犯罪被害給付制度があり、被害者本人や遺族に対して一時金が支給されるほか、障害・遺族年金や生活保護等、犯罪被害者等に特化せず国民一般に適用される制度も存在しています。しかしながら、犯罪被害者本人が生計を担う者であった場合等は、これらの制度による支援を受けたとしても、日常の生活費に加え、十分な額の子供の教育費を支出することは、なお困難な場合があることも想定されることから、これらの方々の更なる支援のため、犯罪被害者等の子供に対する奨学金制度の創設を決定いたしました。

    なお、当該奨学金制度は、奨学金を受けた犯罪被害者の子供の社会的自立を促すという観点や、制度の持続的運用の観点等から、無利子での貸与方式を取り、返済期間は20~30年とすることを検討しております。

  • 団体助成制度

    犯罪被害者等の支援ニーズは多岐にわたるため、実際の支援においては、国のみならず、被害者支援のノウハウが蓄積されている民間の犯罪被害者等支援団体による迅速かつ柔軟で、継続的な支援活動が必要です。

    犯罪被害者等支援団体が行う支援の内容は、行政主導の公的な支援ばかりではなく、病院等への付き添いや自宅訪問など多岐にわたりますが、犯罪被害者等支援団体は非営利団体であるため、どうしても財政基盤が脆弱になりがちです。当該団体助成制度は、そのような財政基盤が脆弱なために犯罪被害者等支援を十分に行うことができない団体を中心に助成を行うことで、犯罪被害者等に対する支援活動をサポートすることを想定しています。

4.事業開始予定時期等について

今後、預保納付金を用いた両事業の担い手である「公益財団法人日本財団」、及び預金保険機構と詳細な制度設計を行い、平成24年度中の事業開始を目途に準備を進めてまいりたいと考えております。そのため、両事業による支援の募集等の情報につきましては、今後、公益財団法人日本財団等、関係機関のウェブサイト及びその他の広報手段を通じて、国民の皆様に広く周知させて頂くことを考えております。

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