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第1節 第2次犯罪被害者等基本計画の策定経緯


2 第1次犯罪被害者等基本計画の評価等

(1)第2次基本計画の策定に当たっては、犯罪被害者等施策推進会議の決定により、それまで犯罪被害者等施策推進状況の監視の補佐等を行っていた「基本計画推進専門委員等会議」の任務に、新たな計画に盛り込むべき事項の検討が加えられ、名称も「基本計画策定・推進専門委員等会議」(以下「専門委員等会議」という。)と改められた。

(2)専門委員等会議では、第1次基本計画の推進状況について評価をした上、これを踏まえ、第2次基本計画の策定に向けた検討を行うこととし、第1次基本計画の推進状況について、5つの重点課題(<1>損害回復・経済的支援等への取組、<2>精神的・身体的被害の回復・防止への取組、<3>刑事手続への関与拡充への取組、<4>支援等のための体制整備への取組、<5>国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組)のそれぞれにつき評価を行った上、全体的な評価を行った。

すなわち、<1>損害回復・経済的支援等への取組については、損害賠償命令制度の導入により犯罪被害者等の負担軽減が図られ、犯罪被害給付制度が拡充されて大きな改善がなされ、また、公営住宅への優先入居等に関するガイドラインの策定、被害回復のための休暇制度の必要性に関するリーフレット、ポスター等の作成・配付などが行われた。犯罪被害給付制度の拡充については、実際に給付された額を踏まえた拡充の効果についての検証、公営住宅の優先入居については、制度や運用方法の改善、被害回復のための休暇制度については、事業主や被雇用者に対する犯罪被害者等の置かれている状況などについての周知・啓発を行うなど、より一層の充実・改善を図る必要があるとされた。

<2>精神的・身体的被害の回復・防止への取組については、「犯罪被害者の精神的健康の状況とその回復に関する研究」の実施及びその成果を利用した精神保健関係者向けマニュアルの作成、再被害防止のための犯罪被害者等に対する出所情報通知制度の実施、公開の法廷において被害者の氏名等を明らかにしない制度の導入などが行われており、今後とも、保険医療及び福祉に関わる者に対する啓発や研修について一層取り組む必要があるほか、引き続き、適切な制度の運用を推進する必要があるとされた。

<3>刑事手続への関与拡充への取組については、被害者参加制度の導入などにより大幅に進展しており、今後とも適切な制度の運用を図る必要があるとされた。

<4>支援等のための体制整備への取組については、地方公共団体に対する総合的対応窓口設置の要請、民間被害者支援団体向け研修カリキュラム・モデル案の作成などが行われているが、今後は、体制整備だけではなく、相談対応能力の向上、財政的援助のあり方について再度の検討を行う必要があるとされた。

<5>国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組については、犯罪被害者週間「国民のつどい」中央大会及び地方大会の開催、学校における命のかけがえのなさ等に関する教育の推進が行われているが、今後更に犯罪被害者等施策について国民への理解を増進させるため、広報啓発活動等を一層強化する必要があるとされた。

そして、第1次基本計画の推進状況全体については、「第1次基本計画では、おおむね着実な推進が図られ、一定の成果を上げている。特に、5つの重点課題のうち、『損害回復・経済的支援等への取組』、『刑事手続への関与拡充への取組』については、損害賠償命令制度や被害者参加制度の創設、犯罪被害給付制度の拡充など、大きな進展が図られた。しかしながら、犯罪被害者団体や犯罪被害者支援団体等からは、依然として、犯罪被害者等が関係する様々な問題について改善を求める要望が寄せられており、今後とも、5つの重点課題それぞれについて、更なる取組の強化を図る必要がある。」とされた。


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