第3節 刑事手続への関与拡充への取組


(16) 冒頭陳述等の内容を記載した書面の交付についての検討及び施策の実施

法務省において、犯罪被害者等の希望に応じ、公訴事実の要旨や冒頭陳述の内容などを説明するとともに、冒頭陳述の内容を記載した書面の交付を全国で実施している。

(17) 公判記録の閲覧・謄写の範囲拡大に向けた検討及び施策の実施

平成19年6月20日に成立した「犯罪被害者等の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」により、「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」が一部改正され、公判記録の閲覧・謄写が認められる範囲が拡大された(平成19年12月26日施行)。

(18) 判決確定後の加害者情報の犯罪被害者等に対する提供の拡充

法務省において、判決確定後の加害者情報の犯罪被害者等に対する提供の拡充を行い、これまで、犯罪被害者等の希望に応じて、検察庁から

・事件の処分結果

・裁判結果

・加害者の刑務所からの出所情報

などを提供してきたところ、平成19年12月からは、検察庁、刑事施設、地方更生保護委員会や保護観察所が連携し、犯罪被害者等の希望に応じて、

・加害者の受刑中の処遇状況に関する事項

・仮釈放審理に関する事項

・保護観察中の処遇状況に関する事項

などの情報についても提供している。

また、全国の保護観察所に、被害者担当官や被害者担当保護司を配置し、加害者情報の提供などの犯罪被害者等施策に当たらせている。

(19) 保護処分決定確定後の加害少年に係る情報の提供に関する検討及び施策の実施

法務省において、少年院送致処分又は保護観察処分を受けた加害少年について、犯罪被害者等の希望に応じて、

・少年院における処遇状況に関する事項

・仮退院審理に関する事項

・保護観察中の処遇状況に関する事項

などを通知している。

(20) 犯罪被害者等の心情等を加害者に伝達する制度の検討及び施策の実施

法務省において、「更生保護法」に基づき、犯罪被害者等の希望に応じて、保護観察所が、犯罪被害者等から心情などを聴き、これを保護観察対象者に伝えている。

平成20年中に、心情などを伝えた件数は61件であった。

(21) 犯罪被害者等の意見等を踏まえた仮釈放審理の検討及び施策の実施

法務省において、「更生保護法」に基づき、仮釈放や少年院からの仮退院の審理に際し、犯罪被害者等からの希望に応じて、地方更生保護委員会が、犯罪被害者等から、意見などを聴き、仮釈放などを許すか否かの判断に当たって考慮するほか、許す場合には、その特別遵守事項を設定する際の参考としている。

平成20年中に、意見などを聴いた件数は209件であった。

《基本計画において、「法律所定の検討時期等に併せて施策を実施する」とされたもの》

(22) 少年保護事件に関する犯罪被害者等の意見・要望を踏まえた制度の検討及び施策の実施

法務省において、平成20年3月7日、「少年法の一部を改正する法律案」を国会に提出した(同年6月11日成立、同月18日公布)。

これにより、一定の重大事件の犯罪被害者等が少年審判を傍聴することができることとされるとともに、犯罪被害者等による記録の閲覧・謄写の範囲が拡大されるなどした(平成20年12月15日から施行)。

(23) 検察審査会の起訴議決に拘束力を認める制度の運用への協力

法務省においては、一定の場合に検察審査会の起訴議決に拘束力を認める制度(平成21年5月21日施行)について、適切な運用が図られるように、その趣旨などの周知徹底に努めている。


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