《基本計画策定以前からの施策で、基本計画策定後も引き続き実施するもの》
警察において、犯罪被害者に対して再度危害が加えられることを未然に防止するため、携帯用自動通報装置を犯罪被害者に貸し出し、不安感の払拭や安全確保を図っている。
警察において、企業及び行政対象暴力事犯に対して、検挙の徹底、暴力団対策法の効果的な運用に努めるとともに、都道府県暴力追放運動推進センターと連携して、不当要求防止責任者*5に対する講習を実施したり、パンフレットを作成したりするなどして、犯罪被害者等の保護、救済を図っている。
企業対象暴力対策については、都道府県警察の本部に「企業対象暴力特別対策本部」を設置して、各種相談体制の充実、企業や業界団体に対する指導、広報啓発活動、保護対策などを積極的に行っている。
行政対象暴力対策については、全国の地方公共団体に対して、暴力団などの不当要求に対する組織的な対応を規定する、いわゆるコンプライアンス条例・要綱などを制定するよう働きかけを行っている。平成20年12月末には、コンプライアンス条例・要綱などは全国の地方公共団体の99.9%(19年末比0.8ポイント上昇)で制定されており、行政機関などにおける不当要求防止責任者数は12万1,588人となった。21年3月、不当要求防止責任者講習などにおける活用を目的とした民事介入暴力対策啓発ビデオ「ねらわれた行政~失敗を糧に~」を作成し、生活保護受給に関する不当要求への対応要領などの浸透を図った。
行政機関などにおける組織的対応の強化を推進するため、平成15年7月以降、「行政対象暴力関係省庁等連絡会議」を6回にわたって開催した。
以上の施策を推進した結果、平成20年中は、400件の「企業及び行政対象暴力事犯」を検挙した。
なお、平成20年5月に改正された暴力団対策法により、行政機関などを相手方とした、指定暴力団員による行政庁が行う許認可に関する不当要求や国などが行う公共工事の入札・契約に関する不当要求について、中止命令などを発出できることとされた。
(*5)各事業所に選任された、不当要求による事業者や使用者などの被害を防止するために必要な業務を行うこととされている者
警察において、悪質商法やヤミ金融被害の防止を図るため、検挙状況や主要な検挙事例などを警察庁のホームページに掲載している(「悪質商法の被害にあわないために」:http://www.npa.go.jp/safetylife/seikan44/akutoku_boushi.pdf)。
都道府県警察においては、ホームページで被害防止などに関するポイントを紹介しているほか、地元のメディアや通常の警察活動などあらゆる媒体、機会を通じて被害防止広報などを実施している。
媒体の種類 | 媒体名 | 概要 |
ラジオ番組 | 「HAPPY!ニッポン!」 | ヤミ金融業者による消費者被害の未然防止に関する広報 |
インターネット | 政府広報オンライン | 悪質商法などによる消費者被害の防止に関する広報 |
(4) 再被害防止のための犯罪被害者等に対する出所情報通知制度
法務省において、犯罪被害者が加害者との接触回避などの措置を講じることにより再被害を避けることができるよう、出所情報通知制度を実施している。警察から再被害防止措置上必要とする受刑者の釈放などに関する情報の通報要請があった場合、通報を行うのが相当であると認められるときは、受刑者の釈放などに関する情報(自由刑の執行終了による釈放予定と予定年月日・帰住予定地、仮釈放による釈放予定と予定年月日・指定帰住地など)を通報している。
また、犯罪被害者等が希望する場合に、検察官が相当と認めるときは、犯罪被害者等に対し、受刑者の釈放前に釈放予定に関する通知を行っている。
本施策については、実施後7年経過したところであるが、各会議などにおいて制度について周知を図り、実務担当者からも犯罪被害者等に対して案内をしていることから、通知件数も徐々に増加している。
警察においては、独自に把握した情報や刑事施設などから通報を受けた情報について、提供の必要性を個別に判断した上で、犯罪被害者等に対して教示している。
通知希望者数 | 通知者数 | |
平成13年 | 131 | 37 |
平成14年 | 264 | 125 |
平成15年 | 344 | 250 |
平成16年 | 622 | 440 |
平成17年 | 787 | 559 |
平成18年 | 1,135 | 779 |
平成19年 | 1,080 | 782 |
平成20年 | 855 | 663 |
合計 | 5,218 | 3,635 |
児童相談所において、必要があると認めるときは、子どもの一時保護(委託を含む。)をしている。平成19年度の所内一時保護件数は18,922件、委託件数は7,522件となっている。
また、従来から、保護を要する女性については婦人相談所において一時保護を実施しており、配偶者からの暴力や人身取引被害者等を含めた一時保護件数は、19年度で12,007件(要保護女性6,478件、同伴家族5,529件)となっている*6。
(*6)厚生労働省「婦人保護事業実施状況報告」より。
海上保安庁において、犯罪の手口、動機・組織的背景、被疑者と犯罪被害者等との関係、被疑者の言動などの状況から、犯罪被害者等に後難が及ぶおそれがある時は、被疑者などに当該犯罪被害者の氏名などを告げないようにするほか、必要に応じ犯罪被害者等の保護のための措置を講じている。
《基本計画において、「速やかに実施する」とされたもの》
法務省において、再被害防止のための被害者等に対する出所情報通知制度(「再被害防止のための犯罪被害者等に対する出所情報通知制度」参照)について、引き続き制度実施に係る円滑な連携を図るため、会議などの機会を活用し、関係者などへの制度の一層の周知徹底に努めている。
警察において、子どもを対象とした暴力的な性犯罪により刑事施設に服役している者の出所予定日、出所後の帰住予定先などの出所情報について、平成17年6月から、法務省から提供を受け、出所者の改善更生や社会復帰を妨げないように配慮しつつ、犯罪の予防や捜査への活用を図っている。
法務省において、証拠開示の際に証人などの住居などが関係者に知られることがないよう求める制度、性犯罪の被害者等について公開の法廷では仮名を用いる運用がなされていることについて、会議や研修などの様々な機会を通じて検察の現場への周知徹底を図っている。
犯罪被害者等の保護の観点も含め住民基本台帳の閲覧制度などの抜本的見直しを行い、何人でも閲覧を請求できるという従前の制度は廃止し、個人情報保護に十分留意した制度として再構築を行うため、「住民基本台帳法」の一部が平成18年11月1日に改正され、各市町村において同法に基づき、適切な運用がなされている。
厚生労働省において、児童相談所・婦人相談所の一時保護所や、婦人相談所が一時保護委託先として契約した婦人保護施設や民間シェルターなどにおいて一時保護を実施しており、犯罪被害者等の個々の状況に応じて保護期間を延長するなど柔軟に対応するとともに、適切な運用に努めている。
警察において、「再被害防止要綱」に基づき、同じ加害者により再び危害を加えられるおそれのある犯罪被害者等を「再被害防止対象者」に指定し
・再被害防止のための関連情報の収集
・関連情報の教示
・連絡体制の確立と要望の把握
・自主警戒指導
・警察による警戒措置
・加害者への警告
などの再被害防止措置を実施している。実施に当たっては、加害者を収容している刑事施設などと密接に連携している。
警察庁においては、都道府県警察から、再被害防止対象者の指定状況や刑事施設との連携状況などについて、定期的又は随時に報告を求め、都道府県警察における再被害防止措置の徹底を図っている。
警察において、暴力団犯罪の被害者等の安全を確保するため、暴力団などによる危害行為を未然に防止するための基本的な事項を定めた「保護対策実施要綱」に基づき、的確な保護対策を実施している。
平成20年度においては、保護対策において民間警備を補完的に活用するための経費を措置するとともに、保護対策対象者の自宅における保護対策を効果的に遂行するための保護対策ボックスを整備した。
(12) 保釈に関しての犯罪被害者等に対する安全への配慮の充実
法務省において、加害者の保釈に関し、検察官が、犯罪被害者等から事情を聞くなどによりその安全確保を考慮して裁判所に意見を提出するなど、適切な対応に努めるため、会議や研修などの様々な機会を通じて検察の現場への周知徹底を図っている。
警察庁・厚生労働省において、配偶者等からの暴力(DV)・人身取引・児童虐待の被害者等の保護に関する、警察・婦人相談所・児童相談所の連携を一層充実させている。
警察においては、配偶者等からの暴力事案に対し配偶者暴力相談支援センターなど関係機関・団体と連携した被害者支援を講ずるなど、犯罪被害者等の立場に立った適切な対応を図っている。
人身取引事犯の被害者については、その適正な保護がなされるよう関係機関・団体と連携を図るとともに、犯罪被害者等が人身取引の被害を訴えることを容易とするようリーフレット約30万部を作成し、関係省庁、在京関係国大使館、関係国在外公館、NGOなどの犯罪被害者等の目に触れやすい場所に広く配布するなどした。また、平成20年12月、人身取引に関係する国の在京大使館・国際機関・NGOなどを集めてコンタクトポイント会議を開催し、人身取引被害者の発見・保護などに関する意見交換を行うなどした。さらに、人身取引事犯などの被害者となっている女性などの早期保護を図るため、警察庁の委託を受けた民間団体が、市民から匿名で事件情報の通報を受け、これを警察に提供して、捜査などに役立てる「匿名通報ダイヤル」を、19年10月から運用している(「子どもや女性を守るための匿名通報モデル事業の運用状況について」:http://www.npa.go.jp/safetylife/seikan47/201016_tokumei_tsuuhou.pdf、「平成20年中における人身取引事犯について」:http://www.npa.go.jp/safetylife/seikan42/h20_zinshin.pdf)。
児童虐待の被害者については、街頭補導、少年相談など様々な活動の機会を通じ、児童虐待事案の早期発見と被害児童の児童相談所などへの確実な通告に努めるとともに、都道府県知事・児童相談所長による児童の安全確認や一時保護、立入調査を円滑化するための援助を実施している。また、子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)などへの積極的な参画など、学校、児童相談所などの関係機関との情報交換や連携強化に努めている。
平成20年4月の改正児童虐待防止法の施行に際し、各種会議などを通じて、関係機関との連携の強化などの対応の徹底について指示している。
厚生労働省においては、配偶者等からの暴力(DV)の被害者、人身取引の被害者などの保護に関しては、婦人相談所と警察や児童相談所などの関係機関との連携が不可欠であることから、その充実を図っている。特に、配偶者からの暴力被害者の保護と支援について、関係機関相互の共通認識・総合調整が必要不可欠であることから、連携を強化するためのネットワークの整備にかかる費用を補助している。
具体的には、婦人相談所は、配偶者からの暴力被害者の相談、保護、自立支援において、警察や福祉事務所などの関係機関との連携を図るため、連絡会議や事例検討会議を開催するとともに、事例集や関係機関の役割などの内容を掲載したパンフレットを作成し、関係機関に配布している。
なお、平成19年7月、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律」(平成19年法律第113号)が成立し、市町村基本計画の策定の努力義務化、配偶者暴力相談支援センターの業務の充実、保護命令制度の拡充などが行われた(20年1月施行)。
児童相談所においては、触法少年・ぐ犯少年の通告、棄児、迷子、虐待を受けた子どもなど要保護児童の通告などについて、警察と連携を図っている。
警察庁・文部科学省において、警察と学校など関係機関の通報連絡体制の活用、子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)の活用、加害少年やその保護者に対する指導などの一層の充実を図り、再被害の防止に努めている。
また、非行や犯罪被害など個々の少年の抱える問題行動に応じた的確な対応を行うため、学校、警察、児童相談所などの担当者からなる少年サポートチームを編成し、それぞれの専門分野に応じた役割分担の下、少年への指導・助言を行っている。平成20年度には、少年サポートチームの効果的な運用を図るため、警察庁と文部科学省と合同で、都道府県警察、関係機関・団体の実務担当者に対する研修会を実施した。
文部科学省においては、各教育委員会に対し、学校と警察が連携し、児童生徒の問題行動に対応できるよう、会議の場や通知などで促している。
また、要保護児童などに関し、「要保護児童対策地域協議会設置・運営指針」を踏まえ、虐待を受けている子どもを始めとする要保護児童の適切な保護を図るための関係機関との適切な連携について教育委員会などへ周知している。
(14) 児童虐待の防止、早期発見・早期対応のための体制整備等
警察において、児童虐待防止対策に従事する職員、検視の専門官、少年補導職員などに対し、早期に児童虐待を発見するための観点や平成20年4月1日に施行された「児童虐待防止法及び児童福祉法の一部を改正する法律」の内容、関係機関との連携の在り方やカウンセリング技術などについて指導・教育を行うなど、児童虐待防止に関する専門的な知識・技能の向上のための教育を実施している。
また、児童虐待防止広報啓発用リーフレットを作成・配布するなど、児童の安全確認や安全の確保を最優先とした取組を推進している。
文部科学省において、平成20年度は、児童虐待などの問題へ対応するため、教育分野に関する知識に加えて、社会福祉の専門的な知識・技術を用いて児童生徒を支援するスクールソーシャルワーカーを学校などの教育機関に配置し、その活用方法などについて調査研究を行っている。また、19年度から「問題を抱える子ども等の自立支援事業」において、児童虐待などの問題を抱える児童生徒への支援に効果的な取組について、子どもの状況の把握の在り方、関係機関とのネットワークを活用した早期からの支援の在り方などといった観点から、調査研究を引き続き実施している。
厚生労働省において、児童虐待の早期発見に資するため、児童相談所を中心とした多種多様な関係機関の連携による取組について、随時、各種関係会議に係る行政説明などにおいて、収集した好事例の内容を報告している。
平成20年4月には、改正児童虐待防止法が施行され、児童の安全確認などのための立入調査などの強化、保護者に対する面会・通信などの制限の強化、保護者に対する指導に従わない場合の措置の明確化などが行われている。併せて、同年10月に都道府県などに対し「児童虐待から児童を守る対応の徹底について」(通知)を発出し、児童の安全確認と安全確保を最優先とした対応について更なる徹底を図った。
(15) 児童虐待防止のために行う児童の死亡事例等の検証の実施
厚生労働省において、厚生労働省社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会の場で、全国の児童虐待による死亡事例を専門的、多角的な角度から検証を行っており、平成20年6月に第1次~第4次報告を取りまとめた総括報告書を公表した(「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」(第1次報告から第4次報告までの子ども虐待による死亡事例等の検証結果総括報告:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv31/dl/05.pdf)。
法務省において、矯正施設に収容されている加害者に対し、被害者感情を理解させるためのオリジナルビデオ教材などを活用した指導を実施している。平成18年度以降は、犯罪被害者等や支援団体の方々から被収容者に対し直接講話するゲストスピーカー制度を拡大するなど、「被害者の視点を取り入れた教育」の充実に努めており、刑事施設においては、「刑事収容施設及び被収容者等の処遇等に関する法律」の施行(同年5月)に伴い、必要な者には同教育を義務付けて実施している。
「被害者の視点を取り入れた教育」は、被収容者に対し、自らの犯罪と向き合い、犯した罪の大きさや犯罪被害者等の心情などを認識させ、犯罪被害者等に誠意を持って対応するとともに、再び罪を犯さない決意を固めさせることを目標としており、社会復帰後の犯罪被害者等への対応、再犯の防止などにいかされることが期待できる。
また、ストーカー事犯者、性犯罪事犯者などの保護観察対象者に対しては、事案に応じて、当該被害者への接近を禁止するなどの特別遵守事項を設定していることに加えて、「更生保護法」(平成19年法律第88号)の施行(平成20年6月)後は、性犯罪者については専門的処遇プログラムを受講することについての特別遵守事項も設定し、これを守るよう指導監督している。また、慰謝の措置や被害弁償に誠意を尽くすことなどの生活行動指針を設定し、それを守る努力をするよう指導監督している。
仮釈放等審理における意見等聴取制度の施行(平成19年12月)後は、犯罪被害者等から聴取した意見などを踏まえ、より一層適切に特別遵守事項を設定している。
保護観察対象者に対しては、再び罪を犯さない決意を固めさせるとともに、犯罪被害者等の意向に配慮しながら誠実に対応することを促すため、しょく罪指導のためのプログラムを策定し、全国の保護観察所において、一定の重大な犯罪をした保護観察対象者に対し、以下のとおり個別指導を実施している。
〈1〉自己の犯罪行為を振り返らせ、犯した罪の重さを認識させる。
〈2〉犯罪被害者等の実情(気持ちや置かれた立場、被害の状況など)を理解させる。
〈3〉犯罪被害者等の立場で物事を考えさせ、また、犯罪被害者等に対して、謝罪、被害弁償などの責任があることを自覚させる。
〈4〉具体的なしょく罪計画を策定させる。
文部科学省において、非行などの問題を抱える青少年の立ち直り支援のための居場所づくりを行っており、その中で再被害の防止に資するよう、加害少年の立ち直りを支援している。平成19年度は、地域のボランティア団体、青少年団体、スポーツクラブなどと連携・協力し、社会奉仕活動や体験活動、スポーツ活動などを行うことができる継続的な活動の場が82か所構築された。20年度からは、非行など問題を抱える青少年の立ち直りを支援するため、新たな社会活動の場を開拓する取組や地域社会全体で立ち直りを支援する体制づくりに関する事業を実施している。
また、良好な家庭環境を維持し、児童虐待の防止にも資する取組として、親が学習や体験を通じ、家庭教育に関する理解を深めることができるような子育て講座を提供している。
《基本計画において、「1~3年以内を目途に検討の結論を得て、施策を実施する」とされたもの(「1~2年以内を目途に実施する」とされたものを含む)》
平成19年6月20日に成立した「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」により、「刑事訴訟法」が一部改正され、裁判所の決定があった場合、起訴状の朗読などの訴訟手続を犯罪被害者等の氏名などを明らかにしない方法により行うことと、検察官が、証拠開示の際に、弁護人に対し、犯罪被害者等の氏名などがみだりに他人に知られないようにすることを求めることが可能となり(同年12月26日施行)、現在、法務省において円滑な運用に取り組んでいる。
(18) 一時保護所の環境改善等(一時保護の現状や一時保護委託の状況に関する必要な調査及び施策の実施)
厚生労働省において、児童相談所一時保護所については、福祉行政報告例(http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/IPPAN/ippan/scm_k_Ichiran)や児童相談所の体制整備状況調査などの定例調査において、一時保護所の職員数や一時保護日数などのデータを把握している。
これを踏まえ、心理療法担当職員について、従来各県1か所に配置していたものを全施設に拡大した。さらに、恒常的に定員を超過して保護している一時保護施設が見られるほか、幼児と中高生、被虐待児と非行児を同じ場所でケアするような事態が生じていたことから、各自治体に対して、次世代育成支援対策施設整備交付金の活用も含め、遅くとも平成21年度中に定員不足状態を解消するための改善計画「一時保護施設等緊急整備計画」を策定することを求めている。
婦人相談所による一時保護についても、福祉行政報告例や婦人保護事業実施状況報告*7などにおいてデータを把握しており、平成20年度においては、婦人相談所が婦人保護施設や民間シェルターなどに一時保護委託する場合の委託費について増額を行った。
平成21年度においては、婦人相談所が婦人保護施設や民間シェルターなどに一時保護委託する場合に、同伴児童のうち特に乳幼児に対するケアを充実するため、新たに乳幼児用の単価を設定した。引き続き、調査結果を踏まえながら、有効な施策を実施し、児童虐待や配偶者からの暴力の被害者に関する施策の充実を図っていく。
(*7)厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課調べ。
(19) 児童虐待・配偶者等からの暴力(DV)の早期発見のための医療施設における取組の促進
厚生労働省において、医療施設における児童虐待や配偶者等からの暴力(DV)の早期発見のための取組を促進するため、平成19年3月に各都道府県・関係団体あてに「児童虐待・配偶者等からの暴力(DV)の早期発見のための取組の促進について」(通知)を発出し、医療関係者が、児童虐待の早期発見に努めること、配偶者からの暴力によって負傷したか疾病にかかったものの発見・通報に積極的な対応が求められていることについて周知徹底を図り、引き続き医療施設における取組の促進を図っている。
また、配偶者からの暴力の被害を受けた女性の保護に関する医療施設における研修に補助を行っており、医療関係機関に対し、積極的な受講を求めている。
《基本計画において、「法律所定の検討時期等に併せて施策を実施する」とされたもの》
厚生労働省において、「子ども・子育て応援プラン」(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/h1224-4c.html)に基づき、虐待を受けた子どもと非行児童との混合処遇を改善し、個別対応を促進するべく、次世代育成支援対策施設整備交付金の活用を含め、児童相談所一時保護所の環境改善を行っている(34都道府県・政令指定都市(平成20年4月1日現在))。