第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



(7) 生命・身体・自由の尊重を自覚させる法教育の普及・啓発

 法務省において、学校教育等における司法に関する学習機会を充実させ、法や司法によって自らを守り、他者を等しく尊重する理念を体得させることを通じて、他者の生命・身体・自由等を傷つけてはならないことを自覚させることにつながるよう、文部科学省、最高裁判所、日本弁護士連合会等の協力を得つつ、法教育の推進のための枠組み作りとして平成17年5月に発足させた法教育推進協議会を通じて、法教育の普及・発展に努めることとされた。

 平成15年7月に立ち上げた法教育研究会(法曹関係者、学者、教育関係者その他有識者等で構成)において、我が国における法教育の在り方について検討を行い、平成16年11月、その検討結果と目指すべき法教育の内容を具体化した、中学校3年生を対象とした4つの教材例(「ルールづくり」、「私法と消費者保護」、「憲法の意義」、「司法」)から構成される報告書がとりまとめられた。そして、本報告書の趣旨にのっとり、更に法教育を普及・発展させるため、平成17年5月に、法曹関係者と教育関係者等から成る「法教育推進協議会」を発足した。現在、複数の中学校において、前述の4教材を用いた法教育の授業が実践されているが、いまだ一部の現場での実践にとどまっており、法教育の理念自体も十分に浸透している状態にはないことから、法教育の更なる普及方法や教材の見直し等について、協議会の場で検討をしている。

 今後は、前述の4教材を学校教育の現場において、より一層利用しやすいものとするための解説書と視聴覚教材の作成や、法教育を更に普及させるためのシンポジウムの開催を予定している。

▼「はじめての法教育」広報用パンフレット

「はじめての法教育」広報用パンフレット

提供:法務省

8) 「犯罪被害者週間」にあわせた集中的な啓発事業の実施、犯罪被害者等の置かれた状況等について国民理解の増進を図るための啓発事業の実施

 内閣府において、警察庁、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省及び国土交通省の協力を得て、「犯罪被害者週間(毎年11月25日から12月1日)」にあわせて啓発事業を集中的に実施することとされた。

 今回が初年度となる「犯罪被害者週間」では、犯罪被害者等の置かれた状況について国民が正しく理解し、国民の協力の下に関係施策が講じられていくよう、国民が犯罪等による被害について考える機会として、内閣府主催の第1回「犯罪被害者週間」国民のつどい中央大会を開催するとともに、内閣府・地方公共団体共催の地方大会を3府県(秋田県・神奈川県・大阪府)において開催する予定である。国民のつどいにおいては、行政機関関係者に加え、犯罪被害者等、犯罪等による被害についての識見を有する者、犯罪被害者等の援助等に携わる者等の参加と国民が一堂に会し、犯罪被害者等に係るテーマを議論するとともに、結果について国民向けに情報提供を行う。

 併せて、犯罪被害者週間と国民のつどいの普及・広報のためのポスターを作成した。

犯罪被害者週間 ポスター



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