第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



第5節  国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組

1 国民の理解の増進(基本法第20条関係)

《基本計画において、「速やかに実施する」とされたもの》

(1) 学校における生命のかけがえのなさ等に関する教育の推進

 文部科学省において、学校教育の中で、自他の生命のかけがえのなさ、誕生の喜び、死の重さ、生きることの尊さ等を積極的に取り上げる教育を推進する等、道徳教育の一層の充実を図るため、「児童生徒の心に響く道徳教育推進事業」を実施し、教材の開発等の実践研究を進め、成果の普及を図ることとされた。

 「児童生徒の心に響く道徳教育推進事業」では、学校の実態に応じ、地域の人材や体験活動等をいかして、命を大切にする心を育む等道徳教育を推進するための実践研究を、都道府県教育委員会との連携・協力の下に実施しており、今後も、引き続き当該実践研究を実施する。

 また、かけがえのない生命について考えさせる等道徳の内容を分かりやすく表した「心のノート」を、平成14年度からすべての小・中学生に配布しており、平成18年度においても配布した。

(2) 学校における体験活動を通じた命の大切さの学習についての調査研究の実施及びその成果の普及

 文部科学省において、児童生徒の社会性や豊かな人間性を育むため、「豊かな体験活動推進事業」を実施し、学校における自然体験活動や社会奉仕体験活動の充実を図る中で、命の大切さを学ばせることに有効な体験活動について調査研究を実施し、その成果を取りまとめ、全国の教育委員会や学校に普及することとされた。

 「豊かな体験活動推進事業」については、平成14年度より実施し、学校における自然体験活動や社会奉仕体験活動の充実を図っているところであるが、平成17年度からは、当該事業の中で命の大切さを学ばせるために有効な体験活動についての調査研究を実施しており、今後、調査研究等の成果を取りまとめた事例集を作成し、全国の教育委員会や学校に普及していく。

(3) 学校における犯罪被害者等の人権問題も含めた人権教育の推進

 文部科学省において、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(平成12年法律第147号)に基づき、犯罪被害者等の人権問題も含め、学校教育及び社会教育における人権教育の一層の推進に努めることとされた。

 学校教育については、人権教育・啓発に関する基本計画を踏まえ、学校、家庭、地域社会が一体となって教育上の総合的な取組を推進する「人権教育総合推進地域事業」、学校における人権教育について実践的な研究を委嘱する「人権教育研究指定校事業」を実施している。

 また、学校における人権教育に関する指導方法等の在り方等について調査研究を行う「人権教育に関する指導方法等に関する調査研究」等を実施し、平成16年6月には「人権教育の指導方法等の在り方について(第一次とりまとめ)」を、平成18年1月には「人権教育の指導方法等に関する調査研究(第二次とりまとめ)」を作成し、都道府県教育委員会、学校等に配布している。

 今後は、引き続き、これら事業等を実施するとともに、「人権教育の指導方法等に関する調査研究(第三次とりまとめ)」の検討を進めている。また、「人権教育を推進するための指導者の養成を目的とした研修」において、犯罪被害者等について取り上げることとしている。

 社会教育については、平成16年度より、人権教育の一層の推進を図るため、都道府県・市町村教育委員会との連携・協力の下、モデル事業の実施による実践的な調査研究を行う「人権教育推進のための調査研究事業」を実施してきており、今後とも引き続き当該事業を実施していく。

(4) 学校における犯罪抑止教育の充実

 文部科学省において、平成16年度に警察庁と共同で作成し、教育委員会等へ配布した、犯罪被害者等の体験談を取り入れた学習の事例等を含む非行防止教室等プログラム事例集の活用を教育委員会へ促す等、犯罪抑止教育の充実を図ることとされた。

 平成18年5月に「児童生徒の規範意識を育むための教師用指導資料(非行防止教室を中心とした取組)」を作成、各教育委員会・学校等に配布し、「非行防止教室等プログラム事例集」(平成17年1月)とともに、同資料を活用して非行防止教室の実施を始めとした犯罪抑止教育の充実を図るよう促している。

(5) 子どもへの暴力防止のための参加型学習への取組

 文部科学省において、子どもがいじめ・虐待・暴力等から自らの身を守るための態度やスキル等を育成することを目的として、被害者となることを防止するための教育について、地域の実情に応じた取組がなされるよう教育委員会に促すこととされた。

 そこで、先述の「非行防止教室等プログラム事例集」、「児童生徒の規範意識を育むための教師用指導資料(非行防止教室を中心とした取組)」の作成・配布により、これらを活用した非行防止教室における子どもへの暴力防止のための参加型学習の取組を推進している。

(6) 家庭における命の教育への支援の推進

 文部科学省において、家庭における命の教育への支援を推進するため、命の大切さを実感させる意義等を記述した子育てのヒント集として「家庭教育手帳」を作成し、小学生等を持つ全国の保護者全員に配布することにより、子育て講座等での学習の充実を図ることとされた。

 本手帳は、一人ひとりの親が家庭を見つめ直し、それぞれ自信を持って子育てに取り組んでいく契機となるよう作成しており、母子健康手帳の交付時や、小学校入学時などの機会を通じて配布されている。また、教育委員会や子育て支援団体等が主催する子育て講座などにおいて、受講者の学習教材として有効に活用されている。

家庭教育手帳 乳幼児編

家庭教育手帳 小学生編(低学年~中学年)

家庭教育手帳 小学生(高学年)~中学生編

出典:文部科学省ホームページ



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