第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



(16) 「指定被害者支援要員制度」の活用

 警察において、指定された警察職員(指定被害者支援要員)が、事件発生直後から犯罪被害者に付き添い、必要な助言、指導、情報提供等を行ったり、被害者支援連絡協議会等のネットワークを活用しつつ、部外のカウンセラー、弁護士会、関係機関又は犯罪被害者等の援助を行う民間の団体等の紹介・引継ぎをするなどする「指定被害者支援要員制度」について、法務省、文部科学省、厚生労働省及び国土交通省の協力を得て、その積極的活用を図るとともに、それらの警察職員に対し、犯罪被害者等に対する支援に必要となる知識等についての研修、教育等の充実に努めることとされた。

対象事件
○殺人、傷害、強姦等の身体犯
○ひき逃げ事件、交通死亡事故
○その他必要と認められる事件

任務
○付添い
  ・事件発生直後に臨場し、自己紹介
  ・医師の診察が必要な場合の病院の手配、付添い
  ・実況見分の立会い
  ・自宅等への送迎
○ヒアリング
  ・心配事の相談受理(身の回りの世話等)
  ・事情聴取や被害者調書の作成又はそれらの補助
○説明
  ・「被害者の手引」の交付
  ・刑事手続等の説明
  ・家族、会社、学校に対する説明
○定期的な被害者連絡
○民間被害者支援団体、部外のカウンセラー等の紹介、引継ぎ 

 被害者に対する支援活動は、事件発生直後から必要となる。そこで、専門的な被害者支援が必要とされる事案が発生したときに、捜査員とは別に指定された警察職員が、被害者への付添い、ヒアリング、説明等の事件発生直後における被害者支援活動を行う「指定被害者支援要員制度」が、各都道府県警察で導入されており、更に効果的な活用を図っていく。

 平成17年12月現在、指定被害者支援要員として全国で2万3,753人が配置されている。

▼指定被害者支援要員による事情聴取時の付添い

指定被害者支援要員による事情聴取時の付添い
名刺 支援要員による
事情聴取時の付添い

提供:警察庁

(17) 交通事故相談活動の促進

 内閣府において、相談内容の多様化・複雑化に対処するため、交通事故相談に携わる交通事故相談所等の相談員に対して、研修等を通じてその資質の向上を図る等、地域における交通事故相談活動を推進することとされた。

 そこで、交通事故相談員育成事業では、実務に密着した講義及び班別事例研究会を実施するとともに、判例、自動車保険等の最新情報を一元的に収集、情報誌として提供することで、交通事故相談員の自己研鑽を促し、資質の向上を図っている。

 また、交通事故相談員支援事業(アドバイザー事業)では、複雑・困難化する相談内容に対し、弁護士等の豊富な法律知識・経験を有する者をアドバイザーとして相談現場に直接派遣、現場即応体制を強化するとともに、相談業務を通じて特に苦労した事案や悩んだ事案等について、参加者全員による討議を通じ、各地域のアドバイザーの情報の共有化を図っている。

 さらに、ブロック別連絡会で発表された各事例に、専門家のアドバイスを加えた情報誌を全国の交通事故相談員に提供、交通事故相談員の資質、能力の向上と情報の地域格差の是正を図っている。また、初任の交通事故相談員を対象とした交通事故相談員中央研修会(初任者コース)を開催し、相談員として必要な基本的知識の向上を図っている。

 交通事故相談所の所在地については、内閣府設置のホームページクロスロード(交通安全総合ネットワーク)で確認することができる(http://www.cross-road.gr.jp/top.php)。

(18) 警察における被害少年が相談しやすい環境の整備

 警察において、少年サポートセンターや各警察署の少年係等、少年からの悩み事、困り事の相談を受け付けるための窓口が、関係機関への十分な引継ぎを含め、相談者の立場に立った対応をするよう努めていくとともに、「ヤング・テレホン・コーナー」等の名称での電話による相談窓口の設置や、フリーダイヤル、電子メールによる相談の導入等により、被害少年が相談しやすい環境の整備を図っていくこととされた。

 現在、すべての都道府県警察に設置されている少年サポートセンターや警察署の少年係等が窓口となって、少年や保護者等からの悩みや困り事の相談を受け付けている。相談には、少年の特性に関する知識や少年の取扱いに関する技術を有する少年補導職員や少年相談専門職員等の職員が対応し、必要な助言、指導を行っている。

 また、すべての都道府県警察において、「ヤング・テレホン・コーナー」等の名称で電話による少年相談窓口を設けているほか、フリーダイヤル、電子メールによる相談の導入等、少年や保護者等が相談しやすい環境の整備を図っている。

 平成17年4月、社団法人全国少年補導員協会によるインターネット利用による少年相談活動が開始されたことから、警察庁では、少年警察ボランティアの行うインターネット利用の少年相談への協力を都道府県警察に指示した。

 平成17年10月、警察庁では、少年及び保護者に対する相談活動を強化するため、少年補導職員等を対象に全国少年相談フォーラムを開催した。

 平成18年4月1日現在、全国191か所に少年サポートセンターが設置され、そのうち80か所は、少年や保護者等が気軽に立ち寄ることができるよう、警察施設以外の施設に設置している。

 本施策については、警察庁及び社団法人少年補導員協会ホームページ上で確認することができる(警察庁ホームページ:http://www.npa.go.jp/、社団法人全国少年補導員協会「インターネット少年相談」:http://zenshokyo.ecs.or.jp/soudan/)。



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