第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



(7) ビデオ等による刑事手続の説明

 法務省において、犯罪被害者等に対し、刑事司法手続における犯罪被害者等の保護と支援のための制度の更なる情報の提供を行うため、パンフレットの作成やビデオ等の制作をしている。

 検察庁や警察署にパンフレットを常備しているほか、刑事裁判及び裁判員制度に関するビデオを制作し、学校等での講演の機会等に同ビデオを上映する等して、刑事手続の説明に努めている。

 また、被害者等に対し、刑事司法手続における犯罪被害者保護・支援に関する制度やサービスの提供等について分かりやすく紹介するためのDVDを制作し、全国の検察庁に配布する予定である。

(8) 犯罪被害者等からの各種人権相談への対応

 法務省において、常設及び特設の人権相談所を通じて面接や電話により犯罪被害者等から各種人権相談を受け付けているほか、人権擁護委員も自宅において人権相談を受け付けている。

 また、平成18年4月1日から各法務局・地方法務局の本局に専用相談電話「子どもの人権110番」及び「女性の人権ホットライン」を開設し、子どもや女性の人権問題を専門的に受ける体制を整備しているほか、全国8か所に英語・中国語等による「外国人のための人権相談所」を開設し、「全国一斉『子どもの人権110番』強化週間」(平成18年8月28日から9月3日)及び「全国一斉『女性の人権ホットライン』強化週間」(平成18年11月13日から同月19日)を設け、同強化週間中は、相談受付時間を延長する等して積極的に相談に当たっている。また、「子ども人権SOSミニレター」(便せん兼封筒)を小学生高学年児童及び中学生に配布し、法務局に寄せられた同ミニレターを通じて子どもをめぐる様々な人権問題を把握し、学校及び関係機関と連携を図りながら、問題の解決に当たっている。

 平成16年中における犯罪被害者等からの人権相談件数は、404件、平成17年中は、439件であった。

(9) 人権侵犯事件の調査及び処理等

 法務省においては、人権相談等で犯罪被害者等に対する人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として調査を行い、その結果、人権侵害の事実が認められれば、関係機関と連携・協力して当該事案に即した適切な解決を図っている。平成17年中に取り扱った犯罪被害者等に対する人権侵犯事件は、20件であった。

(10) 被害者連絡の実施

 海上保安庁において、捜査を行うに際しては、被害者等に対し捜査その他の事務若しくは公判に支障を及ぼし、又は関係者の名誉その他の権利を不当に侵害するおそれのある場合を除き、当該事件の捜査の経過その他被害者等の救済又は不安の解消に資すると認められる事項を通知している。

《基本計画において、「速やかに実施する」とされたもの》

(11) 地方公共団体に対する総合的対応窓口の設置等の要請

 内閣府において、地方公共団体に対する総合的対応窓口の設置等の要請等を行うこととされた。

 犯罪被害者等が再び平穏な生活を取り戻すまでの間、途切れることのない情報提供・支援を受けていくためには、地域の身近な公的機関である地方公共団体の取組が重要である。

 このため、平成18年2、3月に開催した地方公共団体職員向けの基本計画説明会及び同年3月に開催した平成17年度「都道府県・政令指定都市犯罪被害者等施策主管課室長会議」において、都道府県・政令指定都市に対し総合的な窓口の整備を要請した。また、同会議の場で、基本法・基本計画の制定経緯や概要を紹介したパンフレットとともに、窓口整備状況を含めた各地方公共団体の取組状況について説明を行った。

 現在、各都道府県・政令指定都市において、犯罪被害者等施策の窓口はほぼ確定しつつあるものの、犯罪被害者等からの問合せや相談があった場合に総合的な対応を行う窓口の設置は一部の自治体を除き、まだ行われていない。



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