第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



《基本計画において、「1~3年以内を目途に検討の結論を得て、施策を実施する」とされたもの(「1~2年以内を目途に実施する」とされたものを含む。)》

(18) 職員等に対する研修の充実等

 厚生労働省において、犯罪被害者等の治療、保護等を行う施設の職員の犯罪被害者等への適切な対応を確実にするための研修等の充実を図る方向で検討し、3年以内に結論を得て、犯罪被害者等の治療、保護等を行う施設の職員の対応の改善を進めることとされた。

 犯罪被害者や災害被災者のPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、長期間の療養期間を要するものとして、非常に注目されており、専門家による専門的なケアが重要である。

 そのため、厚生労働省において、「心の健康づくり対策事業(厚生労働省補助事業)」の中でPTSD対策事業として、医師、看護師、保健師、精神保健福祉士等を対象としたPTSD専門家の養成研修等を行い、精神保健福祉センター、病院、保健所等でPTSD相談事業活動を取り入れ、各施設での活動の充実を図り、精神保健福祉の増進を図っている。

 また、思春期におけるいわゆるひきこもり、不登校、家庭内暴力等、心の問題が社会問題化しており、病院、診療所、精神保健福祉センター、保健所、児童相談所等で思春期児童の専門相談等を取り入れ、各機関での活動の充実強化を図るため、「心の健康づくり対策事業」の中で、思春期精神保健対策事業として医師、看護師、保健師、精神保健福祉士等を対象とした思春期児童の心のケアの専門研修を実施している。

 「PTSD対策専門研修会」は、平成8年度から実施しており、平成13年度からは毎年度、東京とその他の都市で年2回開催し、その中で犯罪被害者の心のケアに関する研修も実施している。平成17年度は東京と大阪で開催されており、同年度の受講者数は323人であった。

 「思春期精神保健対策専門研修会」は、平成13年度から実施しており、医師コース、メディカルコースをそれぞれ毎年度、東京とその他の都市で年2回開催し、その中で児童虐待や家庭内暴力に関するカリキュラムも実施している。平成17年度は東京と大阪で開催されており、同年度の受講者数は389人であった。

 平成17年より厚生労働科学研究で「犯罪被害者の精神健康の状況とその回復に関する研究」を3年計画で行っており、これら研究の成果も踏まえて、「PTSD対策専門研修会」及び「思春期精神保健対策専門研修会」のカリキュラムの見直し等必要な措置を検討していく。

 平成18年度からは、「PTSD対策専門研修会」について、より高度な診断評価・治療の技法等を身に付けるため、医師、保健師等を対象にアドバンスコースを設け、また、「思春期精神保健対策専門研修会」においても、医師を対象としたアドバンスコースを設けていく。

(19) 民事訴訟におけるビデオリンク等の措置の導入

 法務省において、民事訴訟においても、遮へい措置、ビデオリンク、付添いを民事訴訟法(平成8年法律第109号)上認めることについて検討を行い、2年以内を目途に結論を出し、その結論に従った施策を実施することとされた。

 法務省において検討されることとされた他の犯罪被害者等の保護に関する措置とともに平成19年通常国会に法案を提出することを目指して、検討を進めている。平成18年9月6日には、法務大臣より法制審議会に対し、法整備に関する諮問を行った。

《基本計画には盛り込まれていないが、基本法・基本計画を踏まえ、平成18年度から新たに実施するもの》

(20) 犯罪被害者等支援主任者の指定

 海上保安庁において、平成18年4月から部署ごとに犯罪被害者等支援、関係機関との連絡調整を行う犯罪被害者支援主任者を指定し、犯罪被害者等支援体制の強化を図っている。

(21) 女性被害者への配慮

 性犯罪に係る女性被害者からの事情聴取においては、原則として女性海上保安官による事情聴取又は付添い等の措置を採るほか、その他の女性犯罪被害者等についても、同様の措置を希望する場合は、可能な限りこれらに準じた措置を採ることとしている。



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