第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



4 雇用の安定(基本法第17条関係)

《基本計画において、「速やかに実施する」とされたもの》

(1) 事業主等の理解の増進

 厚生労働省において、犯罪被害者等に対する十分な理解に基づき、トライアル雇用事業の適正な運用、雇用管理に係るきめ細かな相談援助、公共職業安定所における求職者に対するきめ細かな就職支援に努めるとともに、雇用管理講習会や公共職業安定所職員に対する研修において犯罪被害者等に係るテーマを取り上げることとされた。

 犯罪被害者が母子家庭の母等である場合に、当該者を一定期間試行雇用することにより、その適性や業務遂行性を見極め、当該者と求人事業主との相互理解を促進することを通じて、当該者の早期就職の実現を目的としたトライアル雇用事業(「試行雇用奨励金」の支給)を引き続き実施している。平成17年度の支給実績(母子家庭の母等試行雇用奨励金全体)は、254人に対し約3,400万円となっている。

 独立行政法人雇用・能力開発機構法(平成14年12月13日法律第170号)第11条第1項第3項に基づき、独立行政法人雇用・能力開発機構が行う中小企業事業主等に対する雇用管理の改善に関する相談等において、犯罪被害者等の配置や労働条件等雇用管理に関するきめ細かな相談援助を行うこととしている。平成18年6月末現在、事業主からの犯罪被害者等の雇用管理に関する相談は、寄せられていない。また、雇用管理講習会において犯罪被害者等の雇用管理に資するテーマを取り上げることについて、現在準備段階として講師の選定等体制整備を図っている。

 公共職業安定所において、様々な事情により、やむを得ず離職したり、新たに仕事を探す必要が生じた方に対しては、引き続き求職者の置かれた状況に応じたきめ細かな就職支援を行う。

 公共職業安定所職員に対する研修において犯罪被害者等への理解に資するテーマを取り上げることについては、平成18年度独立行政法人労働政策研究・研修機構労働大学校が実施する、公共職業安定所長研修、公共職業安定所課長・統括職業指導官研修及び職業安定行政職員上級研修で、犯罪被害者等への理解に資するテーマ(犯罪被害者等の置かれている状況等)を取り上げており、引き続き実施する。

都道府県労働局による・助言指導の手続の流れ

(2) 個別労働紛争解決制度の活用等

 都道府県労働局において、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成13年法律第112号)に基づき、労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(以下「個別労働関係紛争」という。)の実情に即した迅速かつ適正な解決を図るため、以下の個別労働紛争解決制度を実施しており、引き続き制度の周知、適正な運用に努めている。

 《1》 総合労働相談コーナーにおける情報提供・相談

   全国約300か所に設置された総合労働相談コーナーにおいて、労働問題に関するあらゆる相談に対応し、情報提供、相談を行うワンストップサービスを実施。

 《2》 都道府県労働局長による助言・指導

   民事上の個別労働関係紛争について、都道府県労働局長が、紛争当事者に対し、紛争の問題点を指摘し、解決の方向性を示唆することにより、紛争当事者が自主的に紛争を解決することを促進。

 《3》 紛争調整委員会によるあっせん

   紛争当事者の間に公平・中立な第三者として学識経験者が入り、双方の主張の要点を確かめ、双方から求められた場合には両者が採るべき具体的なあっせん案を提示する等、紛争当事者間の調整を行い、話し合いを促進することにより、紛争の解決を図る制度。

 本制度の内容は、厚生労働省ホームページ上で確認することができる(個別労働紛争解決制度の紹介:http://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/index.html、総合労働相談コーナーのご案内:http://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html)。

紛争調査委員会によるあっせん手続の流れ


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