第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策


第1節 損害回復・経済的支援等への取組

1 損害賠償の請求についての援助等(基本法第12条関係)

○ 刑事手続及び犯罪被害者保護・支援のための制度等を分かりやすく説明するための被害者向けパンフレット及び外国語パンフレットを現在準備中。また、犯罪被害者等の損害賠償請求に係る民事訴訟手続に関する情報提供についても、被害者向けパンフレットにこれらの情報を掲載して周知を図るべく準備中。

○ 保険金等支払い全般に関して、迅速かつ適切な支払い管理態勢の確立のため、「保険会社向けの総合的な監督指針」を一部改正(平成18年6月2日)。

○ 受刑者の作業報奨金を損害賠償に充当することを可能とする制度について、「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」(平成18年5月24日施行)により、受刑者が釈放前に作業報奨金の支給を受けたい旨の申出をした場合、その使用目的が被害者に対する損害賠償への充当等相当なものと認められるときは、支給時における報奨金計算額に相当する金額の範囲内で、申出の額の全部又は一部の金額を支給することができるとした。

○ 損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度の一つとして、一定の場合に、財産犯等の犯罪行為により犯人が得た財産である犯罪被害財産の没収・追徴を可能にした上で、これにより得られた財産を被害回復給付金として当該事案の被害者等に支給すること等を内容とする「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律」及び「犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律」の成立(平成18年6月21日公布、同年12月1日施行)。

○ このほか、損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用することができる制度の導入について、被害者団体等からのヒアリングの実施等、積極的に検討中。平成18年9月6日、法務大臣より法制審議会に対し、法整備に関する諮問。

2 給付金の支給に係る制度の充実等(基本法第13条関係)

○ 犯罪被害給付制度について、「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律」関連政令・規則の改正(平成18年4月1日施行)により、重傷病給付金の支給要件の緩和、支給対象期間の延長等並びに親族間の犯罪における支給制限の緩和。

○ 「経済的支援に関する検討会」において、社会保障・福祉制度全体の中における犯罪被害者等に対する経済的支援制度のあるべき姿やその財源等について検討中。

○ 平成18年度予算において、性犯罪被害者に対する緊急避妊等に要する経費(初診料、診断書料、検査費用、中絶費用等を含む。)に係る予算を措置。

3 居住の安定(基本法第16条関係)

○ DV被害者について同居親族要件を緩和し、公営住宅への単身入居を可能にするため、公営住宅法施行令を改正(平成17年12月2日公布、平成18年2月1日施行)。また、警察当局等との連携の方法を含めた、公営住宅への優先入居、単身者の目的外使用等に係るガイドラインを策定(平成17年12月26日通知)。

4 雇用の安定(基本法第17条関係)

○ 雇用管理講習会において犯罪被害者等の雇用管理に資するテーマを取り上げることについて、現在準備段階として講師の選定等、体制整備中。また、独立行政法人労働政策研究・研修機構労働大学校が実施する、公共職業安定所長研修、公共職業安定所課長・統括職業指導官研修及び職業安定行政職員上級研修で、犯罪被害者等への理解に資するテーマ(犯罪被害者等の置かれている状況等)を実施。

○ 犯罪等の被害に遭った労働者が被害を回復するための休暇制度の導入につき、平成18年、現状に関する必要な調査を実施。調査結果を踏まえ、結論を出す予定。



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