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犯罪被害者等施策
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警察庁ホーム > 犯罪被害者等施策 > もっと詳しく知りたい:犯罪被害者等施策推進会議等 > 犯罪被害者等基本計画検討会 > 第1回議事要旨

犯罪被害者等基本計画検討会(第1回)

(開催要領)
日時:平成17年4月28日(木) 15時~17時
場所:総理大臣官邸4階大会議室
出席者:
座長宮澤 浩一慶應義塾大学名誉教授
代理山上 皓東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
構成員井上 正仁東京大学大学院法学政治学研究科教授
大久保 恵美子社団法人被害者支援都民センター事務局長
岡村 勲全国犯罪被害者の会代表幹事
久保 潔読売新聞東京本社論説委員兼編集委員
小西 聖子武蔵野大学人間関係学部教授
中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部成人精神保健研究室長
山田 勝利弁護士
加地 隆治内閣府犯罪被害者等施策推進室長
片桐 裕警察庁長官官房総括審議官
荒木 慶司総務省大臣官房総括審議官
河村 博法務省大臣官房審議官
太田 俊明厚生労働省政策統括官(労働担当)
平田 憲一郎国土交通省総合政策局次長

※ 村田吉隆犯罪被害者等施策担当大臣は、犯罪被害者等基本計画検討会の招集者として出席。なお、村田大臣の発言についても、便宜上「構成員」と表記した。



(議事次第)

1.開会(犯罪被害者等施策推進室長)

2.村田大臣あいさつ

3.宮澤座長あいさつ

4.検討会運営細則について

5.骨子案の検討について(1)

6.検討会における今後の検討スケジュールについて

7.自由討議

8.閉会


(附属資料)

  資料 1犯罪被害者等基本計画検討会構成員名簿
  資料 2犯罪被害者等基本計画検討会運営細則
  資料 3基本計画骨子案(1:基本方針・重点課題・計画期間)
  資料 4検討会における今後の検討スケジュールについて

※ 下記参考資料については、推進会議でも配布した資料であるため、配布省略
  参考 1犯罪被害者等基本法について[PDF形式:130KB]
  参考 2ー1犯罪被害者等基本法の基本的施策に係る犯罪被害者団体等の要望[PDF形式:157KB]
  参考 2ー2基本的施策と各省庁における犯罪被害者等支援の取組[PDF形式:145KB]
  参考 2ー3刑事司法手続(少年保護事件の手続を含む。)と犯罪被害者等のための施策[PDF形式:152KB]

(議事内容)

○ 犯罪被害者等施策担当大臣から、犯罪被害者等基本計画検討会の招集者として、概略以下のとおり、挨拶があった。
「本日は皆様、大変ご多忙中のところ、また、第1回犯罪被害者等施策推進会議に引き続きご協力をいただき、感謝。
昨年12月、国会において犯罪被害者等基本法が成立し、今年4月1日に施行された。今後、犯罪被害者等施策推進会議において、犯罪被害者等基本計画案の作成、その他犯罪被害者のための施策に関する重要事項の審議、実施の推進、検証・評価・監視を行うこととされているが、まずは犯罪被害者等基本計画の案を作成することが最優先の課題である。犯罪被害者等基本計画検討会では、推進会議での基本計画の案の作成に資するため、多数の論点について、専門的な立場から多角的に調査・検討していくことになる。
言うまでもなく検討会の役割は非常に重要となるが、ここにお集まりの方々は、それぞれの分野の第一人者であるので、そのご見識を遺憾なく発揮され、犯罪被害者等の方々のニーズを適切に反映した基本計画が一日も早く策定できるよう、ご協力をお願いしたい。私も基本計画の策定に全力で取り組んでまいる所存であり、本検討会が十分な成果を上げられることを切に願い、挨拶とさせていただきたい。」

○ 引き続き、座長から挨拶があり、その中で、自身の被害者学とのかかわりや、日本における被害者学の経過、政府をはじめとする諸機関のこれまでの取組に関する所見等について紹介した後、概略以下のとおり述べた。
「基本法ができ、その基本法に本当に必要な事項が大体網羅され、その網羅されたものが単なる形容詞ではなく、これから名詞に変わろうとしているわけなので、そういうものを見て、生きていてよかったなと思ったり、最後のご奉公として、できるだけ被害者に役立つような細かい政策についての提言を皆さんのお知恵を拝借しながらまとめていきたいなと、そういう意味で、交通整理の役をいたすので、どうぞご協力を賜りたい。」

○ 犯罪被害者等基本計画検討会運営細則について
犯罪被害者等基本計画検討会運営細則(資料2)について、事務局より説明。

(構成員)5項、6項に関係して、5項は「速やかに」だから、これは顕名ではないんだろうと思うけれども、6項の方は、検討会に諮った上で公表するとなると、これは一応顕名と考えておいた方がよろしいのか。

(事務局)ご指摘のとおり。議事録については、行政機関の情報公開の観点から作成・公表されるものであり、おっしゃるとおり、発言者の氏名も含めて公表することを考えているものである。なお、議事録の公表に際しては、その規定にあるように、検討会にお諮りをし、これを公表する。時期あるいは内容について検討会にお諮りした上で公表することを考えているところである。

(構成員)もう一点。名前をあらわしての公表が後になると、例えば、私が今日この会議の様子について相応の報告をしなくてはならない。そのときに、私のメモにある「どなたがこういうご意見でした」といったことはどうするのかなとさっきから悩んでいるのだけれども、その点はいかがしたらよろしいか。

(事務局)規定を今までご説明したとおり、これは議事要旨あるいは議事録という形で公表するということで、その会議の内容がどうであったかということについて外部に伝わることを一般的に規制をする考えはない。ただ、その中で出てくる個人情報や、あるいは一部だけが伝わって全体の議論に誤解を生じるといった懸念もあるので、その取扱いについては慎重にお願いしたい。

(構成員)その点は、メモをとって「こういう様子であった」と人に伝えるときは、それぞれ自己の責任においてやるべきことだと思う。今、ご注意あった点も含めて、自分の責任で、慎重におやりになればよろしいのではないかと判断する。

(構成員)趣旨はよくわかった。

(構成員)ついでで申しわけないが、検討会に諮るというのは、内容の確定について諮るということか。

(事務局)内容についてもそうであるし、公表の時期についてもあるし、内容の中には、今のご指摘のように、非公開にする部分についても。

(構成員)確認だが、個人情報保護の観点は情報公開とぶつかるところがある。この問題は、名前を出したら嫌な被害者の方がいるだろう。名前が書かれてしまったら困るというような具体的な。個人情報と情報公開とどういうぶつかり合いがあるか。

(事務局)まさに、第6項の「行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条各号に掲げる情報のいずれかを含む場合」に、今、ご指摘のような特定個人に関する情報も入っている。

(構成員)もう一度確認だけれども、それは今、委員の皆さん方からご質問があったように口頭で報告する場合、個人の責任でと言うけれども、そこはやはり何か基準が要るような感じが私はするので、そこは明確にした方がよろしいのではないか。

(構成員)実際の支援の現場から、ぜひここを入れてほしいという話も多分出てくると思う。そのときに、具体的な事例をお話しした方が皆さんにはわかっていただきやすいと思うが、それがそのまま載るとなると、やはり守秘義務などもあって問題になると思うので、そこは個人的なものは載せない等の取り決めをしておいていただいた方がありがたい。

(事務局)わかった。情報公開法の第5条に、原則開示をするけれども、次のいずれかが記録されている場合は除くということで6つ規定がある。その中に「個人に関する情報」ということで、「それを公にすることによって個人の権利・利益を害するおそれがあるもの」とある。議事録の公表に当たっては、情報公開法の精神に照らしながら、公表する内容や時期について、この検討会で検討していただいて、判断していただく、そういう規定として考えている。したがって、最終的に議事録として公表する場合には、そういったご懸念がある点は非公開といった形でお決めいただいて、それは載せないことになる。 したがって、会議の内容をいろいろお話しになる場合にも、そういう点について十分ご留意していただきたいという趣旨で、先ほど申し上げた。

(構成員)文章になるときに今のような確認をするということだが、前もって話すときには、「この点は特にご留意ください」というようにご注意いただいて、みんなそういうことはわかっていると思うけれども、本当にご懸念があるときには、特に注意していただければ。

(構成員)今の点について、2つ申し上げてよいか。1つは、事前に確認をというのは、「こういうものをつくりましたけれども、字句について修正のご希望のある方は……」といって来る、そういう形か。

(事務局)そういう確認も当然、構成員の皆様には事前にしていただくことを考えている。

(構成員)もう一点は、私どもにそういうケースをご紹介になるのに、例えばちょっと場面設定を変えたりして紹介すると客観性がなくなるから、とにかくそういうものを紹介するときには、できるだけ事実、例えば相談者から電話があったまま「こういう事件です」ということで、できるだけ正確に伝えた方がいいとお考えか。

(構成員)いえ、それは場合によりけりで、何人かの事例をリンクさせてお伝えする場合もあれば個人的に少し内容を変えてお話しするような場合もあり、その時々で違うと思う。

(構成員)いずれにしても、公表するときに、ちょっとまずいなと思われるようなことがあったら、それはチェックするということになる。

(構成員)特に被害者の場合は共通する問題が多いので、その方のことを言っていなくても、読んだ方が「あ、自分のことを言っている」と誤解して受け取られる場合もある。そういうことも極力避けたいと思っている。

(構成員)大きな事件だと、個人の名前を伏せても、みんなが「あ、あの事件」とわかる部分もあるので、やはりそういうケースについての公表は、口頭でも、原則として非常に慎重にということを確認しておいた方がいいのではないか。

(構成員)今のでよろしいと思うが、実際には、やはり個々のケースあるいは有名になった事件のケースについて話さないとわからないこともある。そこのところを全部省いてしまっては、特にここの会議でビビッドな議論もできないと思うので、全員がその辺をよく理解するというところで柔軟に進めていただきたいと思う。
基本的に、電話相談というのは了解がとれていないので、あまり使わない方がよろしいかと私は思っている。むしろ基本的に話してよいとおっしゃった方のを混ぜるという形で話すのがよろしいのではないかと思う。

(構成員)結構である。ここで皆さんで確認し合えばよろしいだろうと思う。

(構成員)特に、「公表」というところが問題になる。この公表というのは、インターネットで公表されるのか。

(事務局)そういう媒体も考えている。

(構成員)そうすると、個人的にメモして持ち帰る場合だけでなくて、インターネットで公表されることの方が、もっと影響があるかもしれない。だから、議事録は座長がおつくりになることになっているけれども、その辺の配慮は必要だと思う。
確かに、現実の問題をお話ししなければ十分な理解が得られない場合はあると思う。いろいろ創作しても、やはり創作だけではやり切れないところがあるし、せっかくの検討会なのである程度突っ込んだお話もしたい。それがパッと流れるとなると、これは困るので、公表する前に見せていただくことができればいいなと思う。

(事務局)まさに今、おっしゃったようなことを考えており、議事要旨についても、公表する前に構成員の皆様にチェックしていただくということで、いろいろなご懸念の点がないようにしたいと考えている。今のご心配はないようにさせていただきたいと思っている。

(構成員)検討会の委員同士は、これはもうこの席でお話ししたことだから、もうみんなわかっているけれど、それが外に出るとなると、いろいろ問題が起こると思うので。

(構成員)この議事要旨、検討会の終了後、速やかにというのは、記者発表みたいなものを想定しているのか。

(事務局)議事要旨については、会議後直ちにというタイミングではなくて、ある程度の正確性とか適切さをきちっとチェックした上でという趣旨で、事前に皆様にお配りし、チェックをしていただく。会議の後は、記者へのブリーフとして会議のご議論の内容についてご説明するということで、この運営細則をお決めいただいた後で座長からご指名いただいた者がブリーフをし、そして議事要旨を作成する。だから、議事要旨は少し時間的には後になる。

(構成員)そうすると、検討会の委員もいただけるのは議事要旨だけで、いろいろ入れたのは自分でメモしている以外に印刷物にはならないということか。

(事務局)今のご指摘は議事録のことかと思うが、議事録……。

(構成員)いや、どういう話が出たかということ。議事録ではなくて、何と言えばいいか、メモ。

(事務局)それについては、議事要旨の部分を見ていただくときにお渡しするけれども……。

(構成員)今、ご心配になっているのは、各委員が手控えとして持っているメモを公表する、あるいは人に伝える、そこの部分ではないのか。

(構成員)この会議体としては、発言内容を議事要旨とは別につくることがありますかということ。

(構成員)議事録がそれではないのか。

(構成員)議事録は詳細で、議事要旨は簡単なものか。

(事務局)そうである。最終的に議事録というのは、全体の記録としてまとめて公表する。その前の段階で議事要旨という、だから、議事録よりは少し概要というような形になろうかとイメージしているけれども、それはまた議事録のさらに前の段階で作成し……。

(構成員)ヒアリングした結果は詳細な文書にしていただいているので、そういうようなもの、この検討会の中でどういう発言がどういうふうに行われたかということもお作りになられるのかなということでお聞きした。

(事務局)それはまさに議事録なので、それはもちろん作成する。

(構成員)2つの点があって、1つは、ここで公式のものとしてつくる議事要旨ないし議事録。これらはあらかじめ我々も見せていただいて、特に議事録については「この部分を公開するのは適切ではないのではないか」といった話もここでさせていただいて、それから公表するということだから、今、ご心配になっている点は確認できると思う。
もう一点はさっきご発言があった点で、手控えをもとにして外に伝える。そのときに、さっきからのご懸念を前提にすると、ここで大体どういう点について話があって、どういう議論が出たかということはよろしいかと思うが、具体例等についてはやはり差し控えた方がいいかなという感じがする。そういう具体例には触れなくても、大体こういう議論が出て、こういうポイントで今、検討が進んでいるんだ、そういうことで伝えられるのではないか。

(構成員)私は、もう問題の趣旨はわかったので、大丈夫だ。

(構成員)もう一つ。2項の構成員の欠席のところで代理人はだめということだが、オブザーバー的に、例えば私が来られないときに他の会員に出てもらうとか、そういうことはよろしいのか。

(事務局)先ほどご説明の中でも申し上げたように、専門委員の先生方、委員の先生方ももちろんそうだけれども、それぞれがお持ちの知見に着目をしてということであるので、基本的に代理という形でご出席いただくことはできないというのが、この細則の趣旨。ただ、ご検討をいただいていく中でいろいろな形で、例えばヒアリングという形でそういった関係の方のお話を聞くとか、そういった形での対応はあろうかと思うけれども、代理という形は、ちょっと趣旨としては……。

(構成員)代理ではなくて、オブザーバーというか。代理ではないけれども、事実上、来ていただくということはできないか。

(構成員)ちょっと理解しにくいのだけれども、代理の場合はだめと言っておいてオブザーバーが発言するということになると……。

(構成員)いや、発言ではなくて、私の代わりに聞いている。

(事務局)今日もお越しのように、この検討会の状況を聞いていただいているというのは、これはもう事実上、ほかの構成員の関係の方もたくさんおられるので、それはもう……

(構成員)来ておられるのか。お付きの人というか、秘書の人というか。来ていないだろう。

(事務局)いえ、今、おられる。だから、こういうふうに来ていただき、どういう議論がなされているかお聞きいただくのは結構だが、代理という形で検討の中に加わっていただくというのは、趣旨からして、この運営細則の中では考えておらないということ。

(構成員)そうではない。来て、聞いているという。

(構成員)今おっしゃったのは、欠席された場合のことか。

(構成員)欠席している場合も、それから、在席している場合も。

(構成員)もしオブザーバーが聞かれた場合に、先ほどの個人のプライバシーの問題とか、そういう情報処理の問題が同じように出てくると思うが、そういう方をきちんと拘束できるのかどうか、その辺の問題が残るような気がする。

(構成員)議事録ないし議事要旨というのは会が終わってからどのくらいのタイミングで出せるか、それを説明いただいたら、その心配が解決できるかもしれない。

(事務局)速記をしていただいているので、この速記を記録にしていただき、事務局の方にお持ちいただいて、それをもとに構成員の皆様に見ていただいて、まずは議事要旨という形で公表するということであり、大体1週間ないし10日というようなイメージ。次に議事録ということになると、これはいろいろ、内容的なもの、それからどういったタイミングがよろしいのかといったことも含めて、この検討会の中でご議論いただいて、公表していくことになる。だから、そこには公表に際してタイミングをはかるいろいろな事情もあろうかと思うので、そういったものも含めて決めていただくといったことを考えている。

○ 上記の議論の後、犯罪被害者等基本計画検討会運営細則が犯罪被害者等施策担当大臣により決定されるとともに、座長より、座長代理として、山上専門委員が指名された。また、検討会終了後の記者ブリーフィング、議事要旨の作成及び公表については、座長の氏名により、事務局である犯罪被害者等施策推進室長が行うこととなった。

○ 基本計画の骨子案の検討について(1)
(事務局)まず、施策の現状、被害者等からの要望についてであるが、被害者等からの要望に関しては、先ほど推進会議の中でご説明申し上げたとおりなので、ここでは省略させていただきたい。それから、施策の現状についても、既に推進会議の場でお配りした資料のとおりであり、この場でのご説明は省略させていただきたい。なお、第2回検討会以降に個別の論点を検討していくこととなるけれども、施策の詳細については、その際に、それぞれ所管する省庁からご説明いただくことになる。
次に、骨子案のその1として、お手元に資料3をお配りしているので、ごらんいただきたい。基本方針、重点課題、計画期間についてである。
第1回の検討会でお示しするのは、基本計画の全体像を把握して、第2回検討会以降での各論検討の際に重要となる計画の大枠に関する事項である。具体的には、基本方針、重点課題、計画期間について事務局の素案をお示しし、ご議論いただきたいと考えている。
初めにご留意いただきたい点としては、基本方針、重点課題、計画期間は、今後の議論あるいは検討を行っていく上での便宜を考え、仮のものとしてご提示するということである。すなわち、今回の検討会で提示させていただいた上で、第2回から第6回までの検討会で各重点課題ごとに個別の施策を議論し、検討した後、もう一度重点課題等を議論し、検討することを考えている。これは、当初から基本方針あるいは重点課題の案を念頭に置いて、個別施策の議論や検討を進めていく方がより効果的であろう、また、個々具体の施策を議論・検討していくに当たり、各検討会ごとに関連の深いものをまとめて議論・検討することが便宜であるといったことを考えて、今回、初回の検討会でご提示することとしたものなので、ご理解をお願いしたいと思う。
まず、基本方針について。基本法は、その総則において、犯罪被害者のためのすべての施策が基本に据え置くべき基本理念とか、あるいは国、地方公共団体、国民それぞれの責務が定められている。これから作成していく基本計画は、初めてのものとなるので、特に基本法の第3条から第6条になるが、基本理念や国、地方公共団体、国民の責務を全うすることができるように基本計画は定められるべきであるという考えである。そのような考え方から、犯罪被害者等のためのすべての施策が基本とするべき方向性とか視点ということで、基本法に定められた基本理念等に基づいた施策を展開していく、そういった旨を規定するものとして基本方針を定めるものである。
基本方針としては、資料3の1ページにあるとおり、4つを掲げている。これらは、基本法第3条第1項から第3項までの基本理念が基本方針として設定するにふさわしい、それと同時に、基本理念に則った施策の策定、実施の責務が規定されておらない第6条、これは国民の責務の規定であるが、この第6条に関する事項についても、4点目の基本方針として設定することが妥当ではないかという考え方に基づいて、掲げているものである。 まず、1の「[1]犯罪被害者等の個人の尊厳を重んじ、その尊厳にふさわしい処遇を保障すること」、「[2]犯罪被害者等のための施策を、被害の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に講ずること」、「[3]犯罪被害者等のための施策を、犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう、講ずること」、この3つは、それぞれ基本法の第3条(基本理念)の第1項から第3項までに対応するものである。それから「[4]国、地方公共団体はもとより、国民全体が犯罪被害者等に対し、理解をし、配慮し、社会全体が協力し合って犯罪被害者等の権利利益の保護に取り組んでいくこと」、これは基本法第6条(国民の責務)に対応するものである。これを規定するのは、犯罪被害者等が被害から立ち直り、地域で平穏に生活していくためには、犯罪被害者等に対する様々な支援のみではなくて、国民が犯罪被害者等について正しく認識し、支援の輪が国民の総意を形成しながら社会全体に広がっていくことが大切であるということで、そうした社会形成に関連する必要な施策を講じていく必要があると考えられるからである。
以上が現段階で事務局からお示しする基本方針の案である。
次に、重点課題であるが、犯罪被害者等の要望は非常に広範囲に及び、また、極めて多岐にわたるものであることから、政府が横断的かつ集中して取り組むべき課題として設定するものである。これらは、各省庁がその一部を担っているという意識のもとで連携・協力し合って横断的に取り組むことが必要で、かつ効果的である課題と、必ずしも複数省庁にまたがらないけれども、所管省庁を中心に特に集中して取り組むべき課題といったものが考えられる。
広範多岐にわたる犯罪被害者等の抱える問題と、それを踏まえたニーズについては、本年2月に犯罪被害団体等からヒアリングを行ったところであるが、その結果や基本法の第2章、第11条から第23条であるが、この基本的施策を踏まえ、次の5つを重点課題として設定してみたものである。
なお、各重点課題は、先ほど申し上げたとおり、個々具体のこれからの施策の議論の便宜のために、今回、提示をさせていただいたものである。また、重点課題の分類は、先ほど施策の現状と犯罪被害者等の要望のご説明のときに用いた分類と同じであるので、ここではそれぞれの重点課題について、該当する基本法上の条を紹介することとさせていただきたい。
まず、「(1)損害回復・経済的支援への取組」であるが、これは基本法第12条(損害賠償の請求についての援助等)、第13条(給付金の支給に係る制度の充実等)、第16条(居住の安定)、第17条(雇用の安定)が関係する。次に、「(2)精神的・身体的被害の回復・防止への取組」についてであるが、基本法の第14条(保健医療サービス及び福祉サービスの提供)、第15条(安全の確保)、第19条(保護、捜査、公判等の過程における配慮等)が関係する。「(3)刑事手続への関与拡充への取組」であるが、これは基本法第18条(刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等)が関係する。
「(4)支援等のための体制整備への取組」であるが、これは基本法第11条(相談及び情報の提供等)、第21条(調査研究の推進)、第22条(民間の団体に対する援助)が関係する。そして「(5)国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組」であるが、これは基本法第20条(国民の理解の増進)が関係する。
最後に、計画期間であるが、本基本計画によって措置される事項の中には、制度改正等にある程度の時間がかかるものもあると考えられる。その一方で、盛り込まれた措置については速やかに実施に移される必要があると考えられる。また、施策の進捗状況を含め、犯罪被害者等を取り巻く環境の変化等、これらを踏まえた適切な見直しあるいは改定を担保する必要もあるということから、事務局としては、計画期間を本基本計画の閣議決定時から平成22年度までの5か年強とすることを考えた。

(構成員)5つの重点課題の中で、連携、協力し合って省庁が横断的に取り組むことが効果的である課題、それから1つの特定の省庁が集中的に取り組む課題ということで書いてあるが、どれがとお考えなのか示していただけるか。

(事務局)例えば、刑事手続への関与拡充への取組は主に法務省の関係だと思うが、その他、損害回復・経済的支援とか精神的・身体的被害の関係とか、支援のための体制整備といったことについては、具体の細かい施策によってそれぞれ違ってくると思うけれども、関連する省庁が幾つか出てくる施策が多かろうということである。今、一つ一つについてはちょっと、時間の関係もあるので。

(構成員)先ほど、例えば今回の尼崎の事件について、厚生労働省がやるのか国交省がやるのかわからないと。そういう縦割りこそが、今まで被害者が非常に苦しい目に遭ってきた根本にある。実際に被害の現場で「どこの省がお金を出してくれるのか決まらないし、命令系統がないからわからない」と言われたままに非常に混乱した状況に置かれて、ケアもできないし、実際に臨床家が行ってもできないということがたくさんある。刑法犯であろうとそうでなかろうと、被害を受けた人の中にはかなりの率で具合の悪い方が出てくる。そして補償も必要になる。そういう点では皆さん、横断的に取り組むというのは何の問題もないことだけれども、少なくとも参加される方は、それがどういうことであるのか理解されてお話しいただきたいと思う。先ほど伺っていてちょっとショックを受けたので、確認していただきたいと思う。

(事務局)まさに今ご指摘のような点、各関係の機関、団体の連携ということも、これからご議論いただく大変重要な論点になってこようかと思う。したがって、まさにそういった問題点を含めて、今後、各具体の施策についてのあるべき姿はどのようなものなのかといったことをいろいろな角度からご指摘いただき、また、ご議論いただければと事務局として考えている。

(構成員)今の問題について、扱ったケースで、精神障害で前に起訴猶予か何かになった人によって息子を殺され、それを阻止しようとして妻が重傷を負った、そういう夫に、起訴されるかされないかわからなかったけれども、とにかく直接支援をした。恐らくそれは、これから全国どんなところでも起こる問題だろうと思う。そういったときに、一体全体それはだれが、どういうふうに、どのお金で即座に直接支援をやるのかというようなことは、あるいは議論を煮詰める段階で問題提起されるかもしれない。

(構成員)犯罪被害にかかわる方には、まず支援をする。省庁で役割が違うのならお金の問題は後で、その中でやってもらえばいいことで、被害者に類するような、同じような体験をされた方を即座に支援するというのは、我々は当然のこととしてやっているので、そういう形でされるのがいいのではないかと思う。

(構成員)もう一つ、今回の事故のような場合もそうだが、集団で何か被害に遭った場合でも、集団で皆さんが「では、どこかで一斉に」というのではなくて、やはりその被害者の方が「自分はここが一番いい」というところを自分で選んで行けるような、そういう体制を整えることもとても大事なことだと思う。それと、犯罪被害の場合は、直後にきちんとした支援をすると、その後の回復の程度が違う。ただ、最近よく「心のケア」とか言われるけれども、犯罪被害者が本当に辛くなって「自分は周りの人とすっかり違ってしまった、もとの生活を取り戻せない、どうしよう」と思うようになるには、実は1年から3年かかる。そのあたりのところを十分理解して、縦割りではなくて、どこの時期でも、どの方でもちゃんと今回の基本法の理念のように、網の目のようにちゃんと、被害者の方の日常生活が少しでももとに近づくことができるようなものを、ぜひこの中で皆さんで考えて、構築していっていただければと思う。

(構成員)幾つかもう既におっしゃられたことだが、1つは、犯罪被害者の範囲の問題だろうと思う。これは、例えば刑事手続の関係などになると、手続的な確実性が要求されるので、あるところで明確な線を引かないといけないと思うが、ケアの問題というのは必ずしもそれと同じでなくてもよく、幅広にとらえて、問題を抱えた方をできるだけケアできるような体制を考えていく。そういう使い分けというか、問題あるいは事柄の性質に応じて柔軟に考えていく必要があると思う。
もう一つは、縦割り云々の問題だが、実質的にどういう問題に対してどういう対応が適切であるのかを考え、その適切な対応をするためにどういう省庁が関係してきて、その連携が必要ならばどういう仕組みをつくるのか。多分これは仕組みをつくらないと、「協力しましょう」「お願いします」と言っていても実際には動かないと思う。そういう順序になるのかなという感じがする。これは具体的な方策の検討の中でいろいろな角度から、こういう問題もある、こういう問題もあるというのを出して、それでまとめていくことがよろしいのではないかと思う。

○ ここで、座長より、今後の検討に関する座長としての基本的なスタンスについて、概略以下のとおり、紹介があった。
「実を申せば、こういういろいろな会合で司会の役をしたことがあるが、だんだん慣れてきて私の思ったことは、まず最初に議論するみんなが、どういう雰囲気なのか全く知らないでこういうところに参加された方もあるだろう。だから、そういういろいろなメンバー同士がとにかくいろいろな立場、いろいろな考え方、あるいは問題に対するアプローチ、くせ、そんなものを一番最初にぶちまけ合ったら、お互い同士が留保しないで率直に議論に参加していただけるのではないかと思ったので、あまりきちっきちっとしないで、それでお話が進んでいくようにというつもりで先ほどから私……。もうちょっと司会はきちっとしろと思っておられる方が多いかもしれないけれども。
先ほどもお話が出たとおり、去年の12月にできた犯罪被害者等基本法、これは本日お配りいただいた資料の中にもあるように、犯罪被害者等の施策の現状はどうなのか、それから犯罪被害に遭った方々がどういうことを希望しておられるかといったことを今年の1月から3か月、4か月という非常に短い期間の間にこれだけまとめていただいたことは、本当に大変な努力だったと思う。そういう意味で、事務当局のご努力に大変敬意を表したいと思っている。そして、この検討会はそれを追認するのではなくて、それを一つのたたき台として、基本法に基づいて、犯罪被害者のためにどういう施策が必要であるのか、どういう施策が被害者にとって大事なのかといったようなことを総合的、計画的に進めるための実りある提案、その提案づくりをするのが私たちの役割だと思う。
先ほどもご案内のように、犯罪被害者等のニーズを踏まえて第3条の基本理念、あるいは第11条以下の基本的施策の論点、これを、言ってみれば議論のスタートラインとして、このスタートラインに沿って、より具体的な施策、これを私たちの知識と経験でもってみんなで論じ合いながら、そういうものを求めていこうと思う。そういった場合に、この具体的な施策について何か問題があるとか、あるいはそれはちょっと今の法律とは矛盾するとか、あるいは公共の福祉に反するといったような特段の理由があればともかく、そういうものがない限りは、できるだけ理想に合ったようなものを実現しよう、そのためにみんなで力を出し合おうではないかと考えて、今後、大いに活発な議論をしたいと思う。
それから、言葉が過ぎたら訂正するが、このいろいろな重点項目とかそういったものは、現在までの日本の被害者が不満に思っているところ、あるいは「こうしてほしい」というようなものが出てきているわけで、それから、内閣府にお集まりの各省から選り抜きのすぐれた方々がそれぞれお考えになって、「こうではないか」といったことでできたものだが、もしかすると、他の国ではこういうおもしろいことをやっているから日本でもやってみたらどうだとか、自分たちが実際にやってみて、こういう解決がもし日本でできたらどんなにいいかというようなこととか、要するに、ここにあるたたき台を最小限の議論の出発点と考えないで、それが最小限かもしれないけれども、とにかくここにないものでも、被害者のためによかれと思って「こういうものはどうだろうか」というようなアイデアがあれば、ぜひそういうものも披瀝をしていただいて、それで「どうだろう」と。その議論のときに、「どうせ金が出てこないだろうから、こんなこと議論するのはやめておこう」なんて思わないで、被害者にとって何が大事なのか、どうすることが彼らを立ち直らせ、社会生活が普通の市民と同じようになるためにはどういう工夫が考えられるだろうかというようなことを、本当に腹蔵なく議論していただきたいと思う。
ある意味では我々は、大久保さんを除いては被害経験がないわけで、そういう意味ではちょっと……(「岡村委員が」の声あり)すみません、大変な方がおられるのを忘れていた。そういうことで、本当に気の毒な被害者あるいは被害者の遺族、こういう人たちにできるだけ理想的なものが実現できる、あとは政治とか行政が決めることであるから、そのもとづくりになる我々の議論においては、ぜひいろいろなアイデアをお出しいただきたいと考える。そういう意味で、司会としては、時々「司会はもう少し黙ってりゃいいのに」なんていうようなことがあるかもしれないが、こういう点はどうだろう、こういう点はどうだろうと、皆さんが遠慮しておられると思ったときには私が挑発的なことを言うかもしれないが、ぜひお許しいただきたいと思う。」

○ 今後の検討スケジュールについて
検討会における今後の検討スケジュールについて(案)(資料4)について、事務局より説明し、特段の議論なく、自由討議に入った。

○ 自由討議
(構成員)今、検討会の今後の議論の進め方についてご説明があったが、その点で、1点ご提案させていただけないか。
この検討会で犯罪被害者等の方々のための施策をご議論していただくに当たっては、犯罪被害者等の方々のご希望を十分に踏まえる必要があることは当然であるが、その場合に、そのご希望のあらわれ方にはいろいろある。例えば先ほどの基本方針、重点課題とマトリックスのようになったものでは、ご要望の中身それ自体にしても、非常に具体的なある特定の国における制度をイメージされたものと、むしろそうでもないものといったさまざまな項目が並んでいるけれども、いずれにしても、こういった方々が真に望んでおられるニーズのコアの部分を注意深く見極めていただいた上で、そのご希望を実現するために一体どういう施策を考えていけるのかといった形でのご議論が重要ではなかろうかと思っている。
具体的に申せば、これは次回以降の検討テーマではあるが、この要望事項として書かれていることそれぞれが、一個一個同等の意味合いにおいてと言われると、どうなのかなと。つまり、附帯私訴制度の導入や損害賠償命令制度の導入など、幾つか並んでいるけれども、これはある意味、それぞれの国の司法制度のあり方等を踏まえて、確かに外国の法制にあるけれども、具体的な制度の組み方の違いはあるにしても、結局、刑事手続の成果を利用することによって損害を回復するための制度をきちんと整備してほしいというご要望ではなかろうか。また、こういった意味合いから見ると、同じ大きな枠の中にありながら、ここでの小項目としては別のところに書かれているご要望の施策が、実質においたら相互にリンクしておるものもある。また、刑事手続への参加の拡充への取組という中でも、起訴への関与などといった項目と公訴参加制度の導入などについても同様、これは刑事手続に被害者などとして直接関与したいというご希望のあらわれであるように思われ、そういう意味で、そのニーズのコア、お望みのところの実質には共通するものがあると思われる。 現実的にそのニーズにどういう形でこたえて施策を講じていくのかということを考えてまいれば、これらの要望事項をご議論いただくに当たっては、実質が共通すると考えられるものについては一個一個順次に取り上げるというよりも、ある程度、適宜グループ化するなど一体として相互に連関するものを、ニーズを実現する施策の一つの例示というふうな形でご議論いただいた方がいいのかなという気がする。

(構成員)先ほどちょっと申したとおり、これは、このときはこれしか議論しないという意味ではなくて、議論をするきっかけとしてこういうふうに整理されたものと考えたいと思っているし、実は、この項目にない問題がある。例えば矯正にしても保護にしても、法務省の問題として、被害者のことを考えながら立ち直りのための処遇をしてください、こういうふうに言うだろう。矯正研修所などにその話をすると、謝りたいんだけれどもどうやって被害者のところにアクセスするのかという質問が来て、困って、その被害者がもし東京都都民センターのテリトリーのところにおられ、そういうケースを我々、持っていたならば、その被害者に意向を打診して、そして「加害者が謝りたいと言っているんだけれども会ってくれないか」というようなことは都民センターが絡むものならばできるかもしれないと答えたことがあるけれども、そういうように、これは全国どこでもと考えながら制度化するときには、やはりそういう問題はどうしたらいいかといったことをどこかで議論しなければならないだろう。
だとすると、例えば矯正がどうなるかとか保護がどうなるかといったときに矯正や保護の関係官が一緒に来てくださるかどうか、そういう話題がいつ出てくるかがわからないと困るだろう、そういう意味では。

(構成員)その意味で、逆に一回一回それらの項目をすべて終わらせてしまうことが無理な場合はあろうかと思う。事柄によっては相当大きいテーマもある。それと、今おっしゃった話は、見ようによっては、被害者に関する情報の加害者への伝達というのが1個あるけれども、もう一方で、逆に加害者側への被害者側からのアクセス、その情報の結節点をどうやってつくっていくか。実は似たような、情報提供でもありながら、またそれが1つ上の、出所の際の住居等の情報開示とかいろいろある。1人の被害者の方が被害に遭われてから、最後、本当に社会復帰されるまでの間にさまざまな事象があるけれども、その切り方が違って別項目になっている点もあるので、その意味で、1回ですべてが終わる、1回ごとにそのテーマを終わらせるというのは難しい部分もあるし、ほかのところに乗っかっているテーマと、実際問題としては非常に関連している事柄も多々あろうかと思う。

(構成員)実質同じ意見だが、結局、これだけの回数で案をまとめないといけないということなので、細かな、技術的な話に終始してはだめだと思う。だから、コアとおっしゃったけれども、結局、実質的に何が必要とされていて、どういう方向で解決していかないといけないのか、そういう議論をすべきだと思う。ここに挙げられているいろいろな制度はその材料であって、しかも、外国でやられているのを勉強しながらということなのだろうが、外国でやられているのは、そういうものが出てきたバックグラウンドとか、司法制度のあり方とか、いろいろなものを反映したものなので、それにあまりとらわれると、必ずしも我が国にふさわしいものかどうかわからない。だから、実質何が必要とされていて、どういう方向でそれに対応して物事を解決していくか、あるいは制度をつくっていくのか、そこをまず押さえるべきだと思う。外国の例を決して軽視するわけではないけれども、大いに参考にしながら、しかし、我が国にふさわしい問題解決の仕方というのは何なのか、そのコアをとにかくここで議論するというのが今の段階では必要だと思う。そういう意味で、さっきの意見には賛成である。

(構成員)実は私が懸念しているのは、それは少数の極端な例かもしれないけれども、「こういう制度があるじゃないか、なぜ日本にそれを取り入れないのか」といった場合に、ちょっと待って、日本は当事者主義なので、職権主義でうまくいっているからといって当事者主義でそれができるのかと、一歩退いて外国のことを考えることが大事だと内心思っていて、それにしても、あまりそれにとらわれて「日本で採用できるもの」とすぐ結論を出してしまって、それで議論が膨らまないとつまらないなという意味で申し上げた。

(構成員)そこは実質同じ意見で、ただ先ほど言ったような形で議論すると、その制度の中に入っているせっかくのいい知恵とかアイデアを全部トータルで拒否してしまうことになってしまうおそれがある。むしろそういう中身というか、アイデアを学び、それをどういう器でつくっていくのか、そういう議論の仕方の方がいいのではないか、そういう趣旨で申し上げた。

(構成員)その点であるが、新しい提案をすると「今の日本の司法構造ではできない」とよく言われる。「今の制度を改めてほしい」と言っているのに、今の制度ではできないとよく言われる。それでは、一体いつになったらできるんだということになる。だから、今の制度がおかしいと言っているのだから、それではどう変えればいいかというところまで議論していただかないと意味がない。例えば、参加についてはその機会を増大しろと基本法はうたっているのだから、後戻りするような議論は意味がない。どう進めるかということについて議論していただきたいと思う。
それからもう一つ、ちょっとこれ聞き落としたかもしれないが、第6回に骨子案が出るということだが、これは、それまで議論されたことが6回目にまとめて出るのか。

(事務局)いえ、先ほどご説明したのは、今日お示しした基本方針、重点課題、計画期間の骨子案については、第2回に出すのではなくて、全体の個別の施策の議論が終わる第6回に改めて、個別の施策の議論を踏まえてもう一度大枠についてのご議論をいただいた方がいいだろうということで、第6回にお示しするという意味。

(構成員)とすると、例えば2回目に議論して、議論した結果が、骨子案という格好で出るわけではないわけか。

(事務局)その点をもう一度ご説明すると、具体的に、第2回目の損害回復・経済的支援への取組のご議論を5月23日に行っていただく。そのときの議論を踏まえて事務局で骨子案という形で整理して、それを第3回の基本計画検討会、これは6月6日予定だが、その際に事前に構成員の皆様にお配りして、それを踏まえて第3回で、第2回にご議論をいただいた損害回復・経済的支援への取組の骨子案について、まずご議論いただく。その後に、第3回のご議論のテーマである精神的・身体的被害の回復防止への取組についてのご議論をいただく、こういうイメージ。

(構成員)そして、その次回に3回目の……

(事務局)そうである。だから、もちろん第2回の検討会の前には損害回復・経済的支援への取組の論点を整理したもの、これも前広にお配りをして、それでご準備いただいて第2回に臨んでいただき、そして、第2回のご議論の結果は終了後、骨子案という形で事務局で取りまとめをして、第3回目。そして順次議論をしていただいて、骨子案にまとめて次回に検討、こういう段取りで考えている。
ただ、私が「基本方針、重点課題、計画期間については、第2回ではなくて第6回に」と申し上げたのは、そもそも全体枠については、基本的には具体的施策について全部ご議論いただかないと、その是非についてのご議論もなかなか難しかろう。ただし、一番最初にお示しして、構成員の皆さんにイメージを持っていただいた上でご議論いただく方がいいだろうという便宜を考えた上でのことである。したがって、本日お示しした骨子案については、次回ではなくて第6回に提示をし、再検討していただこうと考えている。

(構成員)簡単に言えば、総論部分は各論部分を議論した上でもう一度議論してということなのだろう。

(事務局)そのとおり。

(構成員)論議の進め方について確認させていただきたいことがあるが、それは、国の施策と地方公共団体の施策の問題だ。杉並区の被害者支援の条例の検討で、国にはできない施策、あるいは国よりも地域の方が向いている施策ということでヘルパーの派遣であるとか生活の支援、育児の支援、あるいは住宅の確保、あるいは国にはない制度だが貸付金とか、そういう案をいろいろ出し合って答申をまとめたところだが、ここで論議するのは国の施策ということか。それとも、地域でできることに関しては総務省とかそういう方がかかわる、そういう形でされることになるのか。

(事務局)もちろん、犯罪被害者等の方への施策というものは、国あるいは地方公共団体、あるいは国民それぞれの責務として規定されているように、その内容によって、それぞれその役割分担ということもあるだろうし、また、連携という問題もあるだろうから、もちろん国の施策に限ってというようなイメージは持っていない。もちろんトータルとしてどういう対応、あり方がいいのかをご議論いただく、そういう考え方を持っている。

(構成員)その被害者の方がもとの日常生活に一日でも早く戻れるような、そういう施策をたくさん盛り込んでいただきたいと願っている。ただ、こういう論議をすると、もともとある法律がどうしてもイメージとして大きくなって「それは無理だろう」と考えがちだが、新しいものをつくるわけだから、なければつくればいいと思う。そうでなければ、これだけ変化をしてきた日本の社会の中にきちんと浸透していかないと思うし、また、次世代に安全で安心な社会を贈るのは今の大人たちがやるべきこと。この基本法をしっかりとしたものにつくり上げることは必ずや次の世代に役立つので、みんなで力を合わせてつくっていくことができればと願っている。

(構成員)この検討を進めるに当たって、ちょっと検討していただけたらと思うが、内閣府の方々のご努力で、非常に細かい要望が各団体から吸い上げられているけれども、各団体に所属していない方々、あるいはある年齢のターゲットの方々で意見が吸い上げられない層がある。例えば、乳幼児の虐待について乳幼児には聞けない。あと、ここで漏れているのは児童虐待の直接の学童であるとか、あと、女性の性暴力被害者、ドメスティック・バイオレンスの被害者。そして、実は身体被害者が一番多く訪れるのは、精神保健ではなく身体医療である。救急であるとか、あるいは産婦人科であるとか。そういった声は、まだ今の段階ではここに反映されていないと思う。それをいきなりこの場に持ってきて全部議論するのは、とても難しいことではないかと思うので、もし可能であれば、例えば事前にあるテーマについて各委員からの意見をいただいて、それを事前に確認した上でまたこの場で議論すると、時間の無駄というのもおかしいが、すぐに深まった議論ができるのではないかという印象を持っているので、各論点について事前に意見を聞いていただくような形があったらよいかなと思う。
もう一つ、これはお願いできることかどうかわからないが、ここに出ておられない省庁で私が大変出てきてほしいと思っているのは、実は文部科学省。なぜかというと、1つには、被害者に対する啓蒙、啓発というのは学校教育からなされなければいけないと思う。これはさっき「外国の」とは言ったけれども、欧米ではかなり学校教育を使って予防がされている状況がある。だから、それを学校教育に取り入れていただくことと、もう一つは、今、子供の被害は学校現場で起こることが非常に多いのは皆さんご存じだと思うし、そのケアに当たるのは、文部科学省が中心となってスクールカウンセラーが出ているので、非常に被害者支援にかかわっている省である。もう一つの問題は、心のケアに当たるカウンセラーの養成にかかわっているのは、厚労省ではなくて文部科学省の方が中心である。だから、臨床心理士も含めてカウンセラーに対する施策を盛り込むんだとしたら、ぜひ文科省の方にもご参加いただいた方がいいのではないかと思うので、どこだかの場面ででもかかわっていただけたらと思う。

(事務局)2ついただいたが、まず、事前に構成員の皆様のご意見を伺うというのは、私どももそういうふうに考えており、論点を整理したものを前広に送付させていただき、それに対してご意見を承り、限りある回数の中で効率的なご議論をしていただけるようにと考えているので、そのようにさせていただきたい。
それからもう一つの、文科省の出席ということだが、先ほど推進会議の席でお決めいただいた中に「検討会は、必要に応じ、関係行政機関の職員その他の者の出席を求めることができる。」とあるので、ご議論の中身によって関係省庁の出席を求めて必要なヒアリングをする、あるいは意見交換をすることは十分可能と考える。

(構成員)そうすると、例えば何回目にそういう問題が出そうだというときには連絡をして、事前に来ていただく。

(事務局)そうである。

(構成員)被害者のヒアリングも随分幅広く吸い上げられていて、ここで非常にきれいに整理されている点、ご努力は非常に多とするが、私もこれを拝見しながら感じたのは、世の中の組織とか仕組みというのは、つくるのはいいけれども、それは具体的に動かしたり後押ししたりしていく場合には、世の中の意識の改革というか、そういうものが大事だろうという感じがしていて、それに果たす教育の役割というか、そういうことを考えると、文部科学省もいてしかるべきかなという感じを持っていた。それは、全く検討の対象にはなっていなかったのか。

(事務局)もちろん関係のあるところとして、また、ヒアリングの中でも文部科学省に関するご要望も出てきたが、推進会議のメンバーは法律で10人以内となっており、その構成の中で、特に関係の深い大臣と有識者の方ということで指定・任命されたものと認識している。ご指摘のように、必要な意見交換やご議論については、先ほど申し上げたような枠組みもあるので、そういった中で十分必要なご議論をしていただけるように、また、座長ともお諮りをして進めていただければと思う。

(構成員)その点、司法制度改革の中で法教育の推進というのをうたっていて、法務省の方でも、そういうことについての検討会を設けて議論を進めてきているはず。そこだけの問題ではないと思うが、そういうものとも連携をとりながら、そういう教育を進めていただくことは非常に大事ではないかと思う。
それと、法律家の教育においても、これまでそういう視点が全く抜けていたと思う。しかし、学生の間では非常に関心が高い問題であり、いろいろな方に来ていただいて、まず話をしていただくことが最初かなと思っている。なるたけいろいろなところでこういう問題についての理解を広めていくことは必要なのではないかと思う。だから、第6回の検討などは、まさにそういうことだと思う。ただパンフレットを配ればいいという話ではなくて、やはり時間をかけて忍耐強くやっていかないと、理解は広まらないのではないかと思う。

(構成員)先ほど、これだけの項目があって、これをすべて同等にというか、話をすると時間もなくなるだろうし、コアを見つけてと。それについては私は賛成だが、それにしても、この議論の仕方として、10項目あったり12項目あったり、7項目であったりということもあるけれども、これを120分で割ると1項目12分ぐらいしかできないという計算になってしまう。さて、これをどうしてやるのかな、宮澤座長の腕の見せ所かなと思ったりしているが、どう考えたらよろしいか。

(事務局)先ほど申しあげたように、本当に多岐にわたる項目についてご議論いただくことになるので、事前に論点を整理して、その中には関係省庁の現行施策を踏まえた取組の考え方とか、あるいは先ほど「コアを」ということであったが、被害者の方々あるいは支援団体の方々からのご意見の、評価という表現が適当なのかどうかわからないが、まさに「これとこれについては、こういう対応でどうなんだろうか」というようなものも含めた、いわゆる議論をしていただく前提となる論点を整理する資料を前広にお届けしたいと思っている。そして、先ほどご意見いただいたように、それについてのご意見も事前にいただけるものはいただいておき、それをまた必要に応じてフィードバックさせていただいたり、そういった形で限られた時間の中でご議論していただこうと。五十歩百歩かもしれないが、2時間半を考えている。いずれにしても、限られた時間で十分なご議論をいただけるように、会議に臨んでいただく前のいろいろな事務的な段取りというか、そういった必要な対応をさせていただくことによって、効率的にご議論いただけるようにという努力はしてまいりたいと思う。

(構成員)その場合、その都度ご予定もあるだろうし、必ずしも確定的なことはお話しいただけないのかもしれないが、大体どのぐらい前にいただけるか。1週間とか10日とか。

(事務局)事務的には、遅くとも1週間前とは考えている。

(構成員)ちょっとお尋ねしたいが、何かこちら側が希望する資料があれば、それを出していただくことは可能か。具体的に言うと、例えば、第1回目に損害回復とか経済的支援とあるけれども、日本の国では罰金がどれぐらいあって、具体的にどういうことに使われるとか、刑務所の間の報償金はどれぐらいで、皆さんどんな形でそれを持って出ていくのかというあたりの資料があると、物事を考えるときに大変役立つと思う。例えばそのほかにも、加害者にかかわっている金銭的なものもある。そのあたりの資料も、出していただけるようであればお願いしたい。

(事務局)もちろん、ご指摘のように考えている。ご議論いただく前提として、現在の実態がどうなっているのかという資料、これは不可欠だと思っている。なおお気づきの点があればこれからもどんどんご指摘いただければ、そういう資料ももちろん準備をし、前広にお届けしたいと考えている。

(構成員)冒頭にご質問があった、DVとか児童虐待とか、性暴力とか、被害者等でまだ拾い上げられていないものがあって重点課題に影響するということがあれば、早くお聞きしなければ進んでしまって間に合わなくなってしまうということがあるので、そこはまとめられるものか。いつごろまでにそういう意見を吸い上げることができるだろうか、あるいは特別セッションみたいなものを設けなければいけないのか。早目に取り上げないと重点課題に影響してしまうだろう。

(構成員)そう。早目にやらないと。恐らく幾つかのところにかかわってくると思う。

(構成員)その都度、出てくればいいということか。

(構成員)ただ、基本的に幾つかの団体にヒアリングをなさったように、本来は、やはりそういうものがあるべきだと思う。やはりたくさんの要望を持っていらっしゃるので。なかなか大きくてしっかりした団体がないのも事実だが、それがこういう被害者の特徴。だから、やはり幾つか当たる努力をまずしていただくのと、こちらからも、例えばNPOの情報などはぜひ差し上げたいと思うけれども、それを早くしていただいて、かつ、例えば実際にそういう方に出会っている専門家も少数ながらいるので、そういう方から汲み上げることも考えていただきたい。もちろんご協力はする。

(構成員)それでは、具体的にあとどういうケースが足りないとお考えか。ここでパッと見て。

(構成員)まず、女性の被害。確かに、DVと虐待というのは虐待防止法、DV防止法の方で扱われてはいるけれども、ここの中に入ってくる部分もある。それから、実際障害を負うにしても非常に様々な形があって、この中に拾われていないような人たちもあると思う。そういう意味で言うと、例えばストーカーの被害とか、そういうものも拾われていないと思う。今、漏れなく挙げることは難しいので、それも含めて考えさせていただいて、なるべく早くご報告したい。あと子供の、亡くなった人の親御さんからのご意見はたくさんあると思うが、障害を負った子供とか性犯罪の被害を受けた子供というのは、なかなかこういう当事者の意見として出てこない。それもかなり大きい。考えてみるとこれもある。ぜひ早目に進めていただきたい。

(事務局)今の点について、事務局としても、これからも足りないところは十分吸い上げる努力をしていきたいと思う。DVと児童虐待、つい最近また団体ができたようで、そこからもまたお話を伺って、ご議論に反映できるようにしたい。

(構成員)DVの方は、法律ができたこともあって、比較的吸い上げは可能だと思う。非常に難しいのは、やはり子供の当事者の要望と性暴力被害、特に単発の性暴力被害が難しいと思っている。

(事務局)委員にも、そういった意見をお聴きいただいて、こちらにも情報をお寄せいただければ、ご議論に反映できるようにさせていただきたいと思う。

(構成員)むしろできるところをご紹介して、やっていただいた方がいいように思うので、ご紹介したい。

(構成員)課題によっては個々のいろいろな要望と、それから所管の省庁とでなかなか間を詰められないような問題も出てくるかと思う。そこの調停は非常に重要な問題だと思うけれども、場合によってはワーキンググループのような小さなものであるとか、そういうことは考えられないか。原則として、事務局が個々に間を連絡して調整というか、そういうことなのか。調停に関してはどうお考えか。

(事務局)各関係省庁との必要な連絡とかそういったものは、当然私どもでさせていただきたい。

(構成員)例えばコアの部分は個々でとって、しかし、具体的にするんであればこういうのが来るということを、やりとりする時間があるだろうか。それがあればできるものも大分広がるだろうが、時間的になくて、ぎりぎりできつい判断を迫られる可能性があるかもしれない、そういう感じがするので。

(事務局)いろいろなケースがあろうかと思うけれども、基本的には先ほど来ご説明申し上げたような段取りで、会議の前の作業を事務局として鋭意努力してまいりたいと考えている。

(構成員)先ほどの続きだが、やはりこの基本法というのは、被害者に権利が与えられていなかったという反省からスタートしている。そして、その権利・利益を守るような制度をつくらなければいけない、そして被害者の尊厳と、それにふさわしい処遇を保障される権利がなければいけないということになっているので、今までの制度がどうだからということよりも、被害者の尊厳を守るためにはどうすればいいかということで前向きに考えていただきたいと思う。今までない裁判員制度というとてつもない制度だってつくってしまったのだから、それに比べれば附帯私訴とか参加というのはずっと小さいと思う。 それから、4月21日に最高裁の判決が出た。最高裁の今までの判決は、捜査、裁判は公の秩序維持のためにやるのであって、被害者のためにやるのではないということでずっと来ていたが、4月21日の最高裁判決では裁判長の少数意見があった。犯罪被害者が提出した証拠物が捜査中に処分された、それによる損害賠償請求の事件だが、少数意見は、「犯罪の被害者は、個人の尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される人格的権利を有する」、「告訴権も人格的権利の一部をなす」として、基本法の表現がそのまま使用されている。その証拠品は被害者が所有権を放棄して捜査当局に出したものだが、少数意見は、被害者は捜査がきちんと行われるように期待することの利益を持っていると踏み込んだ。多数意見は今までのとおり、公の秩序維持のためにやるということではねたのだが、少しずつ司法も変わってきている。私どもは、裁判制度、捜査は被害者のためでもなければいけないと言ってきたが、それがだんだん変わってきている。だから、その辺はお考えに入れられて、被害者が何を望み、何を欲しているのか、それを与えるにはどうすればいいかという点を前向きにお考えいただいて、あまり今の制度ばかりに目をとられないようにしていただきたい。

○議論の後、犯罪被害者等施策担当大臣から、概略以下のとおり、締めくくりの挨拶があった。
「今、ご指摘があったように、この作業は大変重要な作業だと思う。しかし、被害によって毎日お苦しみの被害者のことを考えると、一刻も早くその作業を形づくらなければいけない、そういう要請もある。推進会議で定められた12月に基本計画をつくるという時間的制約と、大変意欲的な内容をつくらなければ期待に添えないだろうという要請とで、この数か月というものは、委員各位に大変ご無理を申し上げるスケジュールになるだろうと思う。事務方も、考えてみれば4月に施行になって、ほとんど5月の今日からスタートで、3か月で骨子をつくるということなので、事務方も督励するが、なかなか大変な作業で、これはみんなでフル回転しないと予定どおりスケジュールが全うできないかなと思うので、まずは皆さん方のご協力を枉げてお願いを申し上げたいと思う。みんなで力を合わせてやればできないことはないだろうと思う。
皆さん方がお感じになっているように、大変不完全ながら被害者のための既存の制度もあり、そういう既存の制度があるがゆえに縦割りになっていた、特に原因者があるような場合には縦割りな制度を形づくってきたところもあるし、新しい制度をつくるというのは、やはり役所との関係でも困難が予想されることだろう、担当大臣としてはそう思っている。しかし、皆さん方のご支援をいただければ、そうした困難を乗り切ることができるのではないかと思うので、改めて皆さん方にご支援を賜りたい。
先ほどご指摘のあった文科省の件についても事務方が検討すると思うし、私も、この社会はカウンセラー制度が非常に貧弱だとかねてから思っていて、政治的にもやや、もっと改善しなければいけないという動きもあるが、こういう制度の改善も含め、どうかひとつ今後とも皆さん方のお知恵を賜りますよう心からお願いして、今日の私の皆さん方に対する感謝の言葉とさせていただきたいと思う。」

○ 最後に、座長より、次回は5月23日午後2時から開催の予定であり、詳細が決まり次第、事務局からご連絡申し上げる旨、発言。

(以上)

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