京都府 (施策担当窓口部局)府民労働部 安心・安全まちづくり推進室
◆犯罪被害者等支援施策に取り組んだ背景や経緯
- 平成16年12月、「京都府犯罪のない安心・安全まちづくり条例」が制定され、その条例を具体化し総合的に推進していくため、平成17年12月、「京都府犯罪のない安心・安全なまちづくり計画」が策定された。
- この間、国では平成16年12月に基本法が成立し、平成17年12月に基本計画が閣議決定され5つの重点課題が示された。
- 京都府では、国の基本計画や、平成17年12月京都府内で起きた学習塾での殺人事件等を踏まえ、平成17年度には条例の一部改正、平成18年度には府民意見等を聴取して「犯罪のない安心・安全なまちづくりアクションプラン」を犯罪被害者等の支援の充実に特化した改訂版として府警と一体で策定した。
- 当該施策を進めるために京都府としてコーディネーターを置くことになった経緯として、国の258施策の中に「コーディネートすること」という文言が頻繁に顕れていることや、有識者とワンストップサービスの実現のために「具体的に何ができるか」という問題提起について話し合う中、行政がコーディネーターを抱えることが最も望ましいとの結論に至った。
- コーディネーターの選定は、府主催の市町村研修の講師に依頼したことや、被害者遺族としての講演をお願いしたことが契機であった。
◆犯罪被害者等支援施策に関する各種取組
【担当部局の業務】
- 犯罪被害者支援に係る国、京都府、市町村、警察本部の関係行政機関をはじめ、法律・医療・精神的支援などに関する民間機関等によるネットワークを構築し、犯罪被害者等を総合的に支援する「犯罪被害者サポートチーム」の運営事務局を担う。
- 府民への広報啓発により犯罪被害者支援についての理解を深める
- 管内市町村への取組の促進と庁内外の関係機関(部署)と連携強化。
【推進体制】
- 犯罪被害者等施策の執行は、「京都府犯罪被害者サポートチーム」が担っている。
- 安心安全まちづくりの推進体制として、庁内や府警本部の幹部レベルで構成されている「犯罪のない安心・安全なまちづくり推進本部」があり、現時点では防犯を中心に取り組んでいるが、今後、犯罪被害者支援に関する取組も加わることになることも十分に考えられる。
【施策・事業等の特徴】
- 「京都府犯罪被害者サポートチーム」は、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるよう、公的・民間機関が連携し、臨床心理士や社会福祉士で自身も被害者遺族である方などをコーディネーターとして配置し、被害者等からの相談によりコーディネーターがニーズを把握し、庁内各部署、関係機関、市町村などと連携を図り、総合的に被害者支援を進めていくものである。
【総合相談窓口の概要】
- 被害者等から相談依頼があった場合に、まず担当職員が話を聴いた上で内容に応じてコーディネーターと連絡を取り、日程調整の上、相談ブースを利用してコーディネーターが相談を受ける。
【窓口の相談実績】
- 平成20年1月25日に新聞報道などで発表してすぐに、3件の相談依頼の電話があった。
【独自事業の内容】
- 「京都府犯罪被害者サポートチーム」が全国初の独自事業である
(体制イメージは3-3.の図を参照)。
<全国初の内容>
行政・民間機関を交えた犯罪被害者支援ネットワークシステムの運用
犯罪被害者支援コーディネーターを核とした犯罪被害者支援の実施
◆各種取組を企画立案・実施するにあたり、苦労した点や工夫・留意した点
【地域のニーズや状況を踏まえ施策に反映した点とその方策】
- 京都府犯罪のない安心・安全まちづくり(犯罪被害者等の支援の充実)アクションプラン策定時に、被害者団体、民間支援団体からの意見聴取の実施、府民向けのパブリックコメントを実施した。
- 犯罪被害者等からの情報収集、支援機関への情報提供をするにあたり、個人情報保護の観点から、想定できる限りの状況を例示して、個人情報保護審議会に対して諮問を行った。
【施策推進にあたって関係機関との意識共有・連携協力を進めるための方策】
- 平成18年度から既に民間支援団体が実施している広報啓発、相談窓口、臨床心理士による専門相談に対して補助金を拠出し、財政的支援をしている。
【地域住民等への理解促進・協力を得るための方策】
- 具体的な広報は、ホームページや関連イベントなどを通じて行っている。
- カルチャースクールである「高齢者大学」への新規カリキュラムに犯罪被害者対策を盛り込み、被害者支援に精通した弁護士や、サポートチームのコーディネーターの一人である大学教授に講師をお願いしている。
【施策の実施前後の地域における情勢変化】
- 報道関係者が犯罪被害者サポートチーム設置に続く、京都府の次の動きに注視している。また、このサポートチーム事業が根付いてきたところで、長期取材をさせてもらいたいとも言われている。
【犯罪被害者支援のあり方・関わり方】
- 通常、被害者等の相談には経験などを有している民間支援団体の協力を仰ぐことが多いが、京都府の総合力を活かすためには、民間ばかりに依存していてはいけないと考え、府独自にコーディネーターという形で支援の専門家を持つ必要性を認識した。
- 担当職員はコーディネーターへスムーズに引き継ぐことを主業務として当たり、実際の相談などの支援は専門家であるコーディネーターにお願いすることとしている。
- 京都府としては、市町村や、支援センターなどが動きやすいようにバックアップすることが重要な業務と考えている。