参考資料―II 主な参考事例

秋田県 (施策担当窓口部局)生活環境文化部 安全・安心まちづくり推進課

◆犯罪被害者等支援施策に取り組んだ背景や経緯

  • 当該施策への取組の機運としては、全国的な子供被害の殺人事件の発生、被害者軽視の対応などが見られるようになってきたからである。
  • 平成10年、秋田県警察本部が事務局となって秋田県被害者支援連絡協議会を設立し、県内の関係組織が被害者支援を行う基盤づくりが整った。
  • 平成17年犯罪被害者等基本法が施行され、秋田県としても県と警察が初協議を行い、県の基本計画を策定することが決定された。
  • その後、「秋田県犯罪被害者等支援基本計画(仮称)グランドデザイン(案)」を検討、パブリックコメントなどを募集し、同年上記協議会において了承を受け秋田県知事へ提言した。
  • 「同基本計画(仮称)グランドデザイン」を基に、「「犯罪被害者等支援基本計画(案)」を作成し、パブリックコメントを募集、平成18年2月「同基本計画」を策定した。
  • 同年4月、同基本計画を施行し、安全・安心まちづくり推進課に総合的対応窓口を開設した。

◆犯罪被害者等支援施策に関する各種取組

【担当部局の業務】

  • 県の役割としては、広報啓発を中心に総合的対応窓口の開設など、基本計画の推進及び被害者等の方の適切な関係機関・部署などの調整機能を行う。

【推進体制】

  • 秋田県被害者支援連絡協議会において県内の関係機関・団体と連携し、当協議会が母体となって、秋田県犯罪被害者等支援基本計画の施策を推進している。

【総合的対応窓口の概要】

  • 当課の窓口あるいは電話等で相談を受け付け、内容を十分に聴いた上で、警察や犯罪被害者等早期援助団体となっている秋田被害者支援センターなどの適切な窓口を紹介することとしている。
写真:犯罪被害者等に関する総合的対応窓口

◆各種取組を企画立案・実施するにあたり、苦労した点や工夫・留意した点

【地域のニーズや状況を踏まえ施策に反映した点とその方策】

  • 「犯罪被害者等支援基本計画グランドデザイン」策定時及び「同基本計画」策定時の2回にわたってパブリックコメントを実施して、策定の参考とした。
  • 被害者からの「手記を作成してほしい」との声を取り入れて、「犯罪被害者等の手記」を作成した。
  • 市町村の実務担当者の意見も取り入れた。

【施策推進にあたって関係機関との意識共有・連携協力を進めるための方策】

  • 県下市町村の担当者会議として研修会など年4回(全体会1回、ブロック別3回)開催した。また、犯罪被害者週間「県民のつどい」への参加・協力要請も行っている。
  • 秋田県被害者支援連絡協議会を年4回(総会1回、部会3回)開催した。通常は総会を開催する程度のところが多いが、当協議会では、少年問題研究部会、交通事故問題研究部会、性犯罪問題研究部会を設置し、活発な連携・意見交換を行っている。
  • 関係機関へのメールマガジンの配信を実施している。

【地域住民等への理解促進・協力を得るための方策】

  • 地元新聞の社説で取り上げてもらったり、手記の募集、研修会・協議会総会・国民のつどいの様子などの報告記事を掲載してもらっている。
  • 国民のつどいの様子をテレビ番組で放送してもらった。
  • ホームページや県の広報誌に募集・紹介の記事を掲載している。

【施策の実施前後の地域における情勢変化】

  • 被害者の方からの要望で手記を発行したが、自殺防止団体、老人クラブ、個人から「手記が欲しい」と要望があるなど想像以上に反応があった。
  • 小学校からも手記を総合学習に活用したいとの連絡があった。
  • 民間支援団体である秋田被害者支援センターが設立され、公安委員会から犯罪被害者等早期援助団体に指定された。

【周辺地方公共団体への波及】

  • 平成17年7月から8月にかけて、県警本部の犯罪被害者対策室長等が地元警察署の幹部と共に市町村長等を訪ねて基本計画の原案を説明した。その後、他県の市町村の見舞金に関する支給条例を基に、県警本部で犯罪被害者等基本条例、見舞金支給条例及び同施行規則のモデルを作成し、再度市町村長等を訪ね、その趣旨を説明した。さらに各市町村担当者を集めて専門家による講演会や条例制定等に関する説明会を行った。
  • 県下市町村では、平成19年4月現在、犯罪被害者等基本条例が22市町村、見舞金支給条例が6市町村で施行され、全ての市町村で担当窓口部局が設置された。

【犯罪被害者支援のあり方・関わり方】

  • 対応のあり方として、まず相談者の話をじっくり聴くことではないか。
  • 市町村における条例制定の中で、基本計画や条例があるからこそ、担当者が決まり、施策に取り組むことになると考える。
  • 現段階での役割分担としては、県が広報啓発など施策の取組を、警察が給付金支給や付添いなどの直接支援を担うとしている。

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群馬県 (施策担当窓口部局)総務部 人権男女共同参画課 人権男女同和グループ

◆犯罪被害者等支援施策に取り組んだ背景や経緯

  • 国の犯罪被害者等基本法の成立、基本計画の策定を受け、地方公共団体職員向けの基本計画説明会、都道府県主管課長会議などとともに、大きな契機として群馬県警本部より知事部局での犯罪被害者等施策への取組要請があった。
  • 犯罪被害者等支援業務にあたるため、平成18年3月県警より女性警察官1名が人権男女共同参画課に派遣され、取組への方向性が固まった。
  • 群馬県犯罪被害者等支援推進会議設置のために準備会(ワーキング)が設置され、平成18年12月総合的対応窓口が人権男女共同参画課に設置された。
  • 平成19年3月、群馬県犯罪被害者等基本計画(案)を決定し、同年10月、同基本計画策定に至る。その間、講演会の実施、広報啓発のためのリーフレットの作成、広告等への掲載とともに、民間支援団体である「NPOすてっぷぐんま」に広報啓発事業を委託し、県民向けに講師派遣事業を始めることにも着手した。
  • 計画策定後、群馬県下市町村犯罪被害者等施策主管課長会議の開催や、ラジオコマーシャル、新聞広告などで広報啓発を実施している。
  • 平成19年11月より民間支援団体に犯罪被害者等相談支援員の設置を委託している。

◆犯罪被害者等支援施策に関する各種取組

【担当部局の業務】

  • 総合的対応窓口を開設しており、被害者等の方からの電話相談や来庁された際に実際に対応する犯罪被害者等相談支援員として、民間支援団体であるNPOすてっぷぐんまに委託し対応を行っている。
  • 行政の大きな役割である犯罪被害者等に関する広報啓発を行っている。

【推進体制】

  • 計画の推進にあたっては、庁内関係課室より構成する「群馬県犯罪被害者等支援推進会議」を設置し、関係部局相互の緊密な連携・協力を確保しながら、当該組織で犯罪被害者等施策を推進していくこととしている。

【条例・計画等の特徴】

  • 群馬県内には外国籍の住民が多く居住していることから、これらの方々が犯罪被害に遭われた場合を想定して、当該基本計画の中に通訳を確保するなどの外国籍犯罪被害者等への支援策の充実強化を図っている。
  • 身体犯(殺人・傷害等)による被害、性犯罪による被害、被害少年の保護、配偶者等からの暴力、ストーカー事案による被害、悪徳商法による被害、暴力団犯罪による被害、交通事故による被害、と特定の被害分野別にその対応方法と関連施策を簡潔に記載している。

【総合的対応窓口の概要】

  • 相談に直接当たる窓口担当業務を、被害者支援のノウハウを有する民間支援団体に委託し、犯罪被害者等相談支援員として相談・支援業務にあたっている。
  • 当該窓口は元々、共用窓口として人権相談全般を行っており、今回犯罪被害者等まで間口を広げ対応している。

【窓口の相談実績】

  • 人権相談も含めて月に1~2件程度であるが、犯罪被害者等の相談と特定できるものはまだない。コンタクトの手段としては電話が多くなっている。

【独自事業の内容】

  • 管下市町村へ、犯罪被害者等施策に関する講師の派遣を行う。

◆各種取組を企画立案・実施するにあたり、苦労した点や工夫・留意した点

【地域のニーズや状況を踏まえ施策に反映した点とその方策】

  • 県警の協力を得て、被害者等を紹介してもらい、県警と共に意見を伺いに行った。その他、DVの一時避難施設利用者を対象に意見を伺った。

【施策推進にあたって関係機関との意識共有・連携協力を進めるための方策】

  • 計画の推進にあたっては、基本計画の中で、既設の「群馬県犯罪被害者等支援連絡協議会」において連携協力を図るとともに、司法の立場から前橋地方検察庁、裁判所や法テラスなどと連携を図っている。
  • 管下市町村担当者に対する会議・研修会を開催して、施策に関する各種情報を提供することにより、緊密な連携を図ろうと考えている。
  • NPOすてっぷぐんまと相談窓口や広報啓発の委託などを通じて連携を図りながら支援施策に取り組み、早期援助団体の指定促進に県としても努めている。
  • 庁内関係課に声をかけて被害者遺族による講演を聴くなど、庁内連携に取り組んでいる。

【地域住民等への理解促進・協力を得るための方策】

  • 人権や安全安心に関する啓発講演会の開催。
  • リーフレットの作成・配布、広告の掲載、グッズ(人権標語入りクリアファイル、携帯ストラップ、ボールペンなど)の製作。
  • 今後、県の広報でも紹介したいと考えている。

【犯罪被害者支援のあり方・関わり方】

  • 行政は福祉や医療について既に十分なノウハウがあることから、犯罪被害者等への支援を行う下地が備わっているので、円滑な施策推進が期待されている。
写真:犯罪等の被害に遭われた方への総合的対応窓口

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神奈川県 (施策担当窓口部局)安全防災局 安全・安心まちづくり推進課

◆犯罪被害者等支援施策に取り組んだ背景や経緯

【支援の背景と県の特性】

  • 神奈川県における犯罪情勢は、近年の安全・安心まちづくりにおける様々な取組などによって、犯罪の認知件数は減少、検挙件数も増加するなど一定の成果を見せている。しかし平成18年の罪種別刑法犯認知件数では、殺人・強盗・性犯罪などはいずれも全国ワースト5にランキングされ、交通事故死者数も全国ワースト10にランキングされている。よって、これら犯罪により様々な困難を抱えている被害者等は多数見込まれ、その支援施策の充実が急務であるとの認識に至った。
  • 一方、神奈川県においては平成16年12月「犯罪のない安全・安心なまちづくり推進条例」を制定し、県民総ぐるみによる自主防災活動など地域が一体となった活動に取り組んでいることから、犯罪被害者等を温かく受け入れる地域社会づくりを進めやすい環境が整いつつあり、犯罪被害者等支援条例の目指す下地はできていると考えた。

【県のこれまでの取組】

  • 神奈川県における犯罪被害者等支援は、これまで警察本部が中心となって犯罪被害者等給付金の支給事務や、専門家によるカウンセリングなどの支援が実施されてきた。しかし、平成17年4月に施行された「犯罪被害者等基本法」の目的にも明示されているとおり、被害者の方々が抱える問題は、住宅・雇用・保健福祉・教育など多岐にわたるものであり、幅広い分野での支援を進めていく必要があり、県民の権利利益の確保を図ることを目的に、地域に根ざした福祉施策等を推進している県において、警察や民間団体だけでは困難な分野における支援を実施することが重要であると考えた。
  • そこで、基本法及び国の基本計画を踏まえ、犯罪被害者等の支援施策について、平成15年11月に設置した「安全・安心まちづくり推進本部」を活用し、全庁体制で既存の犯罪被害者支援に関する施策・事業を中心に体系的に整理し、新たに「犯罪被害者等総合相談窓口の設置」などの新規事業を加えた104の施策・事業を平成19年度から実施している。
  • しかしながら、現在の支援施策は既存の施策事業が主であり、被害者ニーズを十分満たしているものとは言い難いとの考えの下、今後、さらなる支援施策の充実を図るとともに、支援施策を推進する際の拠り所となる条例の制定に向けた検討を行うにあたり、専門的見地から意見を聴取することを目的に、平成19年6月有識者懇談会を設置し、同年12月末までの間に当該会議を4回開催し、様々な意見をいただいている。

◆犯罪被害者等支援施策に関する各種取組

【総合相談窓口の概要】

  • 平成19年6月、第2分庁舎1階に設置した防犯の相談に対応する「安全・安心まちづくりセンター」内に、「犯罪被害者等総合相談窓口」を併設した。
  • 相談日時は祝日及び年末年始を除く月曜日から金曜日の午前10時から午後4時まで、相談員は2名体制で、電話、FAX、Eメール及び面接による相談に対応している。
  • 県の犯罪被害者等支援施策全般に係る相談に応じて、精神的ケアにも配慮し、問題を把握した上で、県の他部署、他機関、警察の相談窓口などの適切な機関につなげるようにしている。

【窓口の相談実績】

  • 犯罪被害者等総合相談窓口に寄せられた相談件数は、平成19年6月1日オープン以降、11月末までで、148件(内訳:電話相談76件、面接相談28件、FAX23件、Eメール21件)となっている。
  • その中で支援施策の紹介や関係機関と連携した支援を実施し、具体的な支援につなげたもの(6件)、相談内容から具体的な支援につなげるまでには至らなかったが、適切な窓口を紹介するなどの対応をしたもの(36件)、一概に犯罪被害とはいえず支援に結びつかないが、可能な範囲で対応方法の教示や法律相談などの適切な窓口を紹介するなどの対応をしたもの(106件)であった。

【独自事業の内容】

  • 面接相談の際には、必要に応じて民間被害者支援団体に所属する臨床心理士に同席してもらい、犯罪被害者等の心のケアにも配慮することとしている。
  • ただし、相談内容から精神的ダメージが重篤など、早急にカウンセリングが必要と思慮される場合には民間被害者支援団体に橋渡しをして適切な対応してもらっている。

◆各種取組を企画立案・実施するにあたり、苦労した点や工夫・留意した点

【地域のニーズや状況を踏まえ施策に反映した点とその方策】

  • 現在、犯罪被害者等支援施策のさらなる充実とその拠りどころとなる条例の制定に向けた検討を行っている有識者懇談会においては、犯罪被害者等からの意見聴取結果や、県が実施した犯罪被害者等に対する意識調査結果など支援のニーズを基に、検討を行っている。
  • さらに、今後県として支援施策等を検討するにあたり、被害者等へのヒアリングや支援団体などへの意見聴取を実施する予定としている。

【施策推進にあたって関係機関との意識共有・連携協力を進めるための方策】

  • 部課長会議、出先機関の長に対する研修における犯罪被害者支援に関する講演の実施。
  • 神奈川県犯罪被害者支援連絡協議会(年1回開催 事務局:警察本部)での活動報告や今後の施策等への協力依頼。
  • 民間支援団体、弁護士会等の代表者などと、適宜話し合いを持って連携を図る。
  • 犯罪被害者関係相談機関連絡会準備会の開催。
    (民間支援団体、弁護士会、法テラス等の関係機関の相談担当者レベルによる会)
  • 犯罪被害者等支援に係る市町村主管課長会議の開催(平成18年度3回開催)。

【地域住民等への理解促進・協力を得るための方策】

  • 「犯罪被害者週間」国民のつどいの開催。
  • 犯罪被害者支援シンポジウムの開催。
  • 「安全・安心まちづくり」の各種イベントや講座の実施、「くらし安全指導員」が行う、地域の防犯教室やミニコミ誌、ケーブルテレビ等、地域のメディアなどの機会を活用した県の犯罪被害者等に関する取組の情報提供。

【犯罪被害者支援のあり方・関わり方】

  • 警察においては初期的な支援、中長期的には県など、地方公共団体だけの対応では困難な支援を民間支援団体と、それぞれの役割を踏まえ一体となった支援を提供し、それをリーディングケースとして新たに必要となる支援施策を検討することにより、今後の支援施策の充実が図られると考える。
  • 神奈川県が実施しているコミュニティカレッジの中に、犯罪被害者支援ボランティア養成講座を設け、民間支援団体に講座の企画・実施を依頼して人材育成を始めている。将来的にはこのような人材も含めて被害者等に対する支援を充実していきたい。

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滋賀県 (施策担当窓口部局)県民文化生活部 県民活動課 安全・安心地域づくり担当

◆犯罪被害者等支援施策に取り組んだ背景や経緯

  • 平成6年以降犯罪件数が増加してきており、警察だけでの対応にも限界があるとのことから、平成15年4月「『なくそう犯罪』滋賀安全なまちづくり条例」を施行した。
  • 条例施行後、条例に基づいて同年に「『なくそう犯罪』滋賀安全なまちづくり基本方針」を策定し、その中の5つの基本的方向の一つに「犯罪被害者や弱者の支援に努めます」という項目を掲げ、犯罪被害者支援の充実、女性被害者への支援、高齢者や障害者への支援、児童虐待やDVの被害者への支援、NPO等との連携を規定するとともに、関係部局が連携して取組を進めてきた。
  • その後、平成16年に成立した「犯罪被害者等基本法」において、犯罪被害者に対する支援施策の基本理念や国、地方公共団体、国民の責務が規定されるとともに、平成17年12月には国の「犯罪被害者等基本計画」が閣議決定され、具体的施策が打ち出され、滋賀県としても被害者支援に取り組んでいく機運が盛り上がってきた。
  • 県民誰もが犯罪被害者となる可能性がある中で、被害者が置き去りにされることなく、一日も早くもとの平穏な暮らしを取り戻せることができるよう取り組んでいく必要があることから、滋賀県では被害者の権利や利益を保護するために、国との適切な役割分担を踏まえて、犯罪被害者支援施策を推進していくために、平成19年10月「滋賀県犯罪被害者支援施策の取組指針」を策定した。

◆犯罪被害者等支援施策に関する各種取組

【担当部局の業務】

  • 警察官OB 1名を嘱託職員(犯罪被害者支援アドバイザー)として総合窓口に配置し、犯罪被害者の相談内容に合わせて適切な窓口を紹介し、橋渡しサポートを行っている。この窓口は問題を解決するところではなく、あくまでも橋渡しする役目なので相談員という言葉を使用せず「アドバイザー」とした。
  • 一般の県民への理解促進のために広報啓発活動を行っている。

【推進体制】

  • 犯罪被害者等基本法、同基本計画の策定を受け、平成18年6月に庁内に連絡会議を設置し、国の施策に関連する県の施策を洗い出すなど、情報の共有化を図るとともに取組指針の検討にも着手した。
  • その後平成19年5月に本連絡会議を発展的に解消し、その所掌事務を、本県の安全なまちづくり施策の庁内推進組織である「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり推進本部に移し、現在に至っている。

【条例・計画等の特徴】

  • 取組指針を策定するにあたって、近隣地方公共団体の取組を参考にするということで、先進地である大阪府の取組指針を参考にした。大阪府との違いは、警察の施策も盛り込んでいるところである。
  • 施策推進にあたっての重点的な取組方針として、「平穏な日常生活への復帰支援」、「犯罪被害者を支える社会づくり」の2つを定めている。

【総合窓口の概要】

  • 犯罪被害者が受けた被害を回復・軽減し、再び平穏な日常生活を円滑に営むことができるように支援していくことを目的として設置している。
  • 業務内容は、犯罪被害者に必要な情報提供を行い、適切な関係機関等の窓口への橋渡しサポートをするとともに、被害者からの希望があれば面接形式で話を伺うこととしている。庁内の関係機関まで付き添って案内することも可能である。犯罪被害者支援アドバイザーは、相談業務に当たるほか、窓口での対応マニュアルづくりや広報啓発事業の補助等も行っている。

【窓口の相談実績】

  • 平成19年7月設置から12月末まで、相談件数は45件で、そのうち電話相談が43件、面接2件となっている。
  • 相談内容は、金銭トラブルや犯罪への不安などが最も多く33件、家庭内の問題や職場・学校・近隣での問題が6件、犯罪被害に関する相談は6件となっている。犯罪被害に関する相談では、暴行・傷害、性被害、ストーカー、窃盗・強盗、消費者被害・詐欺がみられた。
写真:犯罪被害者総合窓口では犯罪被害者支援アドバイザーが被害者等の相談に応じ適切な関係機関等への橋渡しサポートをしている

◆各種取組を企画立案・実施するにあたり、苦労した点や工夫・留意した点

【施策推進にあたって関係機関との意識共有・連携協力を進めるための方策】

  • 安全なまちづくり推進本部を通じて庁内他部局との連携・意識共有を図っている。
  • 被害者関連研修等(職員や警察の連絡協議会での講演会など)に民間支援団体にも活動報告などで参加してもらうようにしている。

【地域住民等への理解促進・協力を得るための方策】

  • 広報啓発は重要と考えているが、被害者支援だけにテーマを絞った啓発は難しいため、防犯と併せて啓発することを考えている。
  • 相談窓口のリーフレットを作成して配布している。
  • 窓口の周知に関しては、県の広報紙への掲載をはじめ、各市町や各種団体の広報紙等への掲載についても協力いただいている。
  • 今後は、各種団体の会議、研修会の場で被害者支援についての啓発機会を作っていただけるよう、協力依頼していく。

【周辺地方公共団体への波及】

  • 県・市町職員の当該施策に対する意識はまだまだ低いため、職員意識のレベルアップを図る必要がある。
  • 滋賀県下の市町において被害者支援の条例が広がった経緯として、市町が「生活安全条例」を策定する際に、警察サイドから被害者支援に関する条例の制定についても要請したと聞いている。

【犯罪被害者支援のあり方・関わり方】

  • 警察は犯罪捜査が終われば事件は終了するが、被害者には継続的な支援が必要であるため、地方公共団体が既にもっている制度等の施策を適用していくことが重要である。
  • 地方公共団体はコーディネート役に徹し、直接支援については特別なスキルを有する民間支援団体につないでいく方が良いのではないかと感じている。
  • 現在、窓口での対応マニュアルを検討中であるが、市町に配布し、対応する事案が生じた場合にそれに沿って対応できるように啓発していきたいと考えている。

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京都府 (施策担当窓口部局)府民労働部 安心・安全まちづくり推進室

◆犯罪被害者等支援施策に取り組んだ背景や経緯

  • 平成16年12月、「京都府犯罪のない安心・安全まちづくり条例」が制定され、その条例を具体化し総合的に推進していくため、平成17年12月、「京都府犯罪のない安心・安全なまちづくり計画」が策定された。
  • この間、国では平成16年12月に基本法が成立し、平成17年12月に基本計画が閣議決定され5つの重点課題が示された。
  • 京都府では、国の基本計画や、平成17年12月京都府内で起きた学習塾での殺人事件等を踏まえ、平成17年度には条例の一部改正、平成18年度には府民意見等を聴取して「犯罪のない安心・安全なまちづくりアクションプラン」を犯罪被害者等の支援の充実に特化した改訂版として府警と一体で策定した。
  • 当該施策を進めるために京都府としてコーディネーターを置くことになった経緯として、国の258施策の中に「コーディネートすること」という文言が頻繁に顕れていることや、有識者とワンストップサービスの実現のために「具体的に何ができるか」という問題提起について話し合う中、行政がコーディネーターを抱えることが最も望ましいとの結論に至った。
  • コーディネーターの選定は、府主催の市町村研修の講師に依頼したことや、被害者遺族としての講演をお願いしたことが契機であった。

◆犯罪被害者等支援施策に関する各種取組

【担当部局の業務】

  • 犯罪被害者支援に係る国、京都府、市町村、警察本部の関係行政機関をはじめ、法律・医療・精神的支援などに関する民間機関等によるネットワークを構築し、犯罪被害者等を総合的に支援する「犯罪被害者サポートチーム」の運営事務局を担う。
  • 府民への広報啓発により犯罪被害者支援についての理解を深める
  • 管内市町村への取組の促進と庁内外の関係機関(部署)と連携強化。

【推進体制】

  • 犯罪被害者等施策の執行は、「京都府犯罪被害者サポートチーム」が担っている。
  • 安心安全まちづくりの推進体制として、庁内や府警本部の幹部レベルで構成されている「犯罪のない安心・安全なまちづくり推進本部」があり、現時点では防犯を中心に取り組んでいるが、今後、犯罪被害者支援に関する取組も加わることになることも十分に考えられる。

【施策・事業等の特徴】

  • 「京都府犯罪被害者サポートチーム」は、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるよう、公的・民間機関が連携し、臨床心理士や社会福祉士で自身も被害者遺族である方などをコーディネーターとして配置し、被害者等からの相談によりコーディネーターがニーズを把握し、庁内各部署、関係機関、市町村などと連携を図り、総合的に被害者支援を進めていくものである。

【総合相談窓口の概要】

  • 被害者等から相談依頼があった場合に、まず担当職員が話を聴いた上で内容に応じてコーディネーターと連絡を取り、日程調整の上、相談ブースを利用してコーディネーターが相談を受ける。

【窓口の相談実績】

  • 平成20年1月25日に新聞報道などで発表してすぐに、3件の相談依頼の電話があった。

【独自事業の内容】

  • 「京都府犯罪被害者サポートチーム」が全国初の独自事業である
    (体制イメージは3-3.の図を参照)。

<全国初の内容>
 行政・民間機関を交えた犯罪被害者支援ネットワークシステムの運用
 犯罪被害者支援コーディネーターを核とした犯罪被害者支援の実施

写真:京都府犯罪被害者サポートチームコーディネーターの方々

◆各種取組を企画立案・実施するにあたり、苦労した点や工夫・留意した点

【地域のニーズや状況を踏まえ施策に反映した点とその方策】

  • 京都府犯罪のない安心・安全まちづくり(犯罪被害者等の支援の充実)アクションプラン策定時に、被害者団体、民間支援団体からの意見聴取の実施、府民向けのパブリックコメントを実施した。
  • 犯罪被害者等からの情報収集、支援機関への情報提供をするにあたり、個人情報保護の観点から、想定できる限りの状況を例示して、個人情報保護審議会に対して諮問を行った。

【施策推進にあたって関係機関との意識共有・連携協力を進めるための方策】

  • 平成18年度から既に民間支援団体が実施している広報啓発、相談窓口、臨床心理士による専門相談に対して補助金を拠出し、財政的支援をしている。

【地域住民等への理解促進・協力を得るための方策】

  • 具体的な広報は、ホームページや関連イベントなどを通じて行っている。
  • カルチャースクールである「高齢者大学」への新規カリキュラムに犯罪被害者対策を盛り込み、被害者支援に精通した弁護士や、サポートチームのコーディネーターの一人である大学教授に講師をお願いしている。

【施策の実施前後の地域における情勢変化】

  • 報道関係者が犯罪被害者サポートチーム設置に続く、京都府の次の動きに注視している。また、このサポートチーム事業が根付いてきたところで、長期取材をさせてもらいたいとも言われている。

【犯罪被害者支援のあり方・関わり方】

  • 通常、被害者等の相談には経験などを有している民間支援団体の協力を仰ぐことが多いが、京都府の総合力を活かすためには、民間ばかりに依存していてはいけないと考え、府独自にコーディネーターという形で支援の専門家を持つ必要性を認識した。
  • 担当職員はコーディネーターへスムーズに引き継ぐことを主業務として当たり、実際の相談などの支援は専門家であるコーディネーターにお願いすることとしている。
  • 京都府としては、市町村や、支援センターなどが動きやすいようにバックアップすることが重要な業務と考えている。

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大阪府 (施策担当窓口部局)生活文化部 安全なまちづくり推進課 犯罪被害者支援グループ

◆犯罪被害者等支援施策に取り組んだ背景や経緯

  • 平成16年に制定された国の犯罪被害者等基本法、翌年の犯罪被害者等基本計画の動きを受けて、平成17年度、知事が府議会で取組を行う旨の答弁を行い、その際に基本的な考え方や活動の指針となるものを作りたいと意思表明をしたことから取組が始まった。
  • 従来から府民生活を守るための「安全なまちづくり条例」があり、庁内における担当(安全なまちづくりグループ)も設けられていたので、これと併せて総合的・体系的に推進していくこととなり、平成18年4月、安全なまちづくり推進課が新設された。
  • まずは活動の根拠が必要であることから、府の基本的な考え方を示した指針づくりに取りかかることになった。その後、平成18年12月、「大阪府犯罪被害者等支援のための取組指針」の策定に至った。

◆犯罪被害者等支援施策に関する各種取組

【担当部局の業務】

  • 「大阪府犯罪被害者等支援のための取組指針」の策定及び実施。
    (犯罪被害者等総合的対応窓口の運営、日常生活への復帰に向けた支援、府民などへの広報啓発活動の実施)

【推進体制】

  • 庁内の23箇所の部署と府警本部による庁内対策会議を立ち上げており、部局横断的に取組などを検討しながら進めている。
  • 構成員が幹部レベルでは、実際的な施策の検討ができがたいので、実務者レベルにより構成した。

【条例・計画等の特徴】

  • 「大阪府犯罪被害者等支援のための取組指針」は、犯罪被害者等に関する問題を社会全体で考え、ともに支えあう、だれもが安心して暮らすことができる大阪の実現を基本目標に、犯罪被害者等の平穏な日常生活への復帰支援と犯罪被害者等を支える社会づくりを施策の2本柱としており、この指針に基づき各関連施策の推進を図っている。

【総合的対応窓口の概要】

  • 基本的に電話・FAX・メールによる相談を受付け、関係機関や庁内の関係部署に橋渡しを行っている。

【窓口の相談実績】

  • 2年間で10件余りの問い合わせがあった。
  • その中には例えば、被害者の精神的ケアに当たってもらえる病院を紹介して欲しいと警察から連絡を受け、紹介したことがある。

◆各種取組を企画立案・実施するにあたり、苦労した点や工夫・留意した点

【地域のニーズや状況を踏まえ施策に反映した点とその方策】

  • 取組指針を策定する際に、被害者支援団体等に対してヒアリングを行った。その後も適宜支援団体にヒアリングを実施して、より被害者ニーズに則した支援を行えるように取り組んでいる。

【施策推進にあたって関係機関との意識共有・連携協力を進めるための方策】

  • マスコミに取り上げられるような大きな事件や被害者等本人などから申出がない限り情報を得ることは難しい。その意味で警察からの情報は当該施策を実施していく上で不可欠であるため、府警本部には可能な範囲内での情報提供などを申し入れている。
  • 民間支援団体である大阪被害者支援アドボカシーセンターとは、頻繁にコミュニケーションをとっており、円滑な連携を図っている。

【地域住民等への理解促進・協力を得るための方策】

  • 犯罪被害者週間を中心にパネル展やシンポジウム、被害者等の講演会などの開催。
  • 犯罪被害者等についてのパンフレット・冊子の作成、メモ用紙や絆創膏などの啓発グッズの作成。

【犯罪被害者支援のあり方・関わり方】

  • 大阪府、府警、民間支援団体の大阪被害者支援アドボカシーセンターが三位一体になってこそ、被害者等へ生きた支援が出来ると考えている。
  • 担当者として、民間支援団体が実施している養成講座を受講し、被害者等の対応の仕方などについて勉強している。

◆今後の予定

  • 支援のための施策はこれからも増やしていく予定である。次年度には犯罪被害テーマ別の府民公開講座等を実施したいと考えている。

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熊本県 (施策担当窓口部局)環境生活部 交通・くらし安全課

◆犯罪被害者等支援施策に取り組んだ背景や経緯

  • 平成17年4月の「犯罪被害者等基本法」の施行、同年12月の「犯罪被害者等基本計画」の閣議決定により、国レベルでの施策が推進されている。また、基本法の第5条では地方公共団体の責務が明記されている。
  • 熊本県では、平成17年4月に「犯罪の起きにくい安全・安心まちづくり基本方針」を策定し、さらに同年7月に「熊本県犯罪の起きにくい安全安心まちづくり条例」を制定し、安全安心なまちづくりに取り組んでいるところである。
  • しかしながら、依然として様々な犯罪が後を絶たず、県民誰もが犯罪被害者等になる可能性がある中で、被害を受けた場合に必要な支援が受けられるよう、また犯罪被害に対する県民の理解が深まるよう、県としても取り組む必要があった。
  • 以上のような経緯から、総合的かつ体系的に施策を推進していくため、県としての基本的な考え方を明らかにし、具体的施策を記載した「熊本県犯罪被害者等支援に関する取組指針」を平成20年3月に策定する予定である(平成20年3月策定)。

◆犯罪被害者等支援施策に関する各種取組

【担当部局の業務】

  • 今後、犯罪被害者等施策に関する総合対応窓口として犯罪被害者等支援施策の総合調整や犯罪被害者等への情報提供、支援者の育成支援、県民に対する広報・啓発を実施する。

【推進体制】

  • 平成19年4月に「交通・くらし安全課」へ課名を改称、新たに「くらし安全班」を設置して、安全安心なまちづくりや犯罪被害者等支援に係る業務に取り組んでいるところである。
  • 平成19年6月に取組指針を策定するための庁内の組織として知事部局、県警本部及び教育庁の関係32課で構成する庁内連絡会議を立ち上げるとともに、有識者等から意見や提言をもらうための検討委員会を設置し、策定作業を進めてきたところである。
  • 今後は「庁内連絡会議」を活用して施策の推進や進捗状況などを評価していきたいと考えている。

【条例・計画等の特徴】

  • 「熊本県犯罪被害者等支援に関する取組指針」(平成20年3月策定)は、犯罪被害者等の権利利益の保護や犯罪被害者等に対する県民意識の醸成といった、熊本県が犯罪被害者等への支援施策を推進する上での基本的な考え方を明らかにしたものである。
  • また、本取組指針は、4つの「基本方針」と3つの「重点的な課題及び取組方針」の下、県の関係32課(知事部局、警察本部、教育庁)で現在実施している(または今後実施予定の)100の具体的施策を掲載している。

◆各種取組を企画立案・実施するにあたり、苦労した点や工夫・留意した点

【地域のニーズや状況を踏まえ施策に反映した点とその方策】

  • 取組指針に関する県政パブリック・コメント手続を実施した。
  • 被害者支援団体の講演会、研修会等に参加し、被害者の置かれた現状や必要としている支援施策について理解を深めた。

【施策推進にあたって関係機関との意識共有・連携協力を進めるための方策】

  • 民間の被害者支援団体である「熊本犯罪被害者支援センター」とは、イベントの共催等で連携している。
  • 警察とは、庁内連絡会議や犯罪被害者支援連絡協議会の構成機関として連携協力を図っている。

【地域住民等への理解促進・協力を得るための方策】

  • 犯罪被害者週間におけるイベントの開催や犯罪被害者遺族及び支援者等を交えたパネルディスカッションの実施。
  • ポスターの掲示・リーフレット等の作成・配布、広報誌等による広報・啓発の実施。
  • 国民のつどいの際に実施されたアンケート調査では、犯罪被害者等の置かれた現状について県民の認知度は低いが、支援施策についての関心度は高いことが窺えた。
  • また、熊本犯罪被害者支援センターで犯罪被害に係る「いのちのうた」と題する一行詩の募集を行ったところ、3,900件余りの応募を頂いたことから、県民の関心の高さが窺えた。

【周辺地方公共団体への波及】

  • 県としては、まず市町村における犯罪被害者等支援の担当窓口の設置を推進し、新たに犯罪被害者支援という視点で、現行の福祉や住居等の行政サービスを提供し、また犯罪被害の相談機関や支援施策を周知していくような取組を求めていく。

【犯罪被害者支援のあり方・関わり方】

  • 被害者等への支援はこれまで警察及び民間の被害者支援団体が中心となって行ってきたところであるが、警察は事件発生直後から捜査段階において支援が実施され、行政はその後の中長期的な生活支援を関係機関と連携して実施していくことが重要であると考えている。県としては被害者支援団体と連携して、その取組を支援したり、県民に対する広報・啓発を一体となって実施していくことが望ましいと考えている。
  • また、犯罪被害の相談窓口リーフレットの作成・配布を通して相談窓口の周知を図っていく予定である。

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秋田県藤里町 (施策担当窓口部局)町民生活課 町民係

◆犯罪被害者等支援施策に取り組んだ背景や経緯

  • 平成16~17年、国の犯罪被害者等基本法及び基本計画策定を受けて、その中に明記してある地方公共団体の責務を果たすために、秋田県や県警からの要請を受けて、平成18年6月に「藤里町犯罪被害者等基本条例」を制定した。条例制定に際しては、2年ほど前の児童が連続して被害者となった痛ましい事件が契機となったわけではない。

◆犯罪被害者等支援施策に関する各種取組

【担当部局の業務】

  • 被害者等が窓口に来訪した場合に、話を伺った上で適切な庁内部署や関係機関に連絡を取り、橋渡しすることを想定している。被害者等から連絡、警察等から照会があった際に、その都度適切な対応をとっていく。
  • 2年ほど前の事件の際には、事件後、町民の間で多くの健康被害が発生したので、同じ課内の健康福祉係に要請して対応にあたった。

【推進体制】

  • 小さな役場なので縦割り構造のような弊害がなく、担当者レベルで常に横の連携を図りながら対応している。個々の案件の内容によって、どこに要請すべきかを判断した上で速やかに対応するようにしている。

【窓口の相談実績】

  • 現在でも事件現場となった団地内の住民には、保健師と共に介入し、話を聴いたり、カウンセラーを紹介したりして、要望などを病院、福祉事務所などの関係機関に伝えるなどの対応を講じている。

◆各種取組を企画立案・実施するにあたり、苦労した点や工夫・留意した点

【地域のニーズや状況を踏まえ施策に反映した点とその方策】

  • 2年ほど前の事件以降、2か年度にわたって住民に意識調査を実施し、専門家に分析を依頼した。その結果、事件後多くの住民がPTSDなどの精神的被害を受けているという結論を受けた。
  • そこで先ず住民宅を1軒1軒訪問して、実態の把握を行った。その際、多くの住民が非常に神経質になっており、役場職員であると伝えても「ドアを開けてくれない」、「猜疑心をもって受け答えする」などの対応を目の当たりにし、問題の重大さを改めて実感したので、民生児童委員協議会での協議、個別相談、カウンセリングの実施などの対応にあたった。
  • 事件後、報道関係者が多数押し寄せたことで、事件現場の多くの住民に対する二次的被害が生じたため、住民からの要請で団地内公園に通行規制看板を設置するなどの対応措置を講じたが、強制力がないためきき入れてもらえず、逆に報道関係者から規制に対する誹謗中傷をされたこともあった。
  • 報道が過熱すると全国から役場に誹謗中傷などの苦情電話が殺到し、対応に追われた。
  • その他にも安全パトロールを開始、住民への訪問意向の電話連絡、定期的に役場内に相談所(身体・精神的状況など)を開設するなどの住民意向の確認や、安心な暮らしへの配慮に努めた。

【施策推進にあたって関係機関との意識共有・連携協力を進めるための方策】

  • 2年ほど前の事件が発生以来、住民の間に深刻な健康被害が生じたことで、犯罪被害者等施策担当である町民係から要請を受け、健康福祉係としてその対応にあたってきた。
  • 小さな役場としては人員不足が生じており、健康福祉係の仕事も犯罪被害者等対応以外に、多くの業務を兼務しており、一つ一つの業務に適切に対応していけるのか不安を感じ始めて現在に至っている。
  • そのような中で、「藤里町要支援者対策地域協議会」を平成20年2月に設立するプランが持ち上がっており、現在設立に向けて県などの関係機関と最終調整中である。
  • 当該協議会は、警察、児童福祉施設、福祉事務所、人権擁護委員、教育機関、医師、社会福祉協議会、民間団体、民生委員など多くの関係機関が集まり、これまで役場、ひいては担当者がほぼ一人で抱え込んでいた業務を、地域全体で支えることで多くの主体に被害者等支援の意識共有を図るとともに、その業務を分担することで、より充実した対応が可能な体制づくりの構築することを狙いとしている。

【地域住民等への理解促進・協力を得るための方策】

  • 犯罪被害者等施策への理解や条例の周知を広めるようなことは実施していない。必要に迫られる問題が生じた際に、個々のケースによって、その対応も変わってくることから、その都度検討することになるものと考えている。
  • 事件の際に多くの報道関係者などが地域に押し寄せ、その報道姿勢や心ない情報などに周辺住民も困惑していたことから、地区の代表者に集まってもらい顔の見える関係づくりを目指し、「団地の代表者」を決めた。
  • 犯罪被害者等への対応については、民生委員への研修を実施している。

【施策の実施前後の地域における情勢変化】

  • 約2年前の事件以降、住民からの通報が増加した。通報内容は、DV、児童や高齢者への虐待、消費者問題に関することなど今までなかったものが出てくるようになった。事件が契機となって明らかに住民の周囲に対するアンテナが高くなったことを実感しており、町民が敏感で冷静な判断ができるようになってきたと感じている。

【犯罪被害者支援のあり方・関わり方】

  • 小さな町では、閉鎖的な社会構造が見られることもあるため、犯罪被害に遭った人自らが、役場に率先して出向いてくることはまず考えられない。役場としてこちら側から周辺情報などを聞き付け、出向かない限り話を伺うことはできないと感じている。
  • 行政がいますぐできることとして、被害者等の状況を把握した上で、速やかに関係機関へ取り次いであげることが重要である。その際は単に取り次ぐだけではなく、被害者の方は電話も出来ない状態であるため、関係機関への問い合わせの代行、付添い、被害者支援に精通した専門家の紹介などを行うことも重要である。

【施策を進めるにあたって不足していること】

  • 犯罪被害者等に関する研修などが東京などの大きな都市で実施されるが、当町のような小規模自治体では、そのような場での話はあまり参考にならない。むしろ同じような人口規模の自治体が集まるような場での意見・情報交換を行うことを望んでいる。

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埼玉県嵐山町 (施策担当窓口部局)健康福祉課

◆犯罪被害者等支援施策に取り組んだ背景や経緯

  • 平成9年9月の定例議会で、町内へのボートピア(場外舟券売場)誘致に反対する陳情書が提出された直後、誘致に反対する女性議員と間違われた主婦が、その数日後女性議員本人が、数か月後、町長宅が暴力団組員に襲撃される3件の事件が発生した。
  • 事件を受けて、庁内に「犯罪被害者救済制度検討プロジェクトチーム」(総務課、企画課、保健福祉課)を設置し、犯罪被害の実態、支援対策の現状について把握するため、地元警察署の協力を求めることを決定し、警察署と協議を始めた。さらに、プロジェクトチームとしての検討方針及び課題を協議し、「埼玉県警犯罪被害者相談センター」を訪ねることに決定した。
  • 当時、犯罪被害者支援をいち早く行っていた民間支援団体である「水戸被害者援助センター」を視察し、被害者対策の現状、警察としての被害者救済への取組、被害者支援の実態、被害者ニーズ等を調査した。
  • これまでの協議等を踏まえ、町として被害者対策の基本方針を以下の3つに絞り、担当課(当時:総務課)を決定し、プロジェクトチームとともに条例案の作成が始まった。
      *被害者への金銭的支援制度の設置
      *被害者に対応する職員の育成
      *犯罪被害者支援機関との連携強化
  • 条例の運用に際して協力が欠かせない地元警察や県警の犯罪被害者相談センターに趣旨や内容の説明に足を運んだが、条例制定に向けての作業はなかなか進まなかった。そこで町は、上部機関である警察庁に連絡を取って説明の機会を持ったところ理解を得ることができ、その後の条例制定に向けて弾みがつき、平成11年9月に「嵐山町犯罪被害者等支援条例」を制定するに至った。
  • 条例制定と同時に相談窓口としての業務も開始した。

◆犯罪被害者等支援施策に関する各種取組

【担当部局の業務】

  • 犯罪に遭われた方などが相談に来た際に、まず話を伺った上で橋渡しするべき窓口と適切な連絡調整を行う。(支援金の支給申請、ヘルパーの派遣申請など)

【推進体制】

  • 小さな組織なので、特に推進本部などを敢えて設置する必要性はない。保健福祉課だけでも多くの業務を兼務しているため、課内ですぐに調整が可能であり、総務課などと連携するだけで十分対応できる状況である。

【総合相談窓口の概要】

  • ワンストップでたらい回しのないように、条例に基づく支援金の支給手続、関係機関への連絡調整に努めるようにしている。
  • 関係機関等へ付添いが必要である場合には、できる範囲で対応するように考えている。
  • 被害者等が役場に出向くことを嫌がる場合には、来庁しなくてもいいように、郵送による申請・職員が自宅へ出向くなど、町としてできる限りきめ細かな対応を心がけている。

【窓口の相談実績】

  • 支援金の支給実績は暴力団による傷害事件の2件を含めて、その後町道にて強盗致傷(ひったくり事件)による1件の合計3件となっている。支給金額は3件で合計43万円となっている。

【条例・計画等の特徴】

  • 当時としては、全国で初めての犯罪被害者等への支援金支給を定めた条例であり、その他に関係機関との連携、犯罪被害者等への対応ができる職員の育成について盛り込んでいる。
  • 被害者等に対する金銭的な支援制度については、国や県において犯給法に基づく給付をはじめ、被害届に添付する診断書料の補助、犯罪被害遺児奨学金等の制度は既にあった。しかし、被害者たる町民の権利を守り、被害者の法的地位を確立するために町として補助を行うことには意義があり、金銭的支援制度の設置は町として支援体制の一翼を担うものして意義があると考えている。
  • 支援金の支給対象者は、犯給法に該当する被害者を含むものとしているが、犯給法の認定や支給手続には平均10か月ほどの期間を要することから、この間のタイムラグを埋めるという目的もある。
  • 傷害支援金の加療期間の取り扱いについては、犯罪被害者の心身の回復を願うため通院期間ではなく、医師の診断書による全治の期間としている。
  • 条例制定当初は、被害者と加害者との間に親族関係がある場合には、支給対象としていなかった。しかし、平成13年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護の法律」が制定され、配偶者からの暴力被害について規定されたことにより、当該法律に該当する被害者については、条例による支援対象とすることにした。支給対象となるのは犯罪行為による被害であり、警察に対して被害届の事実確認をすることとしている。

◆各種取組を企画立案・実施するにあたり、苦労した点や工夫・留意した点

【施策推進にあたって関係機関との意識共有・連携協力を進めるための方策】

  • 条例が施行された直後に全職員を集めて当条例の目的や内容について説明を行い意識の共有を図るとともに、「犯罪被害者の現状と被害者の心理について」というテーマで埼玉県犯罪被害者相談センター係長とカウンセラーを招き研修会を開催した。
  • 被害者等の情報は、まずは警察に入り、その次にマスコミで、行政にはほとんど入ってこないので、警察との連携は不可欠である。
  • 民間支援団体である「埼玉犯罪被害者援助センター」の研修会に参加している。

【周辺地方公共団体への波及】

  • 条例が施行されて新聞などのメディアに取り上げられた当初は、全国100程度の市町村からの問い合わせがあり、4~5件の視察団も来庁した。
  • 条例制定後、県の市町村会で当町町長が条例について報告をさせてもらったことをきっかけに、県内の三芳町でも条例が制定された。

【犯罪被害者支援のあり方・関わり方】

  • 窓口の担当者は、庁内の各種制度等を熟知して対応できるようでないと、被害者等の方から問い合わせがあった場合に、速やかに状況を判断し適切な部署や関係機関に連絡調整を図ることができない。そのため、窓口の担当者はかなり行政経験を積んだ職員や、被害者心情を理解できる能力を持った保健師などで対応する必要がある。
  • 職員による二次的被害を引き起こさせることのないよう意識を持ちながら、「できる範囲できめ細やかで、丁寧に、臨機応変に」をモットーに、「相手の立場に立ってその人に何をすればいいのか」を基本姿勢としている。
  • まずは窓口を設置することが重要で、何かがあったときにすぐに動けるようにしておくこと。その中で様子を見ながら、動きやすい条例等を整備し取組を深めていくことが、被害者支援を進める一つの手順ではないかと考える。
  • 実際に支援の手伝いをさせてもらった際に、涙を流して喜んでもらった時は、本当にこの条例を作ってよかったと思った。

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東京都杉並区 (施策担当窓口部局)区民生活部 管理課 犯罪被害者支援担当

◆犯罪被害者等支援施策に取り組んだ背景や経緯

  • 平成15年9月区議会定例会において、住民にもっとも身近な地方公共団体が犯罪被害者支援を行っていくことの必要性とそれに伴う条例制定、総合支援窓口の設置について、さらに担当する職員の養成と地域社会全体で取り組んでいくことの必要性について一般質問があり、平成16年10月、条例制定に向けた専門家検討会を設置した。専門家検討会にはオブザーバーとして区内3警察署の担当者に出席していただいた。
  • 平成17年4月、専門家検討会からの答申を受け、関係課職員による内部検討を開始し、同年10月、「杉並区犯罪被害者等支援条例」を制定、平成18年4月に施行した。
  • 条例に定める支援策(総合支援窓口の設置、一時利用住居の提供、日常生活への支援、資金の貸付)を具体的に実現するため、以下のような取組を進めた。
      *関連規定の整備
       「杉並区犯罪被害者等支援条例施行規則」
       「杉並区犯罪被害者等日常生活支援実施要綱」の制定
       「杉並区応急小口資金貸付条例施行規則」
       「高齢者専用居室入居特例措置取扱基準」の改正
      *日常生活支援ヘルパーの派遣事業者の選定
      *警視庁・警察署等関連機関、福祉事務所・保健センター等関係部署などとの調整
      *支援業務の専門性を高めるため、支援担当職員を長期研修派遣
      *職員向け講演会「犯罪被害者支援」の実施

◆犯罪被害者等支援施策に関する各種取組

【担当部局の業務】

  • 相談に応じ助言・情報提供・各種手続の手伝い
  • 関係部署・関係機関等との連絡調整
  • 裁判所・検察庁・警察署・病院等への付添い
  • 一時利用住宅の提供
  • 日常生活への支援
  • 資金の貸付
  • 区民への広報啓発業務

【推進体制】

  • 被害者支援は、既存の施策を活用していくので、担当者が関係部署等との調整をするとともに、必要に応じて庁内において支援調整会議等を行い、相互の役割分担を明確にした上で、円滑な支援を行っていく体制としている。

【条例・計画等の特徴】

  • 区民生活全般に直接関わっている最も身近な区が、新たな支援策と既存の制度を活用し、個々の事情に応じてきめ細かく、途切れることなく体系的・総合的に支援を行うことで、犯罪被害者等の心身の苦痛と生活上の不利益を軽減し、住み慣れた地域での平穏で安全な生活の回復を効果的に図ることができる。

【総合相談窓口の概要】

写真:面接相談室
  • 相談業務は、犯罪被害者支援担当係長1名と嘱託職員2名体制で当たっており、電話及び面接、訪問により相談に応じている。
  • 電話相談の際には受け手(対応者)側の周囲の声が入らないように配慮し、電話相談室を設け専用電話を設置している。
  • 犯罪被害者等のプライバシーや安全の確保に十分配慮し、面接相談室を設けている。

【窓口の相談実績】

  • 平成18年度の実績は、相談件数70件、具体的支援は付添いや手続の手伝いなどが3名(延べ22回)、資金の貸付1名となっている。その他にも、継続的な面接や電話対応、関係部署・関係機関等との調整など様々な業務を行っている。

【独自事業の内容】

  • 一時利用住宅の提供
    再被害を受けるおそれがあり、緊急に転居が必要な場合、従前の住居が犯罪等の現場となり、居住が困難な場合、その他、犯罪等により従前の住居に居住が困難な場合に一時利用住居の提供を行う。現在、高齢者のために区が借り上げている民間アパートがあるので、この対象を被害者等まで広げて提供していく。
  • 日常生活への支援
    犯罪等により生じた傷病または精神的苦痛により、家事及び育児等が困難な場合、犯罪被害者等の介助等のため家事及び育児等が困難な場合にヘルパーの派遣を行う。
  • 資金の貸付
    現行の「杉並区応急小口資金貸付」を活用し、手続等に配慮して、被害者等が資金を借りやすくしている。

◆各種取組を企画立案・実施するにあたり、苦労した点や工夫・留意した点

【地域のニーズや状況を踏まえ施策に反映した点とその方策】

  • 条例制定に際して、被害者支援都民センターの自助グループに参加されている御遺族との意見交換会を行った。また、区民に向けて意見・提案も求めた(パブリックコメント)。

【施策推進にあたって関係部署・関係機関との意識共有・連携協力を進めるための方策】

  • 区の施策として既に実施している支援(交通事故・家庭内暴力・児童虐待・高齢者虐待・消費者被害)と調和・調整を図りつつ、相互に連動して体系的・総合的な支援を行っていく。
  • 区の職員向けに犯罪被害者等に関する講演会を実施するなどして、犯罪被害者等の心情、置かれている深刻な実情、支援の必要性等について理解を深めた。
  • 事件・事故があったときに一番初めに関わる警察にはリーフレットを置かせていただき、犯罪被害にあわれた方には、区の制度を紹介していただくようお願いしている。また、警察の街頭相談会の際に一緒にリーフレットの配布を行った。
  • 関係機関の方々とは、実際の支援を通じてその都度顔の見える関係を構築している。
  • 庁内各部署で既に関係が構築されている関係機関・団体等を有効活用していく。
  • 市区町村単位で、犯罪被害者支援に理解のある各種医療機関及び専門家等を把握することは難しいので、それら専門家のリストの作成を希望したい。

【地域住民等への理解促進・協力を得るための方策】

  • 条例施行以前に、広報すぎなみへの掲載(3回)や報道機関への情報提供(4回)、ポスター掲出・リーフレット配布(区の関係施設、区内警察署・交番、町会掲示板等)、町会長会議、民生・児童委員会、保護司会等で制度の説明を行った。
  • 区で作成したパネルに加え、被害者支援都民センターからもパネルを借り、区役所ロビーでパネル展示を行った。
  • 民生・児童委員の方が13の地域に分かれ、毎月、協議会を行っているので、その全ての会場に伺い、平成18年度の取組の実績を報告するとともに、改めて杉並区の犯罪被害支援についてPRし、協力を依頼した。
  • 杉並区では「すぎなみ地域大学」を開校しており、その中に犯罪被害者支援講座(入門編・実践編)を設け、修了者を犯罪被害者支援員として登録している。支援員は、現在40名となっており、担当職員とともに広報啓発活動をはじめ、裁判所等への付添いや家庭での寄り添い(話し相手)の支援をお願いしている。平成20年度は区民への制度周知及び区民理解を深めるためのフォーラムや教育の場での啓発活動等を支援員の方々と行っていく。

【施策の実施前後の地域における情勢変化】

  • パネル展を開催した際に実施したアンケートからも、区民の方々は実情を知ることで、被害者支援の必要性を認識されている様子が窺えたので、改めて被害者の実情を知っていただくことの重要性とそのための広報啓発活動の必要性を再認識している。
  • 他の自治体等からの問い合わせや視察、講演依頼がある。

【犯罪被害者支援のあり方・関わり方】

  • 住民の生活全般に直接関わっている最も身近な地方公共団体に、一元的対応が可能な窓口があり、担当者が関係部署・関係機関等との連携・調整を図り、適切な支援を行っていくことが求められる。
  • 当区では、担当係長を民間支援団体である被害者支援都民センターに約2か月間実地研修派遣し、支援者としての電話や面接相談の受け方、付添いなどの直接的支援等について学ばせていただいた。また、嘱託の相談員についても、同センターで行われた研修等に参加させていただいたが、それぞれの地方公共団体ごとに研修の機会を得ることは難しいので、広域的かつ継続的な担当者研修の実施が必要である。

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大阪市 (施策担当窓口部局)市民局 人権室

◆犯罪被害者等支援施策に取り組んだ背景や経緯

  • 国の基本法、基本計画において地方公共団体の責務や役割が明文化されるとともに、大阪府においても取組指針が策定された。また、国や大阪府により担当課長会議が開催され、担当窓口や総合相談窓口の設置要請を受けたことから、平成19年4月、市民局人権室に犯罪被害者等支援の担当窓口を設置した。

◆犯罪被害者等支援施策に関する各種取組

【担当部局の業務】

  • 犯罪被害者等から電話やFAXによる相談及び面接相談を受ける総合相談窓口を開設している。受けた相談に対しては適切な庁内外の窓口等を紹介するなど、スムーズに支援が受けられるよう対応することとしている。
  • 市民の身近な窓口である市内24区役所の人権相談窓口においても犯罪被害者等支援に関する情報提供等を行っている。
  • ホームページや広報紙等により、総合相談窓口や犯罪被害者週間などについての広報啓発を実施している。

【推進体制】

  • 平成19年9月、庁内連絡会議(16部署の担当課長により構成)を設置し、施策の検討や連絡調整等を行う体制を整えた。

【総合相談窓口の概要】

  • 月~金の9:00~17:30市民局人権室に開設しており、電話や面接による相談を行っている。なお、面談の際には個室で対応するようにしている。
  • 二次的被害を防止し、犯罪被害者等へ迅速かつ適切な対応を行うため、窓口職員用のハンドブックを作成した。
写真:犯罪被害者等支援総合相談窓口

【窓口の相談実績】

  • 平成19年11月の開設以来、20件の相談があり、そのうち16件が電話相談、4件が面談であった。
  • 内容としてはストーカー、窃盗など多岐にわたっており、今後の対応に関することや問い合わせ窓口についての相談が多かった。なかには犯罪被害とは言えないような相談もあった。

◆各種取組を企画立案・実施するにあたり、苦労した点や工夫・留意した点

【地域のニーズや状況を踏まえ施策に反映した点とその方策】

  • 犯罪被害者等支援についての理解と実践的な知識を深め、窓口において適切な対応ができるよう、民間支援団体である大阪被害者支援アドボカシーセンターが実施している被害者支援員養成講座(全10回)を受講した。

【施策推進にあたって関係機関との意識共有・連携協力を進めるための方策】

  • 窓口の開設にあたり局・区の担当者等に対してハンドブック等を活用した研修を実施するなど、犯罪被害者等支援に関する情報提供と意識共有を図っている。
  • 平成20年2月から、府警本部の被害者支援会議に参画し、警察及び関係機関・団体との連携・意識共有を図っていく。

【地域住民等への理解促進・協力を得るための方策】

  • 市民の犯罪被害者等への理解を深めるため、広報紙、ホームページや国等が作成したポスター・リーフレットなどにより広報啓発に努めている。また、職員の理解を深めるため、研修や様々な庁内会議等を活用して周知を図っている。
  • 大阪府や府警本部、民間支援団体主催の啓発事業・イベントに協力・参加している。
  • 今後、総合相談窓口での相談内容、国の動向等を勘案しつつ、大阪府や関係機関・団体との連携・協力の下、啓発事業を始めとする支援策を検討・実施していきたいと考えている。