2.アンケート調査結果の整理・分析

2-1.犯罪被害者等施策を総合的に推進する体制づくり

(3)犯罪被害者等施策に関する条例・計画等の策定

[1] 犯罪被害者等施策に関する規定を含む条例の策定状況

 全ての地方公共団体について、犯罪被害者等施策に関する規定を含む条例の有無について尋ねたところ、「策定済み又は策定予定である」との回答は、都道府県では約4割を占めているが、政令市では約12%、政令市を除く市区町村では約5%とわずかである。

 政令市を除く市区町村について人口規模別に見ても、特に顕著な傾向は見られなかった。

犯罪被害者等施策に関する規定を含む条例の策定状況(グラフ)
グラフ

 市区町村について都道府県別に見ると、秋田県、滋賀県が飛びぬけて多い他はわずかである。

都道府県別市区町村(政令市を含む。)の犯罪被害者等施策に関する規定を含む条例の策定状況(表)
表

[2] 条例の策定形式

 犯罪被害者等施策に関する規定を含む条例を「策定済み又は策定予定である」と回答した都道府県・政令市について、条例の策定形式について尋ねたところ、「被害者等支援に特化」した条例は約5%で、「安心・安全のまちづくりや防犯に関する条例に被害者等支援の項目を盛り込む」条例がほとんどを占めている。

条例の策定形式(グラフ)
グラフ

[3] 条例の内容

 犯罪被害者等施策に関する規定を含む条例を「策定済み又は策定予定である」と回答した政令市を除く市区町村について、条例の内容について尋ねたところ、「被害者等への経済的支援に特化した単独の条例」、「被害者等のための基本的施策や推進体制を規定した単独の条例」が多くを占めている。

条例の内容(グラフ)
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[4] 犯罪被害者等施策に関する事項を含む計画・指針の策定状況

 全ての地方公共団体について、犯罪被害者等施策に関する事項を含む計画・指針の有無について尋ねたところ、「策定済み又は策定予定である」との回答は、都道府県では約6割、政令市では約35%を占めているが、政令市を除く市区町村ではごくわずかである。

 政令市を除く市区町村について人口規模別に見ても、特に顕著な傾向は見られなかった。

犯罪被害者等施策に関する事項を含む計画・指針の策定状況(グラフ)
グラフ

 市区町村について都道府県別の策定状況は、以下のとおりである。

都道府県別市区町村(政令市を含む。)犯罪被害者等施策に関する事項を含む計画・指針の策定状況(表)
表

[5] 計画・指針の策定形式

 犯罪被害者等施策に関する事項を含む計画・指針を「策定済み又は策定予定である」と回答した都道府県・政令市について、計画・指針の策定形式について尋ねたところ、「安心・安全のまちづくりや防犯に関する計画・指針に被害者等支援の項目を盛り込む」「被害者等支援に特化」したものが多くを占めている。

計画・指針の策定形式(グラフ)
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[6] 条例・計画・指針の策定にいたる経緯や背景

 犯罪被害者等施策に関する事項を含む条例・計画・指針(以下「計画等」という。)を「策定済み又は策定予定である」と回答した地方公共団体について、計画等の策定にいたる経緯や背景について尋ねたところ、都道府県・市区町村とも「基本法及び国の基本計画の策定を受けて」「近年の社会情勢を勘案して」との回答が多く、さらに政令市を除く市区町村では「都道府県からの要請を受けて」との回答も見られる。

条例・計画・指針の策定にいたる経緯や背景(グラフ)
グラフ

[7] 条例・計画・指針の策定にあたり苦労した点

 犯罪被害者等施策に関する事項を含む計画等を「策定済み又は策定予定である」と回答した地方公共団体について、計画等の策定にあたり苦労した点(策定予定である場合は障害となりうる点)について尋ねたところ、都道府県・政令市では「庁内関係部局の理解や協力の確保」「専門的な知識の不足」との回答が多くを占めている。政令市を除く市区町村では「専門的な知識の不足」との回答が6割を占め、「必要な職員が足りない」「庁内関係部局の理解や協力の確保」との回答も見られる。

条例・計画・指針の策定にあたり苦労した点(グラフ)
グラフ

[8] 条例・計画・指針の策定にあたり工夫・留意した点

 犯罪被害者等施策に関する事項を含む計画等を「策定済みである」と回答した地方公共団体について、計画等の策定にあたり工夫・留意した点について尋ねたところ、都道府県・政令市では「パブリックコメントの実施等」や「検討会議等の開催」との回答が多く、政令市を除く市区町村では「特にない」が半数以上を占めているが、「その他の関係機関・団体との協議・意見聴取」との回答も見られる。

条例・計画・指針の策定にあたり工夫・留意した点(グラフ)
グラフ

[9] 地域の実情や特性を踏まえて、条例・計画・指針に盛り込んだ項目

 犯罪被害者等施策に関する事項を含む計画等を「策定済みである」と回答した都道府県・政令市について、地域の実情や特性を踏まえて計画等に盛り込んだ項目について尋ねたところ、2団体から以下のような自由回答を得た。

  • 条例の主体が公安委員会である。
  • 県等の責務を明確化した。
  • 警察署単位のネットワークを明文化した。
  • 代理被害の防止を盛り込んだ。
  • 議会への報告を盛り込んだ。
  • 外国籍の犯罪被害者等への支援策を充実強化した。
  • 特定被害分野について、その対応と施策を簡潔に記載した。

[10] 条例・計画・指針の策定の必要性

 犯罪被害者等施策に関する事項を含む計画等を「策定予定はない」と回答した地方公共団体について、策定の必要性について尋ねたところ、都道府県・政令市では「必要性を感じていない」「必要性は感じている」ともに約35%を占めている。政令市を除く市区町村では「必要性は感じている」「わからない」がともに約4割を占めている。

条例・計画・指針の策定の必要性(グラフ)
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[11] 条例・計画・指針の策定の必要性を感じていない理由

 犯罪被害者等施策に関する事項を含む計画等を「策定する必要性を感じていない」と回答した地方公共団体について、その理由について尋ねたところ、「既存の取組で総合的な支援が可能」との回答が約6割を占めている。さらに、政令市を除く市区町村では「住民や議会からの要請がない」との回答も見られる。

条例・計画・指針の策定の必要性を感じていない理由(グラフ)
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[12] 策定の必要性は感じているが、予定が立たない理由

 犯罪被害者等施策に関する事項を含む計画等を「策定する必要性は感じている」と回答した地方公共団体について、必要性は感じているが予定が立たない理由について尋ねたところ、政令市を除く市区町村では「専門的な知識の不足」が約7割と多くを占めている。全体では「国や他の地方公共団体の動向を見ている」が半数以上を占めている。

策定の必要性は感じているが、予定が立たない理由(グラフ)
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