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犯罪被害者等施策
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平成18年度 海外調査結果最終報告書   |   戻る > II 海外調査の日程・体制   次へ >  III-ii)支援のための連携に関する検討会関係

III 海外調査結果報告

i)経済的支援に関する検討会関係

<調査結果概要>

第1 アメリカ
1.訪問先
司法省司法プログラム局犯罪被害者対策室(OVC)、
ニューヨーク州犯罪被害者委員会(CVB)
2.主な内容
1.テロ犯罪被害者に対する対応
(1)9.11テロ攻撃により被害を被った航空会社に補償するため制定された航空運輸安全安定化法(Air Transportation Act)に基づく補償。OVC所管外の特別の制度。 同一事件に関して受給資格のある全ての付帯的補償制度(Collateral Source compensation)(保険、社会保障・福祉制度などを含む。)からの受給額が減額される。
(2)国外におけるテロ犯罪被害者は、国際テロ被害者費用補償制度(ITVERP)に基づく補償。国内の犯罪に対する補償制度(犯罪被害者法(VOCA)による補償)と同内容の補償(いかなる付帯的補償制度でもカバーできない部分について補償する最後の手段)。
2.財源
(1)犯罪被害補償の財源は、犯罪被害者基金(The Crime Victims Fund)及び各州の負担。いずれも主たる財源は罰金、特別賦課金等。殆どの場合、一般財源は使用されない。
 犯罪被害者基金の財源の殆どはいわゆるホワイトカラー犯罪による巨額の罰金。
(2)NY州の場合は、60%は犯罪被害者基金の援助。州の負担は40%。州の財源は、罰金、特別課徴金、交通違反による過料、刑務作業による収益からの徴収など。
3.補償内容
(1)全州において医療費、カウンセリング費用、就労不能となった場合の損失賃金の補償、被害者の扶養家族に対する生活費援助、葬儀埋葬費用等が対象となるが、総額に上限が定められている。
4.課題
(1)いずれの州も資金調達に困難を来しており、未解決の課題となっている。
 医療費の高騰も要因の一つ。

第2 イギリス
1.訪問先
内務省、犯罪被害補償審査会(CICA)
2.主な内容
1.テロ犯罪被害者と一般犯罪被害者との間における対応の相違
(1)テロの被害者も一般の犯罪被害者と同様、犯罪被害補償制度の対象となるが、ロンドン爆弾テロの際には、「ロンドン爆弾テロの被害者を救済する慈善基金」が設立された。
2.国外での被害
(1)原則、被害発生国の補償制度による。
3.支給内容
(1)犯罪被害補償制度において最高額の50万ポンドが支払われた事例
(a)揺さぶられっ子症候群(shaken baby syndrome)による脳機能障害が残った場合
(b)脊椎の損傷や脳機能障害による全身不随や植物人間になった場合
(2)犯罪被害補償制度において遺族に5500ポンド以上が支払われる場合
実親、生計主、後見人(guardian)が犯罪被害により死亡した場合
(3)年金方式で支払われる場合
CICAから年金で支払われている例はない。第三者が支払っているケースは以下のとおり。
(a)信託(trust)
(b)無能力者保護法廷(Court of Protection)による命令(First General Order)
(4)仮給付については、資格者と認定されればできる。

第3 フランス
1.訪問先
司法省、テロ及び犯罪被害補償基金
2.主な内容
1.補償基金の沿革
1951年 創設 交通事故被害者に対する補償業務
1986年 テロ被害者に対する補償業務
1990年 一般の犯罪被害者に対する補償業務
1991年 薬害エイズ被害者に対する補償業務
2002年 アスベスト被害者に対する補償業務
2.補償基金の財源
(1)財源は、損害保険の保険料の一部、加害者からの求償、資金運用の運用益。
(2)加害者への求償権を行使するが、加害者が特定されている事案のうち回収できたのは20%。
3.申請から給付までの手続
(1)被害者が補償委員会に申請、委員会が決定。
FGTIから被害者に補償額をオファー(提示)することも可能。
4.時効
(1)犯罪が起こってから3年以内(刑事上の裁判で有罪が確定した日から1年以内)

第4 ドイツ
1.訪問先
連邦労働社会省、デュッセルドルフ援護庁
2.主な内容
1.理念、制度の位置付け
(1)国が権利を独占する能力があるにもかかわらず、国民の安全を守れなかったことに対して補償。社会補償権制度の一環としての位置付け。
2.社会補償権制度の財源
(1)税収入のみ。主に州政府が費用を負担しており、連邦政府は一部分を負担。
3.給付内容
(1)年金
(a)基本年金
(b)職業損害補てん
(c)調整年金
(2)リハビリーテーション費用、介護費用、住宅改造費用、治療具、義肢は、犯罪被害補償法によって支給される。
(3)他の公的制度からの給付によって調整されることはない。
4.時効
(1)時効はない。

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第1 アメリカ

1 司法省司法プログラム局犯罪被害者対策室(OVC:Office for Victims of Crime)

1.テロ犯罪被害者と一般犯罪被害者との間における対応の相違
(1)航空運輸安全安定化法(Air Transportation Safety and System Stabilization Act)に基づくテロ犯罪被害者に対する具体的な支援内容について
○ テロ被害者に対する補償については、各州ごとの支援レベルの違いを是正し、公正な支援を行うため、連邦レベルで対応すべきとの考えに基づいている。
○ 本法律は、2001年9月11日のテロを背景として制定された。
○ 大統領は、テロ活動の被害者と認められた航空会社に対して最高100億ドルを支給する。
○ 同法により、9.11テロ関連の航空機事故により負傷又は死亡した個人に対して、特別補助裁判官(Special Master)を介して司法長官(Attorney General)が運用する補償制度も設立された。
 この補償制度の申請は、一人一件又は遺族代表に限られる。さらに、同法に基づく補償は、申請者が受け取った額又は同一事件について受給資格がある付帯的補償制度(collateral source compensation)による額だけ減額される。申請書を提出した者は、9.11テロにより被った被害に対する民事訴訟を起こす権利を放棄する。
○ OVCは、同法に基づき設置された補償制度に直接係わりはないが、同法に基づく補償申請者は、OVC所管の犯罪被害者法(VOCA:Victims of Crime Act)に基づく犯罪被害者補償制度の受給資格もある。
(2)国外でテロに遭った場合
○ 国際テロ被害者費用補償制度(ITVERP:International Terrorism Victim Expense Reimbursement Program)に基づき、国外で発生した国際テロ行為により心身の傷害を被り、又は死亡した国民および米国政府職員は、同制度に基づき受給資格のある費用の補償を申請することができる。
○ 補償範囲費用には、精神面のケア、医療費、対物損害、葬儀埋葬代、雑費が含まれる。
○ 最後の支払手段であるITVERPの補償額は、申請者が他の付帯的補償制度から同じ国際テロ行為に関連して受け取る補償額分だけ減額される。
○ ITVERPにおいて、付帯的補償制度には次のものが該当する。
(a) 健康保険、損害保険、葬儀保険
(b) 基本補償となる米国政府又は外国政府からの一時金(ITVERPの適用対象外である場合を除く。)
○ 国際テロ被害者は州補償制度の補償を受け取ることもできる。犯罪被害者法(VOCA)の2000年の改正により、国外で発生したテロの被害者に対する州の補償は義務ではなくなった。州がこうした被害者を補償することにしている場合、被害者の居住州が支払った損害賠償の請求額も、付帯的補償制度から受け取った分だけ減額される。

2.犯罪被害補償制度の経緯について
(1)犯罪被害者法(VOCA)以外の根拠法令
○ 犯罪被害補償制度は、1984年被害者補償支援法(Victims Compensation and Assistance Act of 1984, Pub. L. No. 98-473, Title II, Chapter XIV, as amended, Section 1403)でも扱われている。
(2)経緯
○ 犯罪被害補償制度は米国の組織的被害者支援で最も歴史がある。最初の補償制度は1965年、他の被害者制度が生まれるより7年も前に創設された。 以降20年に渡り、40州以上が補償制度を導入していった。犯罪被害者法に基づき1986年に初めて連邦資金が支給された段階で、州は既に被害者補償に1億ドル以上を投じていた。現在、全50州に加え、コロンビア特別区、ヴァージン諸島、プエルトリコ、グアムで補償制度が運用されている。

3.犯罪被害者補償制度の財源について
(1)財源
○ 国民の被害者への関心が高まったことから、被害者への同情などに基づいた個人からの献金もある。飲酒事故被害者やレイプ被害者など特別な被害者のためにお金を出したいという人もいる。
 国民の関心を高めるため、被害者週間に併せて、関係機関や団体に広報用のDVDを配布している。
○ ほとんどの州は、犯罪者からの徴収金を補償財源としている。                        
 州によって差異はあるが、多くの州では、重罪につき50ドル、軽犯罪につき25ドルなどの所定の金額を被害者補償基金に支払うよう犯罪者に義務付けている。また、罰金の特定割合をとったり、罰金を上積みしたりする州もある。
 刑務作業で受刑者が得た賃金を財源としている州は多く、所内食堂の支出を抑えている州も若干ある。保護観察や仮釈放において、社会奉仕活動等によって得た資金を補償財源に使っている州も一つある。
○ 多くの人は、被害者の傷害に責任のある犯罪者等が補償金を支払うべきだと考えている。また、制度上、補償に利用できる財源は、最大限活用する必要があるので、加害者からの「資金回収」が、多くの州の制度にとって重要な問題となっている。
 被害者支援団体の中には、補償命令の要請発布を確実に行うために、検察や裁判官と協力し、また適当なルートを介して支払いを監視することにより、犯罪者から補償金を積極的に徴収しているところがある。
 ほとんどの州の制度の場合、資金回収は、全体からすればたいした財源ではないが、支給額の10%以上を集めているプログラムも若干ある。
○ 大多数の州では、制度運用にも被害者への支給にも税金は使っていないが、犯罪者からの徴収を主な財源としない州では、議会からの一般歳入充当金に依存している。
(2)問題点
○ 重大な予算上の危機に対応して、法的措置からの資金調達に関して問題を抱えていることが多い。増え続ける需要に応え、 大量の死傷者が出る事件に対処するために、健全な水準に補償残高を維持しなければならないが、財政には限りがあり、補償のために財源を確保しておくことは難しい。
○ 医療費は高騰を続けている。各種制度では、料金表の導入やその他請求額を減らすための手段など、コスト増への革新的対応を求めてきたが、この難題は依然解決されぬままである。
(3)罰金や特別課徴金を財源とするに至った背景
○ 罰金を補償制度の財源にできる背景としては、いわゆるホワイトカラーの犯罪が多く、罰金の額が莫大になることがある。
○  そもそも罰金は一般財源として考えられてきたが、被害者が刑事司法に協力してもらえるようにするため、あるいは、協力することによって安心感が得られるようにするため、政府の姿勢を被害者に対して示す必要があった。そこで、被害者補償制度の財源については、納税者である被害者自身が納めた税金を使うのではなく、被害の原因となった加害者が納めた罰金や特別賦課金を財源とすることにしたものである。 したがて、一般財源に含まれていた罰金を被害者補償に使うことで、その分(罰金分)一般財源が減少することについては、「一般財源が減ることは仕方がない」と考えている。
○ 現時点で一般財源として16億ドルもの財源がある。しかし、財源収入の不安定さに鑑み、毎年6億2,000万ドルしか使えないこととなっている。
○ 特別賦課金について、その取り立ては、検察庁の回収部がモニタリングを行っており、何年かかっても支払わせている。

4.対象犯罪について
(1)飲酒運転の場合
○ 犯罪被害補償制度の対象となる暴力犯罪に、飲酒運転が含まれる。
1988年薬物乱用防止法(Anti-Drug Abuse Act、Pub. L. No. 100-690, Title VII Subtitle D)に包含される犯罪被害者法(VOCA)の1988年改正により、州は、犯罪被害者補償金の受給資格を保持するためには、当該州の賠償制度で飲酒運転と家庭内暴力の被害者と遺族に対する補償を行うことを保証していなければならないと義務付けている。

5.補償内容について
(1)全州で認められる費目
○ 補償制度はすべて、具体的な限度に違いはあれ、同じ主要費目を対象としている。全州で補償対象としている主な費目は以下のとおり。
(a) 医療費(歯科含む)
(b) 精神科のカウンセリング
(c) 犯罪に関わる傷害を原因として就労不能となった被害者の損失賃金
(d) 殺人事件被害者の扶養家族に対する損失(生活費)
(e) 葬儀埋葬費用
(f) 眼鏡や補聴器など医療上必要な器具
○ 病院、医師、心理療法士への料金が支払総額の半分以上を占めている。カウンセリング費用や損失利益の支払いが次いで多く、全体の約20%を占めている。
(2)一部の州で認められる費目
○ すべてではないが、一部の制度では、以下のように、他にも多くの費用を補償している。
(a) 家庭内暴力の被害者に対する引越し費用
(b) 医療事業者への通院費用(通例は、事業者が被害者の住居から離れたところにいる場合に限る。)
(c) 犯罪に関わる傷害を原因としてできなくなった作業(主に育児や家事)に対する代行サービス
(d) 犯罪現場の片付け、住居の確保又は犯罪前の状態への修復に要 する費用
(e) リハビリテーション(運動療法や作業療法を含む場合もある。)
(f) 身体障害者となった場合の住宅や自動車の改造費用
(g) 被害者の補償申請に協力した弁護士に対する料金(通例一定額で、時には上訴についてのみ)
○ 犯罪発生時に盗難、損失、損害にあった個人的財産は、一部の例外を除き(フロリダ、ニュージャージー、ニューヨーク、ペンシルベニア)適用対象外とする。

6.犯罪被害者施策に対する公的支出について
(1)犯罪被害者基金 
○ 犯罪被害者基金(The Crime Victims Fund)(以下、「基金」)は、連邦犯罪の被害者に対して、州の被害者支援被害者補償制度を支援するための犯罪被害者法(VOCA)の要として1984年に制定された。
○ 1985年から2005年にかけて、基金に約74億ドルが寄託され、そのほぼ全額が連邦犯罪の罰金の徴収を財源としている。
○ 議会は、基金に年間の上限を設けており、会計年度ごとに支出額を制限している。以下、ここ数年について議会が基金に定めた上限を挙げる。
2001会計年度:5億3,750万ドル
2002会計年度:5億5,000万ドル
2003会計年度:6億ドル
2004会計年度:6億2,130万ドル
2005会計年度:6億2,000万ドル
2006会計年度:6億2,500万ドル
(2)公的支出の概要
○ 各州とも独自に予算を管理しており、罰金、税金、その他の州財源から徴収した資金から、どの程度、どの制度に出資するか決定する。
○ 公的支出には、連邦、州、領土、部族、自治体レベルの公的資金が含まれていることから、全体的な額を出すことはできない。
○ 犯罪被害者へのサービス、犯罪被害者への対応や介入に係わる実務 者に対する訓練および技術支援、犯罪被害者に対する犯罪司法制度の対応改善を支える連邦資金について、全部ではないにせよ大方の概要をつかむには次の情報が役に立つ。
<司法省>
(a) 犯罪被害者対策室が運用する被害者基金
2006会計年度は6億2,500万ドル
1984年の導入以来74億ドル(2006年の出資レベル含まず)
(b) 人身売買被害者サービス(Services for Victims of Human Trafficking)-人身売買の被害者を支援するためにOVCと司法プログラム局が支出した予算資金
 2002~2006会計年度までに割り当てられた予算額合計は5,000万ドル、各年1,000万ドル
(c) 女性に対する暴力対策室(Office on Violence Against Women)
2006会計年度は3億7,000万ドル
1995年は24億ドル
<保険社会福祉省(DHHS:Department of Health and Human Services)>
(a) 家庭内暴力の被害者や児童虐待の被害者(養護施設含め)に対する保護施設を支援するための資金
 例えば、2006会計年度には、家庭内暴力の被害者のための保護施設と電話相談サービスを支援するために約1億3,100万ドルを拠出。
 児童虐待の被害者への支援サービスに対しては追加資金を拠出。

7. 申請手続等
(1)申請手続
○ 被害者は被害から72時間以内に補償に係る申請を行う必要がある。
○ インディアン支援プログラムに関しては、連邦と州の2つに申請を行うことでき、認められれば2つのファンドから援助をもらえる。連邦は州に対して援助を行っている。
(2)手続における関係機関の連携 
○ 連邦はFBIと緊密な連携をしているが、実際には検察機関が動いている。


2 ニューヨーク州犯罪被害者委員会(CVB:Crime Victims Board)

1.財源について
(1)財源
○ ニューヨーク州のファンドの40%は、州政府が自ら負担している。それ以外については、連邦政府からの援助を受けている。
○ 年間使用可能額の上限はあるが、かなり高く設定しているため、不足分を一般財源に求めるような事態にならないことがほとんどである。
○  財源は、罰金、特別課徴金、交通違反に係る過料、囚人による刑務作業に係る収益からの徴収等の加害者側から徴収したものがほとんどであり、なるべく一般財源を使わないようにしているが、もし州税からファンドの財源を捻出することになっても、州民からの反対はないと思われる。
○ ニューヨーク州ではDV被害者やアジア系の被害者が増加しており、適切な支援ができるよう被害者のニーズを把握し、連邦政府からの財源によってプログラムへの財政的援助を行っている。
○ 州議会と予算のことで対立することが多い。州議会は、CVBが何をやっているのかよく理解していない。そのため、よく予算を減額しようとするが、そのたびに、例えば、「そのお金は、性犯罪被害者の支援のために必要」などと説明することが求められる。

2.経済的支援の内容について
(1)支給対象等
○ 犯罪被害補償制度は、保険や労災などのその他の社会保障ではカバーされない、個人負担となった諸費用を支払うものである。
○ 全米の中でニューヨーク州のみ一部の支給額について上限を設けていない。

3.時効について
(1)時効
○ 犯罪後1週間以内に警察等の法執行機関に被害を通報し、犯罪後1年以内に申請しなければならない。

4.申請方法について
(1)申請方法
○  犯罪に遭った被害者は申請用紙を郵送するか、州内に3ヶ所ある事務所(ブルックリン、オールバニー、バッファロー)に持参する。申請用紙は警察署、病院の救急室、州各地にある助成金を受けている200(政府機関:50、NPO:150)近い被害者支援サービス・プロバイダーに備えてあり、ウェブサイトでも入手可能である。クレームを受理すると処理され、クレーム審査官が必要な証拠書類を求める。次に審査官は5人の理事のうち、一人に判断を提言し、それを受けて支給対象となるかどうか理事が判断を下すことになっている。
○ 申請額の証明には、実際にかかった費用を証明するレシートなどの証明書が必要になる。

5.現行制度の問題点について
(1)被害者等からの評価
○ 現行制度については、犯罪被害者や遺族から、評価されている。特に9.11テロに際しては、半年分の費用を1日で支給するなどした(9.11に係る補償は、政治的な意図もあり、特別なものとなっている。)。
○  司法省や検察庁なども被害者支援に携わることもあるが、ニューヨーク州では、CVBが被害者の補償、被害者支援プログラムの援助、被害者の権利擁護に係る啓蒙等の被害者支援全般に関することを一括して行っており、一つの機関が全てを担うやり方が一番いいやり方だと考える。
(2)問題点
○ 犯罪被害補償制度をよりよくするため、被害者のメッセンジャーとして、「これまで加害者は社会復帰のためのサービスを受けてきている。被害者にも社会復帰するためのサービスが必要である。」との考えに基づき、州議会に法改正などを要求している。

6.経済的支援の対象となる犯罪の罪種別発生件数について
(1)統計資料
○ 委員会が刊行している年報Annual Report 2001-2002 2002-2003 2003-2004 に統計が掲載されている。以下のウェブサイトを参照のこと。
 http://www.cvb.state.ny.us/forms/01-04%20Annual%20Report.pdf [PDF形式]

7.制度の周知方法について
(1)警察との連携
○ 被害者に関する情報は、警察からCVBに提供されることになっているが、被害者が、警察のコンピューターにアクセスし、更に情報を得ることができるようになっている。また、警察にCVBのチラシを貼って広報するなどして、連携を図っている。

8.根拠法令について
(1)法令リスト
○ 犯罪被害者補償制度(crime victim compensation program)の根拠となるニューヨーク州の法令リストは、上記Annual Reportの66ページ以下に示されている。
○ Crime Victim Boardの設置の根拠は、Executive Law, Article 22, Section 620ページ以下である。
○ 上記を含めてNY州の法令については、以下で参照可能である。
 http://public.leginfo.state.ny.us/menugetf.cgi?COMMONQUERY=LAWS

9.支給内容について
(1)理念・趣旨
○  CVBが犯罪被害者に払う補償金は、「社会保障」や「福祉」と呼ばれる趣旨のものではない。CVBでは被害者に福祉や医療部分であるメディケイド(政府がやっている貧困者向け医療保険)の申請を特に求めてはいない。しかし、犯罪被害者が既にメディケイドのプログラムに加入している場合は、まずメディケイドに医療費の申請をしてからでなければ、CVBは支払いを検討しない(CVBは「最後の手段」であり、もし被害者がいずれかの支払い先から支払ってもらえるのであれば、まずその機関に先に支払いを求めなければならない。)。
(2)支給内容
○ 社会保障は連邦政府のプログラムである。もし犯罪被害者が社会保障の有資格者であるならば、CVBは社会保障ではカバーされない、個人負担となった諸費用を支払うことになる。CVBが提供する補償金は次のとおりである。
(a) 損害を受けたり、破壊されたり、盗まれたりした必要不可欠な個人財産に関して、500ドル(現金100ドル分を含む。)
(b) 所得の損失又は殺人被害者家族へ扶養に関し、週600ドルまで上限30,000ドル
(c) 心理療法を含む医療費
(d) 就職指導・職業訓練
(e) 埋葬費に関して、6,000ドルまで
(f) 必要な裁判所への出頭及び医療診療のための交通費
(g) 家庭内暴力シェルターの利用
(h) 犯罪現場現状回復費用に関して、2,500ドルまで
(i) 引越し費用に関して、2,500ドルまで

10.犯罪被害者にも適用される社会保障・福祉制度における優遇措置の有無について
(1)優遇措置
○ 9.11テロについては、特別のファンドを設けているが、それ自体特別なものである。一般に、犯罪被害者だからといって優遇される措置はないが、遺族については、社会保障制度や福祉制度のほかに、ニューヨーク州の補償制度からも併せて支給している。

11.犯罪被害者施策に対する公的支出について
(1)統計資料
○ 上記年報Annual Reportに、1971年以降のCVB関係の支出に関する資料がある。それによると、2003-2004会計年度においては、組織の運営に関し約577万ドル、犯罪被害者への補償関係約3176万ドル、被害者支援プログラムへの補助金等約2553万ドル、合計約6306万ドルが支出されている。

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第2 イギリス

1 内務省(Home Office)

1.テロ犯罪被害者と一般の犯罪被害者との間における対応の相違について
(1)適用される補償制度
○ テロの被害者も一般の犯罪被害者と同様、犯罪被害補償制度(CICS:Criminal Injuries Compensation Scheme)の対象となる。
(2)ロンドン爆弾テロの被害者を救済する慈善基金 (London Bombings Relief Charitable Fund)
○ ロンドン爆弾テロ事件が起きた直後、ロンドン市長と英国赤十字により「ロンドン爆弾テロの被害者を救済する慈善基金」(London Bombings Relief Charitable Fund)を設立した。
○ 基金に付託されている1000万ポンドのうち、350万ポンドは政府からの支出となっている。 
○ 支給基準は、犯罪被害補償制度(CICS)によらず、基金の委員会が決めている。重傷害を受けた場合には17万ポンドまで、配偶者をテロ被害で亡くした場合には扶養する子どもの数により15万ポンドまで、給付される。
○ 基金からは、被害者に対し補償(compensation)ではなく義捐金(charitable grant)を給付している。
○ 基金からの給付は、犯罪被害補償制度による補償及び社会保障制度に基づく給付とは相殺されていない。公的補償の二重取りを認めない従来の原則からいくとかなり例外的な措置である。
 これは、ロンドン爆弾テロ事件が、52人の死者、700人の負傷者を出した過去例を見ない事件であり、自殺行為(suicide bombing)によるものでかつ規模が大きいことを考慮した政府の判断(government policy)によるものである。
○ 平成18年6月30日までに支給額の累計は1050万ポンドとなっている。

2.支給対象について
(1)国外で英国人が被害を受けた場合
○ 国外で犯罪被害を受けた場合、当該犯罪が発生した国の補償制度による補償を受けるのが原則である。
○ 一方、欧州議会が2004年4月に採択した指令(Council Directive 2004/80/EC of 29 April 2004 relating to compensation to crime victims)では、
a 2005年7月1月までに、EU加盟国が暴力的な故意の犯罪行為による被害者に対し、公正で適切な補償を行う全国的な制度を有すること、
b 国家間で申請書類を送付する協力体制を2006年1月1日までに稼動させることにより、EU域内で犯罪被害を受けた場合、被害者の国籍を問わず補償を申請できるようにすることとされた。
 これは、例えば英国人がスペインを旅行中に犯罪被害を受けても、英国内で補償申請ができるようにするものである(被害者の居住国である英国の当局が犯罪の発生したスペインの当局に申請書類を送付し、スペインの補償制度が適用されることになる)。
○ 英国外務省(Foreign & Commonwealth Office)は、2006年3月に発行した「海外英国人向けのガイド(Support for British Nationals Abroad)」の中で、海外旅行に行く際には海外旅行保険に加入するようにと明示している。
(2)外国人旅行者が英国内で被害を受けた場合
○ 外国人旅行者も英国内(海域、空域も含む。)で被害を受ければ滞在日数に関係なく補償を受けられる。

2 犯罪被害補償審査会(CICA:Criminal Injuries Compensation Authorities)

1.最高額の50万ポンドが支給された事例について
(1)「揺さぶられっ子症候群」(shaken baby syndrome)により脳機能に障害が残り、逸失利益や生涯にわたる医療費など幅広い補償が必要となった場合
○ この場合は、犯罪被害補償制度により支払うが、補償に当たっては社会保障制度による給付を考慮する。その際、地方政府と国民保健サービス(National Health Service NHS)は最低限の手当を、CICAは妥当(reasonable)と考える手当を支給することとされている。
(2)成人のケースで脊椎の事故により全身不随になったり、脳機能障害により植物人間になった場合
○ この場合は逸失利益が50万ポンドのほとんどの割合を占める。介護に必要な費用もこの中に含まれる。
○ 前者の事例では、犯罪被害補償制度による補償は被害者が18歳になる前に使い切ってしまう場合がほとんどで、一生涯分必要となる部分全てはカバーできない。18歳(成年)以上になると、社会保障制度でカバーすることになる。
 犯罪被害者が18歳以上になると、一般人と同様、社会保障制度の枠組みの中で、住宅や介護等幅広い支援サービスを権利として申請できる。
 例えば、地方行政が提供する公的住宅の入居や介護サービスの申請が可能になる。また、障害手当(injury benefit)も、18歳未満は親が受け取る額は少ないが、18歳以上になるとかなりの額を本人が受け取れるようになる。
○ 犯罪被害者支援には様々な機関が関係するため、NHSや地方行政等が交渉して経費の負担割合を決めており、交渉には時間がかかる。また、関係機関が給付審査する場合には、CICAも審査の場に参加して、18歳未満について負担できる部分を提示している(公的保障の二重取りは認められないため、いずれかの機関が給付を行えば、相殺されることになる。)。18歳以上になって受けられる支援サービスについては、地方行政が個々のケースごとに担当者を割り当て緊密な連携を図りながら教示することとされている。

2.犯罪被害者の遺族に5,500ポンド以上が支払われる場合について
(1)通常の給付
○ 遺族への給付は、通常、有資格請求者が1名しかいない場合には11,000ポンドが、有資格請求者が2名以上いる場合にはそれぞれ5,500ポンドが支払われる。
(2)加算される場合
○ 実親、生計主、後見人(guardian)が犯罪被害により死亡した場合には、これら通常の給付に加え、扶養手当が支払われる。さらに、犯罪被害者が死亡した日に18歳未満の子どもがいる場合には、上記の給付に加え、18歳になるまで養育費(loss of parental service)が支払われる。このほか、葬儀費用も支払われる。

3.年金方式での支払いの有無・ある場合には支払い方法について
(1)支払いの有無
○ CICAからは年金方式での支払いは行っていない。犯罪被害者の要望があれば保険会社を通じて分割払いが行われることがある。
(2)第3者を通じて年金方式で支払う場合の方法
○ 一つは、信託(trust)である。児童虐待のように被害者本人(子ども)に補償することが加害者(親)に利する場合には、信託の受託者が分割して支払うこともある。CICAは受託者に一括して支払い、事務弁護士(solicitor)を通じて加害者(親)に信託にした旨を連絡する。
○ もう一つは、無能力者保護法廷(Court of Protection)である。保護法廷の命令(First General Order)により指名された財産保全管理人(receiver)が財産管理を行う。

4.仮給付について
(1)仮給付が行われる場合
○ 申請から給付までの間に通常6~8か月要する。他の公的機関からの給付や警察からの回答を確認してから給付するとなるとそれなりに時間を要する。CICAの補償は刑事裁判とは無関係に行われるものの、刑事裁判に影響を及ぼすおそれがあるので、刑事裁判の結果を待ってから補償を行う必要がある。そのため、刑事裁判がある場合は、なるべく一年以内に給付の資格者であるかどうかを決定し、資格者であれば暫定給付を行うことができる。

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第3 フランス

1 司法省(Ministere de la Justice)

1.補償対象について
(1)過失犯を補償の対象としている理由
○ フランスでは、殺人・重傷害(故意犯に限られない)、性犯罪、人身売買等の重大犯罪については全面補償を、その他の傷害や財産犯の被害については上限付の補償を受ける権利があると考えられている。一方、フランスでは保険制度が発達しており、様々なリスクを保険でカバーしている。アスベスト被害や血液製剤によるエイズ感染など保険でカバーされない隙間の部分を、連帯の精神で国が補填することとしている。
(2)国外での被害を補償の対象としている理由
○ フランスの裁判所の管轄が及ぶ範囲内であれば、国外での被害でも外国人でもフランスの裁判所に訴えを起こすことができる。この場合には、フランスの法律で裁かれる。

2 テロ及び犯罪被害補償基金
(FGTI:Fonds de garantie des Victimes des Actes de Terrorisme)

1.補償基金(Fonds de garantie FG)について
(1)沿革
○ 補償基金は1951年に創設され、当初は交通事故の加害者が賠償できない場合の補償を業務としていた。1986年、テロ被害者補償基金が創設された際、損害保険のノウハウを有する補償基金に当該基金の業務が委託された。1990年には一般の犯罪被害者に対する補償業務が、1991年には血液製剤によるエイズ感染被害者に対する補償業務が、2002年にはアスベスト被害者補償が委託された。
(2)組織
○ 補償基金は、独立採算制を確保した私法法人である一方、公の資金を管理しているため、経済財政省の監督を受けている。
○ 225名の職員のうち120名が申請書類の審査を担当している。犯罪被害者補償以外も含めた複数の分野での申請書類審査ができる体制となっている。20名が求償事務に携わっている。このほか、組織横断的な部門として、人事会計、IT、申請書類の外部とのやり取り、資金運用を担当する部門がある。
(3)審査体制
○ 個々の案件を医療鑑定にかけ、個々に補償額を判定する方式をとっている。例えば重大な身体的障害が残り住宅改造が必要な場合には、専門チーム(8名)が被害者宅を訪問して申請書類を審査している。
○ また、一挙に大量の申請があってもITシステムで処理が可能な体制となっており、2006年にはISO認証(ISO9001:2000)を取得するなど、サービスの品質管理に努めている。
○ 一方、被害者宛の書簡にも担当者の氏名・直通の連絡先を記入するなど、人間的なコンタクトを重視している。

2.テロ及び犯罪被害補償基金について
(1)実績
○ 犯罪被害者については、2005年(1年間)で17,350件の申請があった。うち17,200件が一般犯罪の、150件はテロの被害者からの申請である。 
○ 2005年の支払い総額は、一般犯罪被害者は2億3,600万ユーロ、テロ被害者は3百万ユーロとなっている。
○ 加害者に対して求償を行っている案件は49,000件で、回収額が4,200万ユーロとなっている。

3.加害者への求償権の行使
(1)回収率
○ 加害者が特定されている案件のうち回収できたのは20%である。加害者の3分の1が受刑者であり、刑務所の会計担当者と相談して、確実にFGTIに払い戻しするよう働きかける必要がある。加害者本人だけではなく周辺の支払責任のある者(雇用主、保険会社等)にも求償している。
(2)リスク管理
○ テロ及び犯罪被害補償基金には、加害者の経歴によるリスク管理を行う部門があり、求償がどの程度可能かITシステムによる判断ができるようになっている。
○ FGTIにはすべての銀行口座情報にアクセスできる権限や雇用主に働きかける権限など、求償を行う上で必要な強力な権限が付与されている。

4.財源について
(1)財源
○ 物損保険(多リスク住居保険、自賠責等)の契約者の保険料からの一部(1件のうち支払う金額は毎年9月の理事会で決定)
○ 加害者からの求償
○ 資金運用の運用益
(2)税源ではなく保険料を財源とする理由
○ フランスでは、所得税を支払っているのが2人のうち1人であるのに対し、保険の契約件数は約5,000万件に上ることから、税金より保険料を財源とする方がより広範に国民の参加を確保できる。

5.テロ被害者と一般の犯罪被害者との対応の相違について
(1)「一般の犯罪被害者」の定義
○ 刑法上の犯罪と認められる行為から発生した被害すべて(交通事故、狩猟事故、テロ、アスベスト被害を除く。)を対象としている。
(2)対応の相違
○ フランス国内でテロ被害を受けた場合には、国籍や滞在日数に関係なく補償される点が一般の犯罪被害を受けた場合と異なる(一般の犯罪被害の場合には、フランス国民、EU加盟国の国民、被害が発生したとき又は補償申請を行っているときに合法に滞在している外国人が補償の対象となる。) 
○ テロと一般の犯罪による損害は、同一の基準により認定されるが、テロの場合には心理的傷害(例えばトラウマ)を勘案した積み増しが行われる。
○ 申請から裁定までの手続も異なっている。一般の被害者が、補償委員会(CIVI)に申請するのに対し、テロ被害者については、被害者本人からの申請の必要はなく、国籍を問わずパリ検察局の名簿に基づき補償している。事件直後に検察局からの情報提供義務があり、名簿に掲載されていなかった被害者は事後申告によるが、名簿に掲載された被害者には自動的に給付・仮給付が行われる。
 海外でのテロ被害者には、外務省の名簿に基づき補償している。

6.申請から給付までの手続について
(1)申請
○ 被害者は居住地、被害を受けた場所を管轄するいずれの補償委員会にも申請できる。
○ 補償委員会は、各県に必ず1つは設置されており、通常、司法官2名、その他司法関係の専門家以外(基本的には民間団体)1名、検察1名、基金1名で構成されている。
○ 海外で被害を受けた場合にはパリ補償委員会に申請する。
(2)給付の決定
○ 補償委員会は、刑法上の裁判結果が確定していなくても補償額を決定できる一方、案件が非常に複雑な場合には、刑法上の裁判結果を待って決定することも可能である。
○ 一般の犯罪被害者への補償については、以前、FGTIが申請を審査して補償委員会に意見を出し、補償委員会がその意見を基に最終決定を行う手続きをとっていたが、「司法のための指針及び計画に関する2002年9月9日の法律第2002-1138号」(Loi n°2002-1138 du 9 septembre 2002, Loi d’orientation et de programmation pour la justice、ペルベン法)により、手続が緩和され、オファー制度(FGTIから被害者に補償額をオファー(提示))が設立された。
 具体的には、補償委員会を通じて申請の連絡を受けた後、FGTIが補償額を被害者に提示し、被害者との合意が得られた場合には、司法官の追認があれば補償できるようになった。また、申請書類が完備していれば、FGTIは2か月以内に被害者に提示する義務が課せられた。
 提示した額に対し被害者が不服のある場合、補償すべきという補償委員会の決定にFGTIが不服のある場合、提示して2か月たっても被害者から回答がない場合には、従来の手続で補償を行うことになる。
(3)不服申立手続
○ 補償委員会の裁定に不服がある場合にはFGTI及び被害者は控訴院に不服を申し立てることができる。
(4)捜査機関への照会
○ 被害者から申請がなされると、補償委員会からFGTIと検察に通報される。
○  被害者は申請する際に、警察への被害届、警察による一連の調書を併せて提出する必要がある。実際には、補償委員会が捜査当局に連絡を取って資料を提供してもらうため、被害者は警察への被害届程度を提出すればよく、その他の犯罪被害を証明する書類は補償委員会や弁護士を通じて入手している。
 FGTI自体は一般被害者について直接調書を請求できない(交通事故・テロ被害については、関係調書が自動的にFGTIに送られるようになっている。)。
○ 有罪が確定している場合には、FGTIは確実に犯罪被害を受けたという理由で補償する。犯罪による被害が証明できないとFGTIは補償できない。
(5)時効
○ 被害を受けてから3年以内又は有罪判決が確定してから1年以内である。加害者が損害賠償すべきと判決が出た場合には、裁判所から被害者にその旨が伝達される。
○ 申請期間が経過した後も、正当で重大な事由がある場合には、補償委員会は失権回復を決定することができる。

7.算定根拠について
(1)対象
○ 性的暴行、性的いやがらせ、人身売買による被害は、外傷がなくても補償する。申請の半数が性犯罪関連で、そのほとんどは有罪判決が確定している。
(2)補償金額
○ 主に以下の項目を考慮して決定される。労働不能日数が1か月未満の場合又は後遺症がない場合には、支給要件が厳しくなる。この場合には、補償額の上限が決められており、被害額の100%に達しない場合がある。
(a) 経済的項目
ア.ITT(労働不能日数:医者の判断必要)
 例えば1か月と医師が診断した場合、1か月分の給与から社会保障が収入補填した額を差し引いた額を補償する。
イ.IPP(後遺症のレベル:医者の判断必要)
 医学的見地から見てこの程度の傷害はこの程度の補償がなされるといったマトリックスのようなものがあり、被害者本人と弁護士がマトリックスを見ながら補償額を判断することになる。
 例えば、骨折の後遺症が10%あると医師が判断したら、後遺症の割合と被害者の年齢を勘案して、これまでの判例を基に点数化した一覧表があり、それによって判断される。
 ITT、IPPが増えるほど補償額は大きくなり、年齢が増えるほど額は小さくなる。
ウ.職業上の様々な損失(逸失利益)
(b) 個人的項目
 これまでの判例を基に、精神的な苦痛を金銭に換算して補償する。
(c) 物的な給付
 住居の改造、介護機器等の購入等が必要な場合、FGTIが被害者宅を訪問して判断。
(d) 被害者が死亡した場合
 被害者が家計の全部、一部を担っていた場合に金銭的に換算して補償する。葬儀費用及び精神的な喪失感も補償の対象とする。

8.社会保障制度や保険との併給調整について
(1)社会保障制度や共済からの給付
○ 併給調整が行われる。
(2)被害者が任意に加入している保険
○ 相殺の対象にはしない。

9.被害者の帰責性の問題について
(1)過失相殺の判断
○ 刑事上の裁判で過失相殺の判断がなされなくても、補償委員会は独自に過失相殺の判断ができる。例えば、鍵をつけたまま車を盗まれた場合、刑事訴追の裁判で加害者に対し損害賠償ができても、国民の共同体のFGTIには請求できないこともありうる。

10.仮給付について
(1)支払い対象
○ 傷害の度合が医学的見地から未確定の場合には、仮給付を行う。
(2)支払い方法
○ 基本的には一括払いである。
○ 重い後遺障害が残って日常生活に介護を要する場合には、毎月又は4半期ごとに死亡まで年金方式で支払う方法もある。職業上の様々な損失についても、非常に少ないが年金方式で支払われている例もある。

11.親族間犯罪について
(1)問題点
○ 一般的な犯罪被害の加害者の約半数は、被害者家族である。
○ 有罪判決を受けた場合には、加害者は補償に対する払い戻しの義務があるが、家族に求償することになるため、加害者が補償額の一部を返済することになっても意味がない。実際、家族が払い戻しに連帯している例も多い。

12.申請から給付までの平均期間について
(1)オファー制度設立以前
○ 被害者から申請があってから給付まで5~6か月程度。
(2)オファー制度設立後
○ 補償委員会を通じて完備した申請書類が提出されれば、最短で1か月~1か月半で給付できる。
○ 平成18年9月1日現在で、平成18年の第1四半期に上がってきた申請の半数は、処理が終了している。重大な事件でも書類が完備していれば迅速に処理できる。

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第4 ドイツ

1 連邦労働社会省(Bundesministerium fur Wirtschaft und Arbeit)


1.犯罪被害補償制度の概要について
(1)制度の名称
○「社会補償権制度」(Soziales Entschadigungsrecht)という。
(2)対象
○ 戦争犠牲者、軍務損傷を被った軍人、犯罪被害者、旧東独等において政治的理由に基づく抑留者を制度の対象とする。
(3)理念、根拠法令
○ 犯罪被害補償については、社会補償権制度で対応するか災害保険(Unfallversicherung)で対応するかが議論されたが、1976年、犯罪被害補償を社会補償権制度の枠組みに位置付ける「犯罪被害補償法」(OEG:Opferentschadigungsgesetz)が成立・施行された。
 これは国が権利を独占する能力があるにもかかわらず、国民の安全を守れなかったことにより、補償を行うという考え方に基づくものである。
○ 根拠法は、OEGと連邦援護法(BVG:Bundesversorgungsgesetz)である。OEGで給付の要件を、BVGは具体的な給付内容を定めている。このため、犯罪被害者を始め社会補償権制度の対象者への給付内容はすべて同じになる。ただし、現金給付については、旧東独地域と旧西独地域との間には実際の収入に格差(100:88.1)があるため、給付が異なる。

2.テロ被害者と一般の犯罪被害者との取扱いの相違について
(1)相違の有無
○ テロ被害者と一般の犯罪被害者との間には取扱いに差はない。OEGは健康被害に着目した制度であり、健康被害の原因となる犯罪類型を問わないことによる。ただし、チュニジアのジャルバ島でドイツ人がテロ被害に遭い、世論に基づく政治的判断によりOEGの枠外で補償を行った事例はある。

3.社会補償権制度の財源について
(1)財源
○ 税収入のみで、主に州政府が費用を負担しており、連邦政府は一部分を負担している。これは、市民の安全を守る義務を負う警察の管轄が州にあるためである。
(2)支出額
○ 1976年から2004年までのOEGに基づく支出額の累計は約12億3500万ユーロとなっている。
(3)加害者への求償
○ OEG第5条第1項の規定により、州政府は、加害者に対し民法上の求償を行うことができ、同条第2項の規定により、州政府は連邦政府に対し、その7.5%を毎年納付しなければならない。しかしながら、民法上の求償を行う場合には、損害の程度を正確な金額で示す必要があること、加害者に資力がない場合が多いことなどから、実際には求償は行われていない。

4.給付対象について
(1)健康被害
○ 暴力行為と健康被害との因果関係が医学的方法により確認される限り、健康被害の程度を問わず給付の対象となる。
○ 年金は、6か月以上にわたって就業能力(Erwerbsfahingkeit)が30%以上(調整年金にあっては50%以上)低下した場合に支給される。
○ 就業能力の低下の程度は、医師による鑑定に基づき認定される。
 就業能力の低下は健康被害の一部であり、健康被害を受けても就業能力の低下がない場合もある。
(2)国外での犯罪被害
○ 国家が市民の安全を守れなかったので補償するというOEGの原則からいくと、国(警察)の主権が及ばない国外での被害は補償されない。
(3)過失犯、財産犯
○ 過失犯による被害は、市民が一般的な生活を送る上での生命上のリスクであり、市民を守るべき国の義務の範囲にないため、補償の対象ならない。
○ 財産犯による被害は、社会補償権制度は健康被害を対象としているため補償の対象にはならない。

5.給付内容について
(1)基本年金(Grundrente)
○ 基本年金は、所得に関係なく、就業能力の低下の程度に応じて毎月一定額が給付される。
(2)職業損失補てん(Berufsschadensausgleich)
○ 職業損失補てんは、就業能力の低下による収入の減少を補てんする目的で、所得に応じ月額で給付される。
 被害前の税込みの収入から被害後の実際の税込みの収入を控除した 額の42.5%に相当する額が支給される。42.5%に相当する額は、社会保険料や税を控除した手取りベースの額であるため、職業損害補填に税や社会保険料は課せられない。
 なお、被害前の税込みの収入は、実際の収入ではなく連邦統計省の統計結果を基に職種別に算出したものになる。
 税率や社会保険料率が大幅に変化すれば、42.5%の係数を改正する可能性はある。
(3)調整年金(Ausgleichrente)
○ 調整年金は、基本年金等を受給しても不足している生活費を補填する目的で、所得に応じ月額で給付される。調整年金の算定表は、戦争犠牲者を手厚く補償したいと考えている人が作成したものと考えられる。
 就業能力の低下の程度に応じて規定された額から就業による税込みの収入及びその他の税込みの収入(資産、預金、基本年金を除いた年金等)の額に応じて規定された控除収入(Auzurechnend es Einkommen)の額を控除した額が支給される。
○ PTSD等の心理学的治療など、公的医療保険の保険給付の範囲に含まれない給付も含まれる。また、必要に応じてリハビリテーションも給付される。
○ 医療保険が犯罪被害補償の対象となる給付を行った場合には、援護庁から疾病金庫に対し一括額を支払う。
 犯罪被害補償における治療については、外来診療、入院診療に係る患者負担(外来診療は四半期ごとに10ユーロ、入院診療は1日10ユーロ)がない。
○ 配偶者、扶養の必要な子どもの数により支給額が上乗せされる。

6.統計について
(1)犯罪類型別の給付統計
○ 犯罪類型別には、連邦政府及び州政府ともない。これは、OEGが加害者の動機や犯罪類型を問わず健康被害に着目して補償する制度であることによる。

7.他の制度の関係について
(1)他の制度による給付との関係
○ 社会補償権制度は他の制度とは無関係の独立したものであるため、他の制度による給付との調整はない。例えば、犯罪被害により腕を負傷した被害者が風邪を引いて治療を受けた場合、風邪の治療は疾病金庫が、腕の治療は援護庁が、それぞれの費用を負担する。加害者からの損害賠償とも併給調整されない。
 ただし、法的年金を算出する際に、職業損害補てん、調整年金は収入に算入される。
(2)他の制度における優遇措置
○ 他の制度において犯罪被害者であることを理由とした優遇措置はない。
 例えば、重度の障害者が犯罪被害を受けたが非常に努力をして元の仕事を続けた場合、職業能力の低下は認められないので、OEGの枠内では年金は支給されない。しかしながら、他の障害者のための給付等において早めに年金給付を受けられることもありうる。この場合は、犯罪被害者という理由ではなく障害者という理由で優遇されることになる。

8.不支給事由について
(1)被害者と加害者とが親族関係にある場合
○ 給付はなされるが、例えば、DV被害を受けていた妻が加害者である夫の元に戻り、夫が給付額より高い収入を得ているような場合には、給付は制限される。重要なのは、被害者が加害者の元に戻るかどうかである。  
○ 児童虐待の場合には、加害者である親が利することがないよう、援護庁が特別に銀行口座を設けて信託(トラスト)をしたり、保護人を付けたりすることにより、子供が成人に達するまで資産を管理することもある。

9.制度の教示について
(1)職務上の責任
○ 社会福祉関係機関及び警察は、犯罪被害者の求めに応じ、制度について情報提供すべきとされている。関係機関が情報提供をしなかった場合、被害者は適時に必要な情報が提供されなかったことによる損害を立証できれば、職務上の責任(Amtshaftung)を問うことができるが、実際に行われるのは極めて稀である。

10.不服申立てについて
(1)管轄
○ 援護庁の決定に対する不服申立ては州の援護庁に、州の援護庁の決定に対する不服申し立ては社会裁判所(Sozialgericht)に、行うことができる。

11.課題
(1)補償の拡充
○ 制度を運用する側としては、ドイツの犯罪被害補償は、EU加盟国内でも最も包括的に充実した制度であると考えている。2006年予算ベースでは、連邦政府で3400万ユーロ、州政府も併せると総計で1億4000万~1億5000万ユーロの支出を予定している。しかしながら、被害者の方は必ずしも満足しているわけではなく、「白い環」のようにロビー活動を展開している民間団体もある。
(2)時代の変遷
○ OEGが位置付けられている社会補償権制度は、1949年の制度創設当初、約400万人いた戦争犠牲者のためにつくられた制度である。当時の戦争犠牲者は重度の障害により職業生活を全く送れない場合が多く、現在の犯罪被害者が置かれた状況と相当異なっている。また、PTSDなど制度創設当初想定していない新たな健康被害の問題も生まれている。
○ また、現在のOEGの対象者は1万5000人程度である。このため、現在の犯罪被害者に従来のような包括的な補償制度をそのまま適用すべきかどうかといった問題がある。
(3)支払い対象
○ 国外で犯罪被害を受けた場合にも補償すべきではないかという政治的な議論がある。これは、警察が市民の安全を守るべき義務を果たさなかったため補償するというOEGの根幹に関わってくる問題である。
○ 子供の頃虐待を受けて精神的外傷を負った場合に、一生涯年金を支払う意味があるのか、それよりも就業できるようまとまった金額を渡す方が意味があるのではないか、という問題もある。


2 デュッセルドルフ援護庁(Versorgungsamt Duesseldorf)

1.財源について
(1)財源
○ 税財源のみである。連邦政府が40%を、州政府が60%を負担(OEG第4条)する。
(2)加害者への求償
○ 加害者に対する民法上の請求権は州に発生する(OEG第5条)。
 補償サービスに要した費用について、州政府は加害者に対し請求権を有しているが、慰謝料や衣服代については、被害者が加害者に直接損害賠償を請求できる。
○ 加害者には資力がないため、ほとんど加害者から取り立てはできない。加害者に資力があっても、州の請求権よりも被害者からの慰謝料請求権が優先される。

2.給付内容について
(1)給付内容
○ Heil‐und Hilfsmittel(医薬品、眼鏡、コンタクトレンズ、補聴器、義肢、車椅子等の補助具))や車椅子等は、実費で支給される(人工装具(義手義足)・車椅子は貸し出される場合もある)。
 必要と認める医薬品については、医療保険の給付の範囲外となっているものも給付される。また、医療補助具の支給についても、医療保険とは別に基準があり、援護庁が必要と認める範囲で全額が支給される。
○ 介護費用、住宅改造費用は、給付されるが、カウンセリング費用は既に他の給付に含まれているため、別途発生はしない。
○ 医学的見地からのリハビリテーション費用は療養費用として支払われる。職業的見地からのリハビリテーション費用は他の機関から支払われることになる。
○ 年金、社会扶助的なもの(例えば奨学金)は現金給付に、その他はすべて現物給付になる。
(2)一般の公的給付との比較
○ 病院治療の場合、健康保険では自己負担する費用があるが、OEGでは犯罪被害者は費用を負担せず援護庁が補償している。
○ 傷病手当(Krankengeld)は、健康保険では収入の70%が支給されるが、OEGでは80%補償される。
○ 義歯は、健康保険では通常自己負担であるが、OEGでは100%補償される。
○ 介護給付は、疾病金庫(Krankenkasse)や介護保険では、最小限の給付であるが、OEGでは最大限に給付されている。
(3)給付額の統計
○ 2006年9月にドイツ全体でOEGにより現金給付を受けている者は、ドイツ全体で約15000人、支給総額は計482万ユーロとなっている。
 治療等の現物給付も含めると、1000万~1500万ユーロ支払われていると推計される。

3.支給手続について
(1)支給実績、申請処理体制
○ デュッセルドルフ援護庁の年間実績(2005年)は、年金支払いは176.5万ユーロ、治療費支払いは270万ユーロ、申請件数は650件(うち半数は受理)。平均して6~7人の職員で処理している。各種条件を入力すれば支給額を算出できるSAP(会計ソフト)を活用して、少人数で業務を処理できるようにしている。
(2)補償を行う際の捜査機関への照会
○ 被害者の負担を軽減するため検察側の資料を活用して審査するにしているが、検察側から審査に必要な資料がなかなか回ってこない。その際は、被害者の帰責性を審査し、被害者の行為が被害の発生に寄与する場合には補償は行われない。
(3)申請から給付までの平均期間
○ 申請から支給まで8か月以内に処理するようにしている。
 医学的見地からどの程度健康被害を受けたかを鑑定するのには時間がかかる。援護庁内部に鑑定医がいるが、案件が難しいと著名な専門医に依頼する。この場合には時間がかかる。
(4)虚偽の申請があった場合
○ 虚偽の申請を行って給付を詐取した場合には、給付が停止される以外の制裁はない。詐欺罪等が適用されることも考えられるが、これは警察の問題であり、援護庁の問題ではない。

4.仮給付について
(1)要件
○ 被害者が請求権を有する可能性が必要十分にある場合にのみ、前払いが可能になる。前払いが行われるのは稀な例である(デュッセルドルフでは治療費が補償額の多くを占めている。)
○ 遺族への給付は被害者本人の死亡が確認されているので、前払いをせずに迅速に支給される。

5.時効について
(1)時効の有無
○ 時効期間は存在しない。
(2)過去の犯罪被害に係る補償申請
○ 過去の犯罪被害に係る補償申請は、性的虐待にかかるものが多い。 特に50、60歳代の女性が子どもの頃に受けた性的虐待を告白するケースが多く、事実認定が非常に難しい。
○ PTSD等の心理的傷害も、過去の暴力行為との因果関係を証明することが非常に難しい。そもそも心理的傷害は戦争被害者の補償制度の範疇に入っていなかったという問題がある。
○ 被害の存在を証明する証人や刑法上の書類がない場合、被害者が信用に足る人物であると援護庁が判断すれば、補償は行われる(立証の軽減化)が、極めて例外的な措置である(原則として申請者が被害を立証する責任を負っている)。

6.制度の教示義務について
(1)教示方法
○ 制度を教示するのは一般的な国家の義務であるため、援護庁でもパンフレットの配布やイベントを通じて制度の周知を図っている。
○ 警察は被害者に補償制度について情報提供を行う義務がある。必要な場合には申請用紙を被害者に渡している(ただし情報提供を十分にしなくても制裁を受けない)。白い環を通じて教示する場合もある。

7.被害者からの評価と課題について
(1)被害者からの評価
○ 迅速な給付を受けられた場合の被害者の満足度は高い。市民にアンケート調査を実施した結果、好意的な評価を得ていることが分かった。
 申請を受理されない場合でも、受理できない理由が申請者にとって納得できるものであれば不満を持たずに済む。
(2)課題
○ OEGは社会補償権制度の1つと位置づけられて、連邦援護法に給付内容が規定されている。戦後、サービスが向上するに伴い、支出も増加している。そもそも、特殊な戦争犠牲者を対象にした法律である連邦援護法を、一般の犯罪被害者に準用することには問題がある。
○ 職業損害補てんについては、2つの運用上の問題がある。
 1つは、一生を通じた職業が昔ほど想定されない社会状況になっており、被害を受けなければどのような仕事に就いたであろうかを予測しにくくなっていることである。
 もう1つは、失業者の問題である。職業教育を受けていない失業者について、被害を受けなければ見込まれた収入をどのように算定するかといった問題がある。これらの問題に対する法律的、政治的解決がなされていない。


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平成18年度 海外調査結果最終報告書 III 海外調査結果報告 i)経済的支援に関する検討会関係
共生社会政策 犯罪被害者等施策