特集 交通安全対策の歩みと展望

2 交通安全意識の醸成

(1)交通安全教育と交通安全活動

① 交通安全教育
ア 交通安全教育指針

交通安全教育は、運転者や歩行者という「人」の危険な行動が交通事故の主な原因となっていることに着目し、道路利用者に必要な知識及び技能を修得させることにより、道路交通の場で安全な行動をとるように促すものである。

国家公安委員会は、地方公共団体、民間団体等が適切かつ効果的に交通安全教育を行うことができるようにするとともに、都道府県公安委員会が行う交通安全教育の基準とするため、交通安全教育指針を作成し、公表している。

警察では、関係機関・団体等と連携し、同指針を基準として、教育を受ける者の年齢、心身の発達段階や通行の態様に応じた体系的な交通安全教育を実施している。

イ 事業所等における交通安全教育

一定台数以上の自動車を使用する事業者等では、道路交通法の規定に基づき選任された安全運転管理者により、同指針に従って適切に交通安全教育を実施することが義務付けられており、警察では、安全運転管理者等を対象とした講習を行うなど必要な指導を行っている。

② 交通安全活動
ア 全国交通安全運動

広く国民に交通安全思想の普及と浸透を図るとともに、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付けることにより、交通事故防止の徹底を図るため、全国交通安全運動を毎年春と秋の2回実施している。

コラム 諸外国における交通安全教育

英国では、「THINK!キャンペーン」という交通安全に関する組織的なキャンペーンが展開されており、自転車利用、飲酒・薬物使用運転、疲労時の運転、携帯電話の使用等の様々なテーマに関する広報啓発のほか、教師、保護者及び生徒に対する交通安全教育の教材をインターネット上で提供することによる交通安全教育の支援が行われている。また、平成14年(2002年)から平成19年(2007年)にかけては、「カーブクラフトプログラム」という歩行者安全プログラムがパイロット事業として行われた。同プログラムは、5歳から7歳までの子供に対して「道路を横断する際の安全な場所と危険な場所を認識すること」、「駐車車両がある箇所で安全に道路を横断すること」及び「交差点を安全に横断すること」という3つの技能を実践的に習得させるものであり、地域のボランティアが、各自治体の道路安全部局のコーディネーターの支援を受け、学校付近の道路において指導に当たったもので、現在も多くの自治体において活用されている。

スペインでは、平成15年(2003年)に設立された交通安全教育センターにおいて、5歳から15歳までの子供に対する交通安全教育が行われており、同センターに併設された交通公園における自転車の実技指導等が教育プログラムに組み込まれている。

 
スペインにおける交通安全教育の状況
スペインにおける交通安全教育の状況

デンマーク、オランダ、スイス及びドイツでは、小学校において、道路の横断方法や自転車の利用方法等に関する知識及び実技についての体系的かつ実践的な交通安全教育が行われている。

イ シートベルトの着用及びチャイルドシートの使用の徹底

平成28年に実施された全国調査(注1)では、後部座席同乗者のシートベルト着用率は、一般道路で36.0%、高速道路(注2)で71.8%にとどまり、チャイルドシートの使用率も64.2%にとどまっている。警察では、関係機関・団体等と連携し、衝突実験映像等を用いたシートベルトの着用効果を実感できる参加・体験・実践型の交通安全教育を行うほか、幼稚園・保育所等において保護者に対するチャイルドシートの正しい取付方法の指導をすることなどにより、これらの適正な着用・使用の徹底を図っている。

注1:警察庁と一般社団法人日本自動車連盟(JAF)の合同調査で、シートベルト着用率については同年10月に、チャイルドシートの使用率については同年11月に、それぞれ実施されたもの(http://www.jaf.or.jp/eco-safety/safety/data/index.htm
注2:高速自動車国道及びこれと類似の性格や機能を有するもので国家公安委員会が指定する自動車専用道路
 
図表特-40 シートベルト着用率の推移(平成19~28年)
図表特-40 シートベルト着用率の推移(平成19~28年)
Excel形式のファイルはこちら
ウ 反射材用品等の普及促進

薄暮時・夜間に歩行者及び自転車利用者が被害に遭う交通事故を防止するため、反射材用品等の視認効果、使用方法等について理解を深める参加・体験・実践型の交通安全教育や関係機関・団体と連携した広報啓発活動を実施するなど、反射材用品等の普及促進を図っている。

コラム 交通安全に関する世論調査①

交通安全に関する世論調査(注)では、信号機のない横断歩道で歩行者が待っているときの運転者の行動について、図表特-41のとおり、歩行者の安全を確保しようという意識があるものと認められた。一方、実際には横断歩道で歩行者が待っていても停止しない車が多いとも言われており、本来歩行者の保護が図られるべき横断歩道上において、歩行者が被害者となる交通事故が現に発生している。

また、運転者の進路前方に信号機のない横断歩道があることについて、横断歩道の手前に設置されている「菱形の道路標示で判断する」と答えた者は23.2%にとどまっており、警察では、指示標示「横断歩道又は自転車横断帯あり」の周知を含め、歩行者に対する保護意識の高揚を図るための交通安全教育や広報啓発活動を推進することとしている。

注:内閣府の調査で、平成28年11月17日から同月27日にかけて実施されたもの(http://survey.gov-online.go.jp/tokubetu/h28/h28-kotsu.pdf
 
指示標示「横断歩道又は自転車横断帯あり」
指示標示「横断歩道又は自転車横断帯あり」
 
図表特-41 信号機のない横断歩道で歩行者が待っているときの運転者の行動
図表特-41 信号機のない横断歩道で歩行者が待っているときの運転者の行動
Excel形式のファイルはこちら

(2)子供の安全確保

① 子供が関係する交通事故の状況

15歳以下の子供の人口10万人当たり死者数及び死傷者数の推移をみると、いずれも全年齢層に比べて減少率が大きい。しかし、人口10万人当たり死傷者数を年齢別にみると、歩行中は7歳が突出しているなど(注)、依然として子供が関係する交通事故は多く発生している。

注:8頁参照
 
図表特-42 15歳以下の人口10万人当たり死者数の推移(平成19~28年)
図表特-42 15歳以下の人口10万人当たり死者数の推移(平成19~28年)
Excel形式のファイルはこちら
 
図表特-43 15歳以下の人口10万人当たり死傷者数の推移(平成19~28年)
図表特-43 15歳以下の人口10万人当たり死傷者数の推移(平成19~28年)
Excel形式のファイルはこちら
② 子供の交通事故防止対策

警察では、心身の発達段階に応じた段階的かつ体系的な交通安全教育を推進している。

幼児に対しては、交通ルールや交通マナー等道路の安全な通行に必要な基本的知識・技能を習得させるため、幼稚園・保育所等及び保護者等と連携して、紙芝居等の視聴覚教材を活用した交通安全教室等を実施している。

 
幼児に対する交通安全教室
幼児に対する交通安全教室

児童に対しては、歩行者及び自転車利用者として必要な技能・知識を習得させるとともに、道路交通における危険を予測し、これを回避して安全に通行する意識及び能力を高めるため、小学校、PTA等と連携した交通安全教育を実施している。

中学生に対しては、自転車で安全に道路を通行するために必要な技能・知識を習得させるとともに、自己の安全だけでなく他人の安全にも配慮できるようにするため、中学校、PTA等と連携した自転車教室等を実施している。

また、警察では、通学路の定期的な合同点検等の結果を踏まえ、警察による対策が必要な箇所において、教育委員会、学校、道路管理者等と連携し、信号機や横断歩道の設置等による道路交通環境の整備、通学路の危険箇所を取り上げた具体的な交通安全教育等を推進している。

 
図表特-44 通学路における交通安全の確保に向けた取組状況
図表特-44 通学路における交通安全の確保に向けた取組状況
Excel形式のファイルはこちら

(3)高齢者の安全確保

① 高齢者が関係する交通事故の状況

平成28年中の65歳以上の高齢者の死者数は2,138人であり、これを状態別にみると、歩行中が46.9%、自動車乗車中が30.1%、自転車乗用中が16.0%を占めている。また、28年中の人口10万人当たり歩行中死者数を年齢層別にみると、おおむね年齢層が高いほど多くなる傾向にある。24年から28年までの期間において横断中死者の法令違反内容をみると、年齢層が高いほど走行車両の直前・直後横断及び横断歩道以外横断が顕著に多くなるほか、信号無視も多くなる傾向にある。

 
図表特-45 年齢層別人口10万人当たり歩行中死者数の推移(平成19~28年)
図表特-45 年齢層別人口10万人当たり歩行中死者数の推移(平成19~28年)
Excel形式のファイルはこちら
 
図表特-46 年齢層別人口10万人当たり横断中死者の法令違反内容の内訳(平成24~28年の合計)
図表特-46 年齢層別人口10万人当たり横断中死者の法令違反内容の内訳(平成24~28年の合計)
Excel形式のファイルはこちら
② 高齢者の交通事故防止対策

警察では、運転免許を保有していない高齢者を含め、幅広く交通安全教育を受ける機会を提供するため、関係機関・団体等と連携し、交通事故が多発している交差点等における交通ルールの遵守を呼び掛ける指導や、医療機関、福祉施設等における広報啓発活動を行っているほか、加齢に伴う身体機能の変化が行動に及ぼす影響等を理解させるため、シミュレーター等の各種教育用機材を積極的に活用した参加・体験・実践型の交通安全教育を実施している。特に、高齢者については、走行車両の直前・直後横断等の法令違反に起因する死亡事故が多いという交通事故実態や、夜間に横断中、左方向から進行する車両と衝突する死亡事故が多いという交通行動の傾向等(注1)を周知するとともに、これらの知見に基づいたきめ細かな交通安全教育を実施している。

 
参加・体験・実践型の交通安全教育
参加・体験・実践型の交通安全教育

また、交通事故の多い薄暮時における高齢者の保護・誘導活動、明るい目立つ色の衣服の着用や反射材用品等の普及促進活動を行っている。

このほか、交通環境の整備による高齢者の安全確保に向けた取組(注2)及び高齢運転者の交通事故防止対策(注3)を推進している。

注1:6、7頁参照
注2:38頁参照
注3:30、31頁参照

(4)自転車の安全利用の促進

① 自転車が関係する交通事故の状況

自転車が関係する交通事故件数は減少傾向にあるものの、依然として全交通事故件数の約2割を占めている。

平成28年中の自転車乗用中死者数は509人と、前年より63人(11.0%)減少したが、法令違反別にみると、自転車側の約8割に何らかの法令違反があり、中でも、安全不確認及び運転操作不適が多い。

 
図表特-47 自転車乗用中死者(第1・2当事者)の法令違反の内訳(平成28年)
図表特-47 自転車乗用中死者(第1・2当事者)の法令違反の内訳(平成28年)
Excel形式のファイルはこちら
② 良好な自転車交通秩序の実現のための対策
ア 自転車通行環境の確立

警察では、歩行者、自転車及び自動車のいずれも安全かつ適切に通行できるよう、道路管理者と連携して、自転車専用の走行空間(自転車専用通行帯(注1)及び自転車道(注2))を整備するとともに、普通自転車(注3)の歩道通行を可能とする交通規制の実施場所の見直し(注4)等を通じて自転車と歩行者の安全確保を図っている。

注1:交通規制により指定された自転車専用の車両通行帯
注2:縁石線や柵等の工作物によって分離された自転車専用の走行空間
注3:車体の大きさと構造が一定の基準に適合する二輪又は三輪の自転車で、他の車両を牽(けん)引していないもの
注4:道路交通法では、普通自転車は車道通行が原則とされているところ、道路標識等により歩道通行を可能とする交通規制を実施することができるが、幅員3メートル未満の歩道においては、歩行者の通行量や保育施設等の存在といった沿道環境等を総合的に勘案し、当該交通規制を原則廃止する方針に基づく見直しを実施している。
 
自転車専用通行帯の設置例(仙台市)
自転車専用通行帯の設置例(仙台市)
イ 自転車利用者に対するルールの周知徹底

警察では、地方公共団体、学校、自転車関係事業者等と連携し、「自転車安全利用五則」(注)を活用するなどして、全ての年齢層の自転車利用者に対して、自転車は車道通行が原則であること、車道では左側通行すること、歩道では歩行者を優先することなどの自転車の通行ルール等の周知を図っている。

また、ルールを守らなかった場合の罰則や交通事故発生の危険性、交通事故の加害者となった場合の責任の重大性、損害賠償責任保険への加入の必要性等の周知を図るとともに、交通事故の被害を軽減するための対策として、ヘルメットの着用や幼児を自転車に乗車させる場合のシートベルトの着用の促進を図っている。

注:「自転車は、車道が原則、歩道は例外」、「車道は左側を通行」、「歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行」、「安全ルールを守る(飲酒運転・二人乗り・並進の禁止、夜間はライトを点灯及び交差点での信号遵守と一時停止・安全確認)」及び「子どもはヘルメットを着用」を内容とし、19年7月に中央交通安全対策会議交通対策本部で決定された「自転車の安全利用の促進について」において、自転車の通行ルールの広報啓発に当たって活用することとされた。
ウ 自転車安全教育の推進

警察では、学校等と連携して、児童・生徒に対する自転車安全教育を推進しており、自転車シミュレーターの活用等による参加・体験・実践型の自転車教室を開催するなど、教育内容の充実を図っている。28年中、児童・生徒や高齢者等を対象とした自転車教室を全国で約5万回開催し、約525万人が受講した。

また、27年6月から、交通の危険を生じさせるおそれのある一定の違反行為を反復して行った自転車の運転者を対象とする自転車運転者講習を実施しており、28年中、信号無視や制動装置不良自転車(ブレーキがない自転車等)を運転するなどの危険行為を反復して行った80人が同講習を受講した。

エ 自転車利用者に対する指導取締りの推進

警察では、自転車指導啓発重点地区・路線(注)を中心に、自転車利用者の無灯火、二人乗り、信号無視、一時不停止等に対し、指導警告を行うとともに、悪質・危険な交通違反に対しては検挙措置を講ずるなど、厳正に対処している。

注:自転車が関係する交通事故の発生状況、地域住民の苦情・要望の状況等を踏まえ、全国1,806か所(28年末現在)を指定し、自転車利用者に対する街頭における指導啓発活動等を推進している。
 
図表特-48 自転車利用者に対する指導取締り状況(平成28年)
図表特-48 自転車利用者に対する指導取締り状況(平成28年)
Excel形式のファイルはこちら

(5)飲酒運転の根絶に向けた警察の取組

① 飲酒運転根絶に向けた規範意識の確立

平成28年中の飲酒運転による交通事故件数は3,757件で、16年連続で減少したものの、飲酒死亡事故件数は前年より増加した(注1)

飲酒運転の死亡事故率(注2)は、飲酒運転以外のものと比べて約8.4倍も高く、極めて悪質・危険な犯罪行為である。

警察では、飲酒運転の危険性、飲酒運転による交通事故の実態、飲酒運転につながるアルコール依存症に関する正しい知識等について積極的に広報するとともに、飲酒が運転等に与える影響について理解を深めるため、運転シミュレーターや飲酒体験ゴーグルを活用した参加・体験・実践型の交通安全教育を推進している。

また、酒類の製造・販売業、酒類提供飲食業等の関係業界に対して飲酒運転を防止するための取組を要請しているほか、一般財団法人全日本交通安全協会等が推進している「ハンドルキーパー運動」(注3)への参加を国民に呼び掛けるなど、関係機関・団体等と連携して「飲酒運転をしない、させない」という国民の規範意識の確立を図っている。

注1:8頁参照
注2:交通事故発生件数に占める死亡事故件数の割合
注3:自動車によりグループで酒類提供飲食店に来たときには、その飲食店の協力を得て、グループ内で酒を飲まず、ほかの者を自宅まで送る者(ハンドルキーパー)を決め、飲酒運転を根絶しようという運動
 
図表特-49 飲酒運転の死亡事故率(平成28年)
図表特-49 飲酒運転の死亡事故率(平成28年)
Excel形式のファイルはこちら
② 飲酒運転根絶の受け皿としての運転代行サービスの普及促進

飲酒運転根絶の観点からは、その受け皿としての運転代行サービスの普及促進を図っていく必要がある。警察庁では、24年3月に国土交通省と共に策定した「安全・安心な利用に向けた自動車運転代行業の更なる健全化対策」に基づき、自動車運転代行業の健全化及び利用者の利便性・安心感の向上を図るための施策を推進している。

 
図表特-50 自動車運転代行業の認定業者数等の推移(平成24~28年)
図表特-50 自動車運転代行業の認定業者数等の推移(平成24~28年)
Excel形式のファイルはこちら
③ 飲酒運転の取締り

飲酒運転の根絶に向け、警察では引き続き厳正な取締りを推進するとともに、車両等提供、酒類提供及び要求・依頼しての同乗に対する罰則規定の適用を推進している。

 
図表特-51 飲酒運転の取締り件数(平成28年)
図表特-51 飲酒運転の取締り件数(平成28年)
Excel形式のファイルはこちら
 
飲酒検問の状況
飲酒検問の状況

(6)高速道路における交通警察活動

① 高速道路ネットワークと交通事故の状況

高速道路は、年々、路線数が増加し、平成28年末には199路線となり、その総延長距離は1万2,200キロメートルを超えている。28年中の高速道路における死者数は196人と、前年より19人減少した。

 
図表特-52 高速道路における交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(平成19~28年)
図表特-52 高速道路における交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(平成19~28年)
Excel形式のファイルはこちら
② 高速道路における交通の安全と円滑の確保
ア 道路管理者と連携した交通安全対策

警察では、交通事故の発生状況を詳細に分析し、重大事故の発生地点や交通事故の多発地点等における現場点検を道路管理者と共同して実施し、必要な対策を協議・検討するとともに、パトロール等を強化している。

特に、逆走が原因となる交通事故や、中央帯がなく、往復の方向別に分離されていない区間における対向車線へのはみ出しによる交通事故が後を絶たないことから、道路管理者と連携し、誤進入防止のための交通安全施設等の整備や、中央分離帯の設置等を推進している。また、渋滞発生時には、的確な臨時交通規制を実施するほか、迅速に道路管理者と情報共有を行うことで、道路情報板や後尾警戒車の活用等による渋滞区間における追突事故の防止を図っている。

イ 安全利用のための広報啓発及び交通安全教育

警察では、高速道路の安全利用のため、関係機関・団体等と連携して、交通事故の発生状況や逆走の危険性等に関する広報啓発活動を行うとともに、車両故障等により運転が困難となった場合の措置等に関する参加・体験・実践型の交通安全教育を行っている。

ウ 交通事故防止に資する交通指導取締り

警察では、著しい速度超過や飲酒運転、車間距離保持義務違反、通行帯違反等の悪質性・危険性の高い違反に重点を置いた取締りを推進している。また、全ての座席でのシートベルトの着用及びチャイルドシートの使用の徹底を図るため、関係機関・団体等と連携して普及啓発活動を推進するとともに、28年中はシートベルト装着義務違反を17万4,569件取り締まった。

コラム 高規格の高速道路における速度規制の見直し

平成25年12月に取りまとめられた「交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する提言」(注1)を踏まえ、片側3車線以上の高規格の高速道路における交通事故の分析、国民の意識調査、諸外国における速度規制の見直しに関する調査等を行い、28年3月に学識経験者等から構成される調査研究委員会において「高規格の高速道路における速度規制の見直しに関する提言」が取りまとめられた。

同提言では、構造適合速度(注2)が120キロメートル毎時の高規格の高速道路のうち、交通事故の発生状況や実勢速度等に関する一定の条件を満たす区間については、規制速度を100キロメートル毎時を超える速度に引き上げることが可能であるとされた。これを踏まえ、新東名高速道路の新静岡インターチェンジから森掛川インターチェンジまでの区間及び東北自動車道の花巻南インターチェンジから盛岡南インターチェンジまでの区間において、試行的に規制速度の引上げを実施することとなった。

注1:19頁参照
注2:道路の構造等を基に、数キロメートル単位の区間ごとに算出した道路の設計速度に相当する値
 
新東名高速道路
新東名高速道路


前の項目に戻る     次の項目に進む