第1章 警察の組織と公安委員会制度

公安委員の声

教えることの難しさ


神奈川県公安委員会委員長

羽田 愼司(はた しんじ)


委員就任  平成25年7月26日

委員長就任 平成28年7月26日


私は普段から、「有事の際に一枚岩になれる組織の団結力」は、警察の良き伝統であり、現在も、日々の業務を通じて引き継がれているものと感じています。職員の大量退職期が到来し、当県では採用後4年未満の若手警察官が全体の2割に迫るなど、執行体制が変化している中で、私は、職場での上司や先輩からの指導・教養は大切なことだと思っています。

ベテラン警察官は、事件・事故や相談等に休む間もなく対応しながら、並行して部下を指導しなければならず、自分の経験を十分に伝えるのが困難であると感じることが多いと思います。その際、言葉が投げやりになったり、「なぜこんなことが分からないのか」と、厳しい口調になってしまうこともあるかもしれません。

私も経験したことですが、自分ができない、よく理解していないから部下に対して分かりやすく教えられないのではなく、『教えることの難しさ』があるのだと思います。「教える」ためには、仕事に対する自分自身の向き合い方、目線の置き方、一人の人間として向上する力、いわゆる『人間力』が不足していてはいけないと思います。そして、『人間力』を高めるには、経験を多く積み、人の話をよく聞き、誠実に対応することが大切であり、それらの積み重ねが良好な人間関係を築き、「教える」関係が作り上げられると考えています。

執行体制の変化の中で、自信にあふれ、明るく元気な姿で街頭に立つ若い警察官を育てていくためにも、職員一人一人が、『人間力』を高め、「どんなことでも打ち明けられる」上司や先輩になってくれることを期待するとともに、警察組織の良き伝統を受け継いでいってほしいと思います。

 
神奈川県公安委員会委員長 羽田 愼司(はた しんじ) 顔写真

福島からの感謝~ウルトラ警察隊の活躍~


福島県公安委員会委員長

渋佐 克之(しぶさ かつゆき)


委員就任  平成22年10月18日

委員長就任 平成27年7月17日


平成23年3月11日、東日本大震災が発生しました。4月下旬に被災地の視察激励に赴きましたが、津波の爪痕も生々しい凄惨な光景と共に、避難指示区域にも果敢に立ち入り、防護服姿で行方不明者の捜索に当たる警察官の姿が今でも脳裏に鮮明に焼き付いています。

24年には、全国から特別出向者が入県され、当県の治安維持に当たるために組織されたウルトラ警察隊が発足しました。私も多くの出向者の方々と言葉を交わす機会を得ましたが、全国から志願して来県される出向者の皆さんは、並み外れて士気が高く、優秀な方が多いと実感しています。主に被災地や避難者の安全安心の確保を担当する復興支援係として被災地の仮設住宅訪問や巡回連絡、街頭活動等に従事しながら、犯罪の検挙や交通指導取締り、毎月11日に行われる沿岸部の特別捜索にも積極的に参加していただき、多くの成果を上げていただきました。仮設住宅の訪問時には、楽器の演奏や腹話術等で被災者を励ましたり、県内で猛威を振るっている特殊詐欺の被害防止のための寸劇等を企画上演したりするなど、様々な形で本県の復興を治安面から支える活動に貢献して下さいました。遠くの地からはるばる福島県のためにやって来たウルトラ警察隊の支援のおかげで、被災地の住民も安心して生活できているのではないかと思います。

28年度も、103名の特別出向者が新たに入県され、様々な活動に従事していただくこととなりましたが、入県された皆さんに心からの感謝と歓迎の意を表するとともに、快く送り出して下さった各都道府県公安委員会及び各都道府県警察の皆様に、この場を借りて心より感謝申し上げます。引き続き、ウルトラ警察隊の活躍を心から願っております。

 
福島県公安委員会委員長 渋佐 克之(しぶさ かつゆき) 顔写真


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