第6章 公安の維持と災害対策

2 極左暴力集団の動向と対策

(1)極左暴力集団の動向

暴力革命による共産主義社会の実現を目指している極左暴力集団は、平成27年中も、組織の維持・拡大をもくろみ、暴力性・党派性を隠して大衆運動や労働運動に取り組んだ。

革マル派(注1)は、安倍政権が進める諸施策を批判し、「政権打倒」を主張して、独自の抗議行動に取り組んだ。また、平和安全法制をめぐる抗議行動、反戦・反基地、反原発等を訴える集会やデモ等に参加し、革マル派の主張を掲載したビラの配布や、団体旗等の掲出により、自派の存在を誇示するとともに、同調者の獲得を図った。一方、革マル派が相当浸透しているとみられる全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)及び東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)は、同派創設時の副議長であった故松嵜明元JR東労組会長の「業績を後世に伝えるため」などとして、全8巻からなる著作集の刊行を開始した。

中核派(党中央)(注2)は、労働運動を通じて組織拡大を図る「階級的労働運動路線」を堅持し、同派が主導する国鉄動力車労働組合(動労)の傘下に労働組合を新たに3県において結成した。また、中核派(党中央)が組織する「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(な全)は、全国各地で集会、デモ等に取り組んで同調者の獲得を図った。このほか、中核派系の全日本学生自治会総連合(全学連)等は、平和安全法制関連二法の国会審議を捉え、「国会包囲大闘争」等と称し、都内で集会、デモ等に取り組んだ。一方、19年11月に党中央と分裂した関西地方委員会(関西反中央派)は、反戦・反基地、反原発等を訴える集会やデモ等に参加し、同調者の獲得を図った。

革労協主流派(注3)は、成田闘争を重点に取り組んだ。一方、革労協反主流派(注4)は、反戦・反基地闘争に取り組み、27年4月には、米陸軍キャンプ座間に向けて飛翔弾を発射する事件を引き起こした。

注1:正式名称を日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派という。
注2:正式名称を革命的共産主義者同盟全国委員会という。
注3:正式名称を革命的労働者協会(社会党社青同解放派)という。
注4:正式名称を革命的労働者協会(解放派)という。
 
「6・15国会包囲デモ」(6月、東京)
「6・15国会包囲デモ」(6月、東京)

(2)極左暴力集団対策の推進

警察では、極左暴力集団に対する事件捜査及び非公然アジト発見に向けたマンション、アパート等に対するローラーを推進するとともに、これらの活動に対する理解と協力を得るため、ポスター等の各種広報媒体を活用した広報活動を推進している。

また、平成27年9月、中核派系全学連活動家を監禁し、傷害を負わせたとして、同派系全学連活動家4人を監禁致傷罪で逮捕するとともに、関係箇所を捜索するなど、27年中には極左暴力集団の活動家ら28人を検挙した。

 
捜査への協力を呼び掛ける広報用ポスター
捜査への協力を呼び掛ける広報用ポスター


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