トピックス

トピックスIV アジアを中心とした国際協力の展開

警察では、我が国の警察の知見や特質をいかし、外務省や独立行政法人国際協力機構(JICA)と協力して、専門家の派遣や研修員の受入れを通じた知識・技術の移転による海外の警察に対する協力を行っています。

外国治安機関の犯罪対処能力の向上に協力することは、相手国の治安改善のために有効であることはもとより、その国が国際犯罪の温床となることを防ぎ、我が国を含む関係国の治安対策にも資するものです。また、こうした協力を通じて、相手国の治安機関と良好な関係を築くことができ、国際犯罪対策に関する連携が更に促進されることも期待できます。

(1)知識・技術の移転

警察庁では、インドネシア、フィリピン、トルコ等に専門家を派遣して交番制度、犯罪鑑識等の分野で知識・技術の移転を図っています。平成24年には18人の専門家を新たに派遣し、派遣された者の数は、継続派遣中の者と合わせ、延べ29人でした。

① インドネシア国家警察改革支援プログラム

13年以降、インドネシア国家警察改革支援プログラムを実施するとともに、職員をプログラム全体の統括責任者である国家警察長官政策アドバイザー兼プログラム・マネージャーとして派遣しています。24年には、このプログラムの中核事業として14年以降実施してきた市民警察活動促進プロジェクトが終了し、その後継事業として、市民警察活動(POLMAS)(注)全国展開プロジェクトを開始しました。このプロジェクトは、ジャカルタ近郊のメトロ・ブカシ警察署及びブカシ県警察署をモデル警察署として活用しながら、交番制度、犯罪鑑識、通信指令システム等に関するこれまでの協力の成果を定着させ、全国に展開させることを目的としています。

注:市民警察活動は、インドネシア語でPerpolisian Masyarakatという。
 
インドネシアにおける交番業務の指導の様子
インドネシアにおける交番業務の指導の様子
② フィリピン国家警察犯罪対策能力向上プログラム

20年以降、フィリピン国家警察に対しては、犯罪対策能力向上プログラムを実施しており、職員を国家警察長官アドバイザー兼プログラム・マネージャーとして派遣しています。

また、これに加えて、捜査制度支援及び犯罪鑑識分野への専門家の派遣等を通じて、犯罪対策能力の向上に協力しています。

 
フィリピンにおける鑑識技術に関する指導の様子
フィリピンにおける鑑識技術に関する指導の様子
③ ベトナム交通警察官研修強化プロジェクト

22年以降、ベトナム公安省に対しては、交通警察官研修強化プロジェクトを実施しており、専門家の派遣や研修員の受入れを通じて、ベトナム公安省人民警察学院の交通警察指導教官の能力向上等に協力しています。

④ 東ティモール国家警察に対する協力

東ティモール政府からの要請に基づき、23年11月から同年12月までの間、専門家を派遣してコミュニティ・ポリーシングの推進についての助言・指導を行ったほか、22年以降、我が国及びインドネシアで、東ティモール国家警察幹部に対する研修を実施しています。

⑤ トルコにおけるアフガニスタン警察官訓練等に対する協力

トルコ警察では、アフガニスタンの治安改善のため、同国警察の能力向上に必要な警察官の訓練を実施しています。我が国では、トルコ政府からの要請を受け、23年以降、同国に柔道講師の警察官を派遣してアフガニスタン警察官に対し柔道技術を指導するとともに、これらを通じて、警察官として必要な規律や職業倫理も教えています。また、22年以降、毎年トルコ警察幹部を我が国に招へいし、トルコ警察との協力関係を強化しています。

 
東ティモールにおけるコミュニティ・ポリーシングに関する指導の様子
東ティモールにおけるコミュニティ・ポリーシングに関する指導の様子
 
トルコ国内での訓練に参加したアフガニスタン警察官に対する柔道の指導の様子
トルコ国内での訓練に参加したアフガニスタン警察官に対する柔道の指導の様子
⑥ 研修員等の受入れ

警察では、知識・技術の移転及び諸外国との情報交換の促進を図るため、研修員の受入れ体制を整備し、都道府県警察における実地研修、警察大学校国際警察センターにおけるセミナー等を行っています。24年中には、15回の研修で134人の研修員を受け入れました。このほか、外国治安機関等からの来訪者を受け入れて、交番、通信指令室等の警察施設の視察等を通じて我が国の警察の取組を紹介しており、24年中にはアジア諸国からの来訪者を中心に786人を受け入れました。

 
交番等の視察の様子
交番等の視察の様子

(2)国際緊急援助活動

我が国は、外国で大規模な災害が発生し、被災国政府又は国際機関の要請があった場合、被災地に国際緊急援助隊を派遣しており、警察もその一員として国際緊急援助活動を行っています。

警察では、国際緊急援助隊の派遣に関する法律が施行された昭和62年以降、延べ242人の隊員を13の国・地域に派遣し、被災者の捜索・救助等を行ってきました。

平成23年2月のニュージーランド南島クライストチャーチ市付近における地震に際しては、国際緊急援助隊救助チーム要員として捜索・救助活動等に当たる警察職員38人のほか、専門家チーム要員として被災者の身元確認作業(DVI)に当たる警察職員5人を派遣しました。

 
ニュージーランドにおいて捜索活動を実施する我が国の国際緊急援助隊
ニュージーランドにおいて捜索活動を実施する我が国の国際緊急援助隊


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