トピックス

トピックスIII 今なお続く震災対応と次なる大規模災害への備え

警察では、現在も東日本大震災の被災地において活動を継続しながら、次なる大規模災害の発生に備え、災害対策の見直しを行っています。

平成23年3月11日に発生した東日本大震災による被害は、死者1万5,883人、行方不明者2,671人、負傷者6,145人等に上ります(25年6月10日現在)。

警察では、震災発生直後から、全国警察が一体となり幅広い活動に取り組んでいます。また、本震災の反省・教訓を今後の災害対策に反映させるため、大規模災害における警察の対応について具体的な検討を行い、各種施策を推進しています。

(1)東日本大震災への対応

① 警察における対処体制

岩手県警察、宮城県警察及び福島県警察(以下「被災3県警察」という。)では、震災発生直後から、被災者の避難誘導及び救出救助、行方不明者の捜索、遺体の検視・身元確認等、緊急交通路の確保、被災者支援、警戒・警ら活動、犯罪取締り等幅広い活動に取り組みました。これまでに、全国警察から被災3県警察に対し、延べ約112万人(平成25年6月10日現在)の警察職員を派遣するとともに、全国警察からの特別出向により警察官を増員するなどして、被災地における警察活動を強力に推進しています。

被災3県警察では、現在も、福島県警察に対する応援部隊を含む約4,070人体制で仮設住宅の防犯活動、行方不明者の捜索活動、帰還困難区域等における警戒・警ら活動等を実施しており、今後とも被災地の情勢等に的確かつ柔軟に対応するため、対処体制を確保し、地域に密着した活動を継続的に推進することとしています(25年6月10日現在)。

 
図III-1 東日本大震災及び阪神・淡路大震災における警察の部隊派遣積算人数(平成25年6月10日現在)
図III-1 東日本大震災及び阪神・淡路大震災における警察の部隊派遣積算人数(平成25年6月10日現在)

事例

被災3県警察では、震災発生から2年目の25年3月11日、海上保安庁等と合同で行方不明者の集中捜索を実施した。沿岸部を管轄する警察署員のほか、機動隊、警察本部各部の警察官等により捜索部隊を編成し、海岸線や住民からの要望があった地域を中心に、航空機、船舶、水中ロボット等を使用し、陸・海・空からの捜索を行った結果、アルバム等を発見した。

 
行方不明者の捜索状況
行方不明者の捜索状況
② 福島第一原子力発電所周辺における活動

警察では、福島第一原子力発電所の事故の発生直後に、周辺地域における避難誘導、原子炉建屋への放水活動等を行ったほか、その後も、放射線量のモニタリング、行方不明者の捜索活動、検問、警戒・警ら活動、住民の一時立入りに対する支援活動等を行いました。

現在も、福島県警察では、避難指示区域等の見直しによる情勢の変化や住民等の要望等を踏まえ、自治体やボランティアとの合同パトロールを実施するなどして、地域の安全・安心の確保に努めています。

 
福島第一原子力発電所周辺における警戒活動
福島第一原子力発電所周辺における警戒活動

(2)次なる大規模災害への備え

警察では、本震災以降、「国家公安委員会・警察庁防災業務計画」(以下「防災業務計画」という。)の修正、警察災害派遣隊の新設による広域的な部隊運用に係る体制強化、各種訓練の実施、装備資機材の整備・拡充、関係機関との連携強化、大規模災害に伴う交通規制実施要領の策定、業務継続体制の確立等、災害時に一人でも多くの国民を守り、被害を少しでも減らすため、災害対策の不断の見直しを図っています。

① 自然災害・事故災害対策の強化

国家公安委員会及び警察庁は、本震災以降、2度にわたり防災業務計画の見直しを行い、平成24年3月の修正では、津波災害対策を体系化し、25年1月の修正では、発生が懸念されている広域的な大規模災害への即応力強化のための対策を定めました。

都道府県警察では、防災業務計画の修正等を踏まえ、災害現場の実態に即した災害対策の検討を行っているほか、各種訓練の実施や、地方自治体等の取組への積極的な参画等により自然災害・事故災害対策を推進しています。また、警察では、今後発生が懸念される南海トラフ巨大地震、首都直下地震等の大規模災害における警察措置について、政府の計画や被害想定の見直し等を踏まえ、引き続き具体的な検討を進めていくこととしています。

 
警察用航空機を活用した救出救助訓練
警察用航空機を活用した救出救助訓練
 
原子力災害を想定した住民の避難誘導訓練
原子力災害を想定した住民の避難誘導訓練
② 原子力災害対策の強化

福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、警察では、組織改編や増員、装備資機材の整備・拡充、実践的訓練の実施等により、原子力災害対策を強化しました。また、前記1月の防災業務計画の修正において、原子力災害への対応力強化のための対策を定めました。これを踏まえ、都道府県警察においては、関係自治体、原子力事業者等と連携し、地域防災計画の修正を始めとする原子力災害対策の強化を図っています。

 
図III-2 防災業務計画(原子力災害対策関係)の修正概要
図III-2 防災業務計画(原子力災害対策関係)の修正概要


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