第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

警察活動の最前線


犯人を追い続けて

青森県八戸警察署刑事第一課
佐々木 崇(ささき たかし) 警部補
 
青森県警察本部マスコットキャラクター アピーくん
アピーくん

 「人として恥ずかしいことをしたと気付きました」被災地を狙った津波泥棒の犯人が自供した瞬間です。
 これより5か月前、東日本大震災により管内の沿岸部は津波被害を受け、住民は途方に暮れていました。そんな中、震災3日後の深夜、被災地区で十数件の連続空き巣事件が発生しました。住民が避難し無人となった住宅から現金やテレビ等が盗まれたのです。
 私たちは、懸命に聞き込み捜査をしましたが、有力な情報はありませんでした。私は、廃屋と化した住宅を呆然と見つめる被害者のために「犯人を絶対に逮捕する」と強く決意し、数名の部下とともに近隣の不良グループの分析や他の被災地区での聞き込みを継続して、目に見えぬ犯人を追い続けたのです。
 数か月後、一人の刑事が「別の窃盗事件で捜査中の男が津波泥棒をしたらしい」との情報を聞き込んで来ました。そして、その20代の男を取り調べた結果、犯行を自供。発生から5か月以上を経て、少年を含む計6名を逮捕し、被害品の一部を被害者に返すことができたのです。卑怯なやつは許さない、という刑事の執念が報われた瞬間でした。
 私たちは、全ての住民が安心し、笑顔で暮らせる日が来るまで、これからも犯人を追い続けます。
 
青森県八戸警察署刑事第一課 佐々木崇(ささき たかし)警部補

少年の健全育成を目指して

前 徳島県警察本部生活安全部少年課(現 阿南警察署生活安全課
久米 葉子(くめ ようこ) 警部補
 
徳島県警察本部マスコットキャラクター うずしお君
うずしお君

 私は、少年事件捜査のほか、少年の福祉を害する犯罪(福祉犯)の取締りに当たっており、主に被害者からの事情聴取等を担当しています。
 「この事件って誰が被害者なん?」ある福祉犯の被害者が発した言葉です。その被害者は当時16歳の女の子でしたが、スナックでホステスとして働かされていました。
 もちろん、子どもに悪影響を及ぼす環境で働かせた大人が悪いのですが、このように被害者側に被害意識がないのが福祉犯の特徴といえるのです。
 その被害者も後で「誘われた時にはっきり断ればよかった」と述べていましたが、最近の福祉犯被害者は、コミュニティサイト等で知り合った面識のない人に対しても「嫌われたくない」という思いから、相手に要求されるままに、メールで裸の写真を送ったり、性犯罪の被害に遭うといった事案が多くなっていると実感しています。
 今後は事件検挙とともに、防犯教室等を通じて、悪い大人の誘いに惑わされることなくダメなものはダメと断ることの重要性を子どもたちに知ってもらい、福祉犯被害者を一人でも減らしたいと考えています。
 
前 徳島県警察本部生活安全部少年課(現 阿南警察署生活安全課) 久米 葉子(くめ ようこ)警部補

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。

 警察活動の最前線

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