第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 |
2 総合的な少年非行防止対策
(1)非行少年を生まない社会づくり
警察では、全都道府県警察に少年サポートセンターを設置(注)し、少年補導職員を中心に総合的な非行防止対策を行っている。平成22年からは、警察署の少年部門とともに、少年の規範意識の向上及び社会との絆の強化を図る観点から、少年に手を差し伸べる立ち直り支援活動や少年を厳しくも温かい目で見守る社会気運の醸成等、非行少年を生まない社会づくりに取り組んでいる。① 継続補導、立ち直り支援活動
少年相談や街頭補導活動を通じて関わった少年に対し、本人や保護者等の申出に応じて、面接・家庭訪問により指導、助言したり、社会奉仕活動等への参加を促すことなどによる立ち直り支援活動を行っているほか、いじめや性犯罪の被害を受けた少年に対しては、継続的に悩みを聞いたり、カウンセリングを行ったりしている。コラム⑪ 農業体験による居場所づくり
② 少年相談活動
少年や保護者等からの悩みや困りごとの相談に応じ、心理学や教育学の専門知識を有する職員や少年非行の取扱経験の豊富な職員が、親身に指導・助言を行っている。面接のほか、気軽に相談できるよう、フリーダイヤルの電話や電子メールでも相談に応じている。③ 街頭補導活動
少年のい集する繁華街、学校周辺、通学路、公園等において、学校その他関係機関やボランティア等地域住民と共同で喫煙や深夜はいかい等をしている少年に指導注意を行う街頭補導活動を実施している。④ 広報啓発活動
学校で非行防止教室、薬物乱用防止教室等を実施するとともに、地域住民や少年の保護者が参加する非行少年問題に関する座談会を開催するなどして、地域の非行情勢や非行要因・犯罪被害の実態等について情報発信し、少年警察活動等についての理解を促している。(2)学校その他関係機関との連携確保
① 少年サポートチーム
個々の少年の問題状況に応じた的確な対応を行うため、学校、警察、児童相談所等の担当者から成る少年サポートチームを編成し、それぞれの専門分野に応じた役割分担の下、少年への指導・助言を行っている。また、少年サポートチームの効果的な運用を図るため、警察庁と文部科学省が合同で、都道府県警察や関係機関・団体の実務担当者等による協議会を実施している。② 学校と警察との連携
教育委員会等と警察との間で締結した協定等に基づき、非行少年等問題を有する児童・生徒に関する情報を学校と警察が相互に通知する学校・警察連絡制度が、全都道府県で運用されている。また、警察署の管轄区域や市区町村の区域を単位に、平成24年4月1日現在、全都道府県で約2,700の学校警察連絡協議会が設けられている。③ スクールサポーター
退職した警察官等をスクールサポーターとして警察署等に配置し、学校からの要請に応じて派遣している。スクールサポーターは「警察と学校との橋渡し役」として、学校における少年の問題行動等への対応、巡回活動、相談活動、児童の安全確保に関する助言等を行っている。24年4月1日現在、43都道府県で約600人が配置されている。(3)少年警察ボランティアとの連携
警察では、平成24年4月1日現在、全国で少年補導員(注1)約5万2,000人、少年警察協助員(注2)約300人、少年指導委員(注3)約6,700人等のボランティアを委嘱しており、協力して街頭補導活動、立ち直り支援活動その他少年の健全育成のための活動を推進している。また、24年3月現在、大学生を中心とした少年警察学生ボランティア約4,400人が全国で活動しており、少年と年齢が近くその心情や行動を理解しやすいなどの特性を生かし、学習支援活動や少年の居場所づくり活動等にも取り組んでいる。(4)少年事件対策
警察では、少年の健全育成のために適切な保護処分が行われるよう、都道府県警察本部に少年事件指導官を置き、個々の少年の特性に応じた取調べ等を行うとともに、客観的証拠の収集や裏付け捜査等を徹底して厳格な非行事実の特定等を行うよう、捜査員等に対する指導・教養を行い、少年事件の厳正かつ的確な捜査・調査に努めている。 第4節 少年の非行防止と健全育成 |
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