第2章 組織犯罪対策の推進 

4 警察の銃器対策

(1)銃器の摘発
 警察では、犯罪組織の武器庫の摘発や密輸・密売事件等の摘発に重点を置いた取締りを行うなど、総合的な銃器対策を推進している。近年、けん銃の押収丁数が減少傾向にあるのは、暴力団等の犯罪組織が隠匿や密輸・密売の方法をますます潜在化・巧妙化させ、押収が困難になっていることによるものと考えられる。

〔1〕 けん銃の押収状況
 けん銃押収丁数の推移は、図2-12のとおりである。平成21年中の暴力団構成員等からの押収丁数は全押収丁数の36.4%を占めており、このうち46.6%が山口組からの押収であった。
 
図2-12 けん銃押収丁数の推移(平成12~21年)
図2-12 けん銃押収丁数の推移(平成12~21年)
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図2-13 暴力団構成員等から押収したけん銃の組織別内訳(平成21年)
図2-13 暴力団構成員等から押収したけん銃の組織別内訳(平成21年)
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〔2〕 武器庫事件の検挙状況
 武器庫事件(注1)の検挙状況の推移は、表2-10のとおりである。摘発した武器庫は、すべて暴力団が組織的に管理していたものであり、暴力団構成員等の交友者宅や貸倉庫内にけん銃を隠匿するなど、その組織管理の手法は一層巧妙化している。

注1:組織管理に係る3丁以上のけん銃を押収した事件

 
表2-10 武器庫事件の検挙状況の推移(平成12~21年)
表2-10 武器庫事件の検挙状況の推移(平成12~21年)
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(2)国民の理解と協力の確保
 警察では、平成20年5月、けん銃に係る情報収集の困難化を克服するため、広く国民からの情報提供を促すことを目的として、「けん銃110番報奨制度」(注2)を導入した。21年中にこの制度の通報を端緒として押収したけん銃は2丁であった。
 また、「銃器犯罪根絶の集い」(注3)等の催しを開催したり、「ストップ・ガン・キャラバン隊」(注4)等の民間ボランティア団体と連携した活動を行ったりすることで、銃器犯罪の根絶と違法銃器の排除を広く国民に呼び掛けている。

注2:全国統一のフリーダイヤル番号(0120-10-3774)を設定し、各都道府県警察で通報を受け付け、提供された情報の内容や捜査への協力の度合いに応じて報奨金を支払うもの
 3:警察庁と都道府県銃器対策本部等が毎年度共催している催し。第1回は平成7年10月に東京都で開催され、22年1月に福岡県で第15回が開催された。
 4:銃器犯罪の被害者の遺族や関係者、銃器問題に深い関心を持つ研究者等で構成するボランティア団体。平成9年4月に発足し、催しや会合、ウェブサイト等を通じて、国民に銃器犯罪の悲惨さを訴え、違法銃器を根絶しようとする意識を高めている。

 
銃器犯罪根絶の集い
銃器犯罪根絶の集い

 第2節 薬物銃器対策

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