第3章 安全かつ快適な交通の確保 

第10節 総合的な駐車対策による都市の再生

(1)違法駐車の現状
 違法駐車は、幹線道路の交通渋滞を悪化させる要因となるだけでなく、歩行者や車両の安全な通行の障害となるほか、緊急自動車の活動に支障を及ぼすなど、地域住民の生活環境を害し、国民生活全般に大きな影響を及ぼしている。
 また、違法駐車は、交通事故の原因ともなっており、平成20年中には駐車車両への衝突事故が1,556件発生し、59人が死亡した。さらに、110番通報された苦情・要望・相談のうち、19.6%が駐車問題に関するもので、国民の関心も高い。
 
駐車需要に対応した時間制限駐車区間規制
写真 駐車需要に対応した時間制限駐車区間規制

(2)駐車対策の推進
〔1〕 きめ細かな駐車規制
 警察では、道路環境、交通実態、駐車需要等の変化に対応し、より良好な駐車秩序を確立するため、時間、曜日、季節による交通流・交通量の変化といった時間的視点と、道路の区間ごとの交通環境や道路構造の特性といった場所的視点の両面から、現行規制について継続的に見直しを行っている。
 
駐車監視員の活動状況
写真 駐車監視員の活動状況

〔2〕 違法駐車の取締り
 新たな違法駐車対策法制が平成18年6月1日に施行され、警察署長は、放置車両(注1)の確認事務(注2)を都道府県公安委員会の登録を受けた法人に委託することができることとされた。違法駐車の取締りは、地域住民の意見、要望等を踏まえて策定・公表されているガイドラインに沿って、メリハリを付けて行っている。

注1:違法駐車と認められる場合における車両であって、その運転者がこれを離れて直ちに運転することができない状態にあるもの
 2:放置車両の確認と標章の取付けに関する事務

 
表3-6 確認事務の民間委託規模の状況の推移(平成18~20年)
表3-6 確認事務の民間委託規模の状況の推移(平成18~20年)
Excel形式のファイルはこちら
 
表3-7 違法駐車の取締り状況(平成20年)
表3-7 違法駐車の取締り状況(平成20年)
Excel形式のファイルはこちら

〔3〕 ハード・ソフト一体となった駐車対策
 警察では、特に違法駐車が著しい幹線道路について、道路管理者等と協力して、ハード的手法(路外駐車場や荷さばきスペースの整備、カラー舗装による駐停車禁止区域の明示等)とソフト的手法(きめ細かな駐車規制の実施、違法駐車取締り等)を一体とした集中的な違法駐車対策を推進している。
 
写真 荷さばきスペース

〔4〕 保管場所の確保対策
 道路が自動車の保管場所として使用されることを防止するため、警察では、自動車の保管場所の確保等に関する法律に基づき、保管場所証明書の交付、軽自動車の保管場所に係る届出受理等を行うとともに、いわゆる青空駐車(注3)や車庫とばし(注4)の取締りを行っている。

注3:道路を自動車の保管場所として使用する行為
 4:自動車の使用の本拠の位置や保管場所の位置を偽って保管場所証明を受ける行為


 第10節 総合的な駐車対策による都市の再生

前の項目に戻る     次の項目に進む