第1章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

6 犯罪防止に配慮した環境設計

(1)公共施設や住宅の安全基準の策定等
 警察庁では、犯罪防止に配慮した環境設計を行うことにより、犯罪被害に遭いにくいまちづくりを推進するため、平成12年2月に、道路、公園、駐車・駐輪場等の防犯基準や共同住宅に関する防犯上の留意事項を定めた「安全・安心まちづくり推進要綱」を制定(18年4月改正)し、住宅等の防犯性能の向上や防犯に配慮した公共施設等の整備及び管理の一層の推進を図っている。
 また、20年度から、国土交通省と連携して、地域住宅交付金及びまちづくり交付金等を活用して安全・安心なまちづくりの一層の推進を図る「住まいと街の安全・安心再生プロジェクト」として全国13道県のモデル地区を選定し、地方公共団体、地域住民、地域企業等が協働して行う住まいと街の防犯機能の向上のための新たな取組みを支援している。
 
図1-52 犯罪防止に配慮した環境設計による犯罪被害に遭いにくい生活環境の確保
図1-52 犯罪防止に配慮した環境設計による犯罪被害に遭いにくい生活環境の確保

(2)共同住宅や駐車場の防犯性能の認定・登録制度
 警察では、防犯関係団体と協力して、防犯に配慮した構造や設備を有するマンションや駐車場を防犯優良マンション、防犯モデル駐車場として登録又は認定する制度の構築を推進している。平成21年3月末現在、防犯優良マンション制度は19都道府県(注1)で、防犯モデル駐車場制度は8都府県(注2)で、それぞれ整備されている。

注1:北海道、埼玉、東京、千葉、神奈川、静岡、福井、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、奈良、広島、山口、徳島、愛媛、大分及び沖縄
 2:東京、千葉、静岡、京都、大阪、広島、大分及び沖縄

 
防犯モデルマンション(福井県)
写真 防犯モデルマンション(福井県)
 
防犯モデル駐車場(大阪府)
写真 防犯モデル駐車場(大阪府)

(3)街頭防犯カメラ等の整備
 警察では、公共空間における犯罪を予防し、被害を未然に防ぐとともに、犯罪発生時には犯罪を速やかに認知し、犯人の追跡や被害者の保護に向かうなど迅速・的確な対応に役立てることを目的として、平成21年3月末現在、10都府県で363台の街頭防犯カメラを整備している。また、21年度は、効果的・効率的な犯罪抑止に資する街頭防犯カメラシステムの実現に向け、モデル事業を実施し、システムの在り方について検証を行うこととしている。このほか、緊急時には警察への通報等も可能な街頭緊急通報システム(スーパー防犯灯)及び子ども緊急通報装置(注3)は、国からの補助事業等として整備が進められ、21年3月末現在、全国でそれぞれ59地区計546基、59地区計400基が設置されている。

注3:街頭緊急通報システム(スーパー防犯灯)は、非常用赤色灯、非常ベル、防犯カメラ、インターホン等を備えた防犯灯で、緊急時には警察への通報や映像の伝送をすることができるものであり、子ども緊急通報装置は、非常用赤色灯、非常ベル、通報者撮影カメラ、インターホン等を備えた装置で、通学路、児童公園等に設置され、緊急時には警察へ通報することができるものである。これらは、国からの補助事業等のほか、都道府県の独自事業としても整備されている。

 
街頭防犯カメラ(警視庁)
写真 街頭防犯カメラ(警視庁)

 第3節 安全で安心な暮らしを守る施策

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