第5章 公安委員会制度と警察活動の支え 

2 公安委員会の活動

(1)国家公安委員会
 国家公安委員会は、国務大臣たる委員長及び5人の委員によって組織されており、委員は内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する。国家公安委員会では、国家公安委員会規則の制定、地方警務官(注)の任命や懲戒処分、指定暴力団の指定に際しての実質目的要件に該当する旨の確認等、警察法やその他の法律に基づきその権限に属させられた事務を行うほか、警察職員による各種の不祥事案の防止対策に関し警察庁を指導することなどにより、警察運営に関する大綱方針を示し、警察庁を管理している。
 平成19年中には、犯罪捜査規範の一部を改正する規則等、27の国家公安委員会規則を制定し、また、深刻な無罪判決等が相次いだことに関し、「警察捜査における取調べの適正化について」を決定し、警察庁に対し対策を講ずるよう指示した。
 国家公安委員会は、通常、毎週木曜日に定例会議を開催しているが、定例日以外にも、委員相互の意見交換や警察庁からの報告の聴取を行うとともに、国家公安委員会委員が各地を訪問し、都道府県公安委員会委員との意見交換や警察活動の現場の視察を行うなどにより、治安情勢と警察運営の把握に努めている。このような活動の状況について、ウェブサイトにより紹介している。

注:都道府県警察の警視正以上の階級にある警察官

 
 国家公安委員会の定例会議
国家公安委員会の定例会議

事例1

 19年11月、国家公安委員会委員長は、北海道を訪れ、北海道洞爺湖サミット会場及びプレスセンター建設地を視察した。
 
 プレスセンター建設地において、北海道警察の担当者から
 説明を受ける国家公安委員会委員長(右から二人目)
プレスセンター建設地において、北海道警察の担当者から説明を受ける国家公安委員会委員長(右から二人目)

事例2

 19年5月、国家公安委員会委員は、香川県を訪れ、JR善通寺駅前通りに設置されている街頭緊急通報システム(スーパー防犯灯)を視察するとともに、地元の少年補導員、地域安全推進委員及びボランティア活動を行う大学生と懇談した。
 
 ボランティア活動を行う大学生らと懇談する
 国家公安委員会委員(左から三人目)
ボランティア活動を行う大学生らと懇談する国家公安委員会委員(左から三人目)

(2)都道府県公安委員会
 都道府県公安委員会及び方面公安委員会は、都、道、府及び政令指定都市を包括する県では5人、それ以外の県及び北海道の各方面では3人の非常勤の委員によって組織されており、委員は都道府県知事が都道府県議会の同意等を得て任命する。
 都道府県公安委員会は、運転免許、交通規制、犯罪被害者等給付金の支給裁定、古物営業等の各種営業の監督等、国民生活にかかわりのある数多くの行政事務を処理するとともに、管内における事件、事故及び災害の発生状況と警察の取組み、治安情勢とそれを踏まえた警察の各種施策、組織や人事管理の状況等について、定例会議の場等で、警察本部長等から報告を受け、これを指導することにより、都道府県警察を管理している。
 都道府県公安委員会は、おおむね月3回ないし4回の定例会議を開催するほか、警察署協議会への参加、教育委員会等の関係機関との協議、警察活動の現場の視察等により、治安情勢と警察運営の把握に努めている。また、このような活動の状況について、ウェブサイトにより紹介している。

事例1

 群馬県公安委員会は、平成19年9月、1人が死亡、7人が重軽傷を負う玉突き交通事故が発生した関越自動車道の事故現場を視察した。
 
 事故の状況等について説明を受ける
 群馬県公安委員会委員(左から2人目及び3人目)
事故の状況等について説明を受ける群馬県公安委員会委員(左から2人目及び3人目)

事例2

 旭川方面公安委員会委員は、19年5月、利尻島に所在する鬼脇駐在所を視察し、同駐在所勤務員から管内概況の説明を受けたほか、家族も同席して、駐在所勤務の状況について意見交換を行った。
 
 駐在所勤務員とその家族と意見交換する
 旭川方面公安委員会委員(左)
駐在所勤務員とその家族と意見交換する旭川方面公安委員会委員(左)

事例3

 長野県公安委員会では、19年2月、子ども安全総合対策や少年非行防止・健全育成対策について、県教育委員会と意見交換を行い、相互に緊密な連携を図っていくことを確認した。

(3)公安委員会相互間の連絡
 国家公安委員会と各都道府県公安委員会は、常に緊密な連絡を保つため、各種の連絡会議を開催している。平成19年中は、国家公安委員会と全国の都道府県公安委員会との連絡会議を2回開催し、北海道洞爺湖サミットへの取組み等についての意見交換を行った。
 また、19年中は、各管区及び北海道において、管内の府県公安委員会相互、道公安委員会と方面公安委員会相互の連絡会議が合計13回開催され、さらに、都、道、府及び指定県に置かれる14の公安委員会相互の連絡会議も開催され、国家公安委員会委員も出席し、各都道府県の治安情勢やそれぞれの取組みについての報告や意見交換が行われた。
 
 公安委員会相互の連絡会議
公安委員会相互の連絡会議

 2 公安委員会の活動

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