第3章 安全かつ快適な交通の確保 

第12節 総合的な駐車対策による都市の再生

(1)違法駐車の現状
 違法駐車は、幹線道路の交通渋滞を悪化させる要因となるだけでなく、歩行者や車両の安全な通行の障害となるほか、緊急自動車の活動に支障を及ぼすなど、住民の生活環境を害し、国民生活全般に大きな影響を及ぼしている。
 また、違法駐車は、交通事故の原因ともなっており、平成19年中には駐車車両への衝突事故が1,672件発生し、65人が死亡した。さらに、110番通報された苦情・要望・相談のうち、20.7%が駐車問題に関するもので、国民の関心も高い。
 
 違法駐車の実態
違法駐車の実態
 
 表3-9 大都市における瞬間路上駐車台数(平成19年)
表3-9 大都市における瞬間路上駐車台数(平成19年)
 
 表3-10 駐車車両への衝突による交通事故の状況(平成19年)
表3-10 駐車車両への衝突による交通事故の状況(平成19年)

(2)新たな違法駐車対策法制による駐車対策の推進
〔1〕 きめ細かな駐車規制
 警察では、道路環境、交通実態、駐車需要等の変化に対応し、より良好な駐車秩序を確立するため、時間、曜日、季節による交通流・交通量の変化といった時間的視点と、道路の区間ごとの交通環境や道路構造の特性といった場所的視点の両面から、現行規制の見直しを行っている。
 
 駐車需要に対応した時間制限規制区間規制
駐車需要に対応した時間制限規制区間規制

〔2〕 違法駐車の取締り
 平成18年6月1日から新たな違法駐車対策法制が施行され、警察署長は、放置車両(注1)の確認事務(注2)を都道府県公安委員会の登録を受けた法人に委託することができることとされた。全国における委託状況は次のとおりである。
 違法駐車の取締りは、地域住民の意見、要望等を踏まえて策定・公表されているガイドラインに沿って、メリハリを付けて行われている。
・ 放置駐車確認標章の取付け数(19年中)……296万7,843件(うち駐車監視員によるものは、149万1,705件)
・ 駐車違反取締件数(19年中)……300万4,383件(放置違反金納付命令235万3,830件を含む。)
・ レッカー移動した車両台数(19年中)……7万8,649件

注1:違法駐車と認められる場合における車両であって、その運転者がこれを離れて直ちに運転することができない状態にあるもの
 2:放置車両の確認と標章の取付けに関する事務

 
 表3-11 確認事務の民間委託規模の状況
表3-11 確認事務の民間委託規模の状況
 
 駐車監視員の活動状況
駐車監視員の活動状況

〔3〕 新法制施行後の効果
 新法制施行後は、大都市地域を始め各地の違法駐車の実態は大幅に改善され、渋滞の解消にもつながっており、また、交通事故の減少効果も認められている。
 
 図3-21 東京都主要道路(中央通り等)における違法駐車の改善の状況
図3-21 東京都主要道路(中央通り等)における違法駐車の改善の状況(施行前、施行後)
 
 表3-12 駐車車両衝突事故の発生状況
表3-12 駐車車両衝突事故の発生状況

〔4〕 ハード・ソフト一体となった駐車対策
 特に違法駐車が著しい幹線道路では、都道府県公安委員会と道路管理者が協力して、ハード的手法とソフト的手法を一体とした集中的な違法駐車対策を推進している。
<ハード的手法> ・ カラー舗装による駐停車禁止区域の明示
         ・ 違法駐車抑止システムの整備
         ・ 路外駐車場や荷さばきスペースの整備 等
<ソフト的手法> ・ きめ細かな駐車規制の実施
         ・ 違法駐車取締り
         ・ 積極的な広報啓発活動 等
 
 カラー舗装による駐停車禁止区域の明示
カラー舗装による駐停車禁止区域の明示
 
 荷さばきスペース
荷さばきスペース

〔5〕 保管場所の確保対策
 道路が自動車の保管場所として使用されることを防止するため、警察では、自動車の保管場所の確保等に関する法律に基づき、保管場所証明書の交付、軽自動車の保管場所に係る届出受理等を行うとともに、いわゆる青空駐車(注1)や車庫とばし(注2)の取締りを行っている。
 また、保管場所証明等に必要な手続をインターネットを利用して行うことができる自動車保有関係手続のワンストップサービス・システムの全国的な整備を関係機関と連携しつつ推進している(20年6月現在、10都府県において新車の新規登録について運用中)。

注1:道路を自動車の保管場所として使用する行為
 2:自動車の使用の本拠の位置や保管場所の位置を偽って保管場所証明を受ける行為


 第12節 総合的な駐車対策による都市の再生

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