第1章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

4 通貨偽造犯罪

(1)発見状況
 過去10年間の偽造日本銀行券の発見枚数(注)の推移は次のとおりであり、平成19年中は、前年より大幅に増加した。

注:届出等により警察が押収した枚数

 
 図1-12 偽造日本銀行券の発見枚数の推移(平成10~19年)
図1-12 偽造日本銀行券の発見枚数の推移(平成10~19年)

(2)特徴的傾向と対策
 最近の偽造日本銀行券の中には、対面行使が可能であるほど外観が本物らしいものが発見されている。これは、高性能のコンピュータ、スキャナ、プリンタ等が一般に普及し、精巧な偽造を容易に行えるようになったためと考えられる。券種別では、一万円券や五千円券の偽造日本銀行券は、新しい図柄の銀行券の発行等の偽造対策により平成17年以降減少傾向にある。千円券の偽造日本銀行券については、自動販売機の改良等により一時激減したものの、19年は、特定の自動販売機を対象とした行使事案の発生により、再び増加した。
 警察庁では、財務省を始めとする関係省庁や日本銀行と連携して、ポスターやウェブサイトで偽造日本銀行券が行使された事例や偽造通貨を見破る方法を紹介するなどして、国民に注意を喚起している。また、コンピュータ関連機器、自動販売機等の製造業者団体に情報を提供し、通貨偽造や偽造通貨行使を防ぐシステムの開発等の通貨偽造犯罪対策の強化を要請するなどしている。
 
 通貨偽造・同行使事件で押収した偽造日本銀行券等
通貨偽造・同行使事件で押収した偽造日本銀行券等

事例

 日系ブラジル人の男(34)は、19年1月ころ、愛知県内の自宅において、スキャナ機能付きのプリンタを使用して五千円券数十枚を偽造し、同年3月ころ、同県内の複数のガソリンスタンドで代金として手渡し、行使した。同年5月までに通貨偽造・同行使罪で逮捕した(愛知)。

 第1節 罪種別犯罪情勢とその対策

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