11 交通事故事件捜査
(1)交通事故事件の検挙状況
平成18年中の交通事故事件に係る検挙件数は、次のとおりである。
表3-7 業務上(重)過失致死傷事件の検挙状況(件)(平成18年)
図3-24 危険運転致死傷罪の検挙状況
(2)適正な交通事故事件捜査の推進
警視庁及び各道府県警察本部の交通捜査担当課に事故事件捜査指導官等を配置し、警察署が取り扱う事故事件のうち、事故原因の究明が困難なものについて実地に指導を行うなど、組織的な捜査により、適正な交通事故事件捜査の推進に努めている。
特に、一方の当事者が死亡し、又は重体であることなどから事情聴取ができない交通事故や、当事者の言い分が食い違う交通事故については、初期の段階から組織的な捜査を推進し、目撃者や物証の確保等に努めている。
また、ひき逃げ事件については、迅速な初動捜査を行うとともに、現場こん跡画像検索システム(注)等の交通鑑識資機材を効果的に活用し、被疑者の早期検挙に努めており、平成18年中の死亡ひき逃げ事件の検挙率は97.6%に達している。
ひき逃げ事件現場の採証活動
事 例
18年8月に発生した、幼児3人が死亡したひき逃げ事件について、被疑者が現場に戻ってきたため、業務上過失致死罪及び道路交通法違反(救護措置義務違反)で逮捕した。逮捕後目撃者の供述等により、被疑者は事故発生時にアルコールの影響により正常な運転が困難な状態であったことを立証し、危険運転致死傷罪で検挙した(福岡)。
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(3)交通事故事件捜査の科学化・合理化
ち密で科学的な交通事故事件捜査を求める国民の声を踏まえ、高度な知識及び技能を有する交通捜査員を養成するため、衝突実験に基づく事故解析等の専門的教養を行う交通事故鑑定専科を開催している。
また、交通事故当事者の負担軽減や迅速な交通事故捜査により交通渋滞を早期に解消するため、交通事故自動記録装置(交通事故の衝突音、スリップ音を感知し、事故の直前、瞬間及び直後の状況を録画する装置)を始めとする各種の機器の整備・活用を図るほか、一定の軽微な物件事故について現場見分を省略する制度を活用している。
交通事故鑑定専科
交通事故自動記録装置による撮影画像の連続写真
(4)交通事故被害者等の心情に配慮した対策の推進(
第5章13(5)〔4〕参照)
平成17年12月に策定された「犯罪被害者等基本計画」に基づき、適切な被害者対策が行われるよう、交通事故の被害者やその遺族(以下「被害者等」という。)の要望や心情に配意した捜査に努めるとともに、被害者連絡実施要領
(注)等に基づき、ひき逃げ事件や交通死亡事故の遺族等に対して捜査の初期の段階から、事案概要や捜査経過、被疑者の検挙状況等を連絡している。
18年12月には、被害者等に対する情報提供を一層推進するため、被害者連絡実施要領を改正し、被害者連絡の対象に全治3か月以上の重傷事故及び危険運転致死傷罪に該当する事件を加えるとともに、被害者連絡の責任者を、従来の警察署交通課長等の担当課長から警察署長等に変更した。また、「被害者の手引」を改訂し、刑事手続、被害者への補償制度等について内容の拡充を図るとともに、事案の特性やニーズに応じた内容を盛り込んだ数種類の「被害者の手引」や、各種相談窓口等を紹介した「現場配布用リーフレット」を作成し、配布するなどの取組みを推進している。
「被害者の手引」