第1章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

6 生活安全産業の育成と活用

(1)警備業の育成

 警備業の業務は、施設警備、雑踏警備、交通誘導警備、現金輸送警備、ボディガード等の幅広い分野に及び、住宅の機械警備も普及拡大するなど、警備業は、民間の生活安全サービスとして定着している。また、空港や原子力発電所のようなテロの標的とされやすい施設での警備も行っている。
 警察では、警備業者に対する指導監督を行い、不適正な業務を行う業者に対しては行政処分を行うことで、警備業務の実施の適正化を図っている。
 
 図1-56 警備業者・警備員数の推移(平成9~18年)
図1-56 警備業者・警備員数の推移(平成9~18年)

(2)古物商・質屋を通じた盗品の流通防止と被害回復

 古物営業法及び質屋営業法では、古物商や質屋に盗品等が持ち込まれる蓋然性が高いことに着目し、事業者に様々な義務付けをしている。
 これらにより、盗品等の市場への流入が阻止されるとともに、いったん流入した盗品等が発見されやすくなり、窃盗その他の犯罪の防止及びその被害の回復が図られている。
 また、古物商や古物市場主の関係団体は、営業所又は古物市場の管理者に対して、古物が不正品であるかどうかを判断できるようにするための講習を実施しており、警察では、講師の派遣等の協力を行っている。
 
 図1-57 質屋営業・古物営業の許可数の推移(平成9~18年)
図1-57 質屋営業・古物営業の許可数の推移(平成9~18年)

(3)防犯設備関連業界との連携

 警察では、より良質な防犯設備が供給されるよう、最新の犯罪情勢や手口の分析結果等を事業者に提供するなどにより、防犯設備の開発を支援している。
 また、(社)日本防犯設備協会が運用している総合防犯設備士(注1)と防犯設備士は、防犯設備の設計、施工、維持管理に関する専門的な知識・技能を有する専門家として活躍している。警察では、同協会に対し、防犯設備士等に対する研修を充実させるための支援を行っているほか、都道府県ごとに防犯設備士等の団体を設立するよう働き掛けている。

注1:総合防犯設備士とは、防犯設備士として通算3年以上の実務経験を有し、セキュリティに関する幅広い知識と経験、防犯設備士に対する育成・指導力等を有する者として、(社)日本防犯設備協会の認定試験に合格した者をいう。

 
 図1-58 防犯設備士の地域活動拠点
図1-58 防犯設備士の地域活動拠点

(4)調査業に係る業務の適正化

 探偵社、興信所等の調査業については、悪質な業者による不適正な営業活動が後を絶たないことから、警察では、悪質な調査業者の取締り等を行うことにより、調査業に係る業務の適正化に取り組んでいる。調査業のうち探偵業(注2)については、その業務の適正化を図り、個人の権利利益の保護に資することを目的として、探偵業の業務の適正化に関する法律が平成18年6月に制定され、19年6月から施行された。

注2:探偵業とは、探偵業務を行う営業をいう。ただし、専ら、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関の依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行われる者を除く。

 
 図1-59 探偵業の業務の適正化に関する法律の概要
図1-59 探偵業の業務の適正化に関する法律の概要
 
 探偵業の業務の適正化に関する法律の広報用パンフレット
探偵業の業務の適正化に関する法律の広報用パンフレット

 第3節 安全で安心な暮らしを守る施策

前の項目に戻る     次の項目に進む