第7章 公安の維持 

5 極左暴力集団の動向と対策

(1) 極左暴力集団の動向

 〔1〕 大衆運動への取組みを強めた革マル派
 革マル派(注1)は、平成15年初めから、イラク問題に焦点を絞った大衆運動への取組みを強め、独自に集会、デモを行ったほか、市民団体や労働組合が主催する集会、デモに党派色を隠して積極的に参加し、市民層、労働者層の獲得を図った。
 こうした中、革マル派は、15年3月16日、「革マル派結成40周年・「共産党宣言」155周年記念革共同政治集会」を開催し、植田琢磨議長が記念講演を行った。
 また、革マル派は、東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)内における元顧問の組織運営に反発した中央執行委員8人が14年11月に辞任した問題をめぐる対立や、警視庁が14年11月に摘発した「JR東労組における革マル派活動家らによる組合脱退・退職強要事件」に関しては、過去に、これらの労働組合に関する動きに敏感な反応を示してきたにもかかわらず、一切反応を示さなかった。


注1:正式名称を日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派という。

 〔2〕 大衆運動に積極的に取り組むとともに労働運動への介入を強めた中核派
 中核派(注2)は、15年中、イラク問題を中心に反戦闘争の盛上げを図り、15年1月、米国のワシントンで開催された「全米反戦集会」へ全学連(注3)の代表団を派遣するなど国際連帯のための活動に取り組んだほか、全国各地で党派色を隠した集会、デモを頻繁に行い、幅広い市民層の取込みを図った。
 15年夏の政治集会では、「新たな指導方針」の名の下に「労働運動強化」路線を強く打ち出し、新生「マルクス主義青年労働者同盟」を結成するとともに、米国、韓国の労働組合関係者を初めて招請して国際連帯を強くアピールしたほか、全労連(注4)傘下の組合員等に対する介入の強化等を図った。
 中核派は、15年4月の統一地方選挙を「前半期における最大の政治闘争」の一つと位置付け、東京都杉並区議会議員選挙を始め5件の選挙に活動家ら8人を擁立し、7人が当選した。また、15年9月の東大阪市議会議員選挙でも、中核派活動家1人が当選した。

 
中核派系団体主催のデモ行進(15年3月、東京)

中核派系団体主催のデモ行進(15年3月、東京)


注2:正式名称を革命的共産主義者同盟全国委員会という。
注3:正式名称を全日本学生自治会総連合という。
注4:正式名称を全国労働組合総連合という。

 〔3〕 対立を続けながら組織の建て直しを図った革労協
 革労協(注5)は、11年5月に主流派、反主流派に分裂して以降、16年7月までに、相互に13件の内ゲバ事件(内ゲバ容疑事件を除く。)を引き起こすなど、内部で厳しい対立を続けている。
 両派は、厳しい緊張関係を維持しながら大衆運動に取り組み、組織の建て直しを図った。また、反主流派は、イラク反戦問題をめぐり、15年中に3件の「テロ、ゲリラ」事件を引き起こした。

 
防衛庁へ向けた飛翔弾発射事件の発射装置(15年2月、東京)

防衛庁へ向けた飛翔弾発射事件の発射装置(15年2月、東京)


注5:正式名称を革命的労働者協会といい、主流派は社会党社青同解放派、反主流派は解放派と名のっている。

事例1
15年2月24日深夜、東京都内の外国人学校敷地内に仕掛けられた2基の時限式発射装置から防衛庁に向けて金属弾が発射されるゲリラ事件が発生した。16年7月現在、捜査中である。

事例2
16年6月2日早朝、東京都内の路上で革労協反主流派活動家3人が4、5人の男に鉄棒等で襲撃され2人が死亡、1人が軽傷を負うという内ゲバ容疑事件が発生した。16年7月現在、捜査中である。

 〔4〕 新たな局面を迎える成田闘争
 15年中、新東京国際空港公団(当時)では、16年4月の民営化に向け、平行滑走路の完成を喫緊の課題とし、用地取得のための諸施策を積極的に進めた。
 これに対して、三里塚芝山連合空港反対同盟北原グループやこれを支援する極左暴力集団は、空港公団との話合いを一切拒否する姿勢を示し、「民営化に伴う北側延伸攻撃許すな」などと訴え、集会、デモに取り組んだ。

事例3
15年8月26日深夜、千葉県八街(やちまた)市内の民家の敷地内に仕掛けられた爆弾が爆発し、風呂場付近の窓ガラス数枚が破損した。被害者は、成田問題と無関係の一般人で、爆発物の形状から、中核派が攻撃対象を誤って引き起こしたゲリラ事件とみられる。16年7月現在、捜査中である。

 5 極左暴力集団の動向と対策

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