第5章 組織犯罪対策の推進 

(5) 国際的なマネー・ローンダリング対策

 〔1〕 金融活動作業部会(FATF)の活動
 FATF(Financial Action Task Force)は、1989年(平成元年)のアルシュ・サミットで設置が決定された、マネー・ローンダリング対策に関する国際協力を推進するための国際フォーラムである。2004年(16年)6月末現在、我が国を含む33の国・地域及び2つの国際機関が参加しており、警察庁もその活動に貢献している。
 FATFでは、1990年(2年)、法執行、刑事司法、金融規制の各分野で各国が採るべきマネー・ローンダリング対策を示した「40の勧告」を策定・公表し、1996年(8年)には、マネー・ローンダリングの前提犯罪の拡大等に係る改訂を行ったが、近年、マネー・ローンダリングの技術がより巧妙化・進化したことや、2001年(13年)9月の米国における同時多発テロ事件以降、FATFの対象分野にテロ資金対策が含まれたこと等にかんがみ、2003年(15年)6月、同勧告をより包括的なマネー・ローンダリング対策やテロ資金対策の指針とすべく、再度改訂を行った。
 なお、米国における同時多発テロ事件直後の2001年(13年)10月には、「テロ資金供与に関するFATF特別勧告」を策定・公表している。
 また、FATFでは、2000年(12年)以降、マネー・ローンダリング規制の「抜け穴」をふさぐため、金融機関に対する規制が不十分で国際的な司法・捜査協力に非協力的な国・地域を特定し、金融機関がこれらの国・地域との間の取引について特別の注意を払うよう勧告している。

 
FATFが特定したマネー・ローンダリング対策非協力国・地域

FATFが特定したマネー・ローンダリング対策非協力国・地域

 〔2〕 アジア・太平洋マネー・ローンダリング対策グループ(APG)の活動
 APG(Asia/Pacific Group on Money Laundering)は、1997年(9年)にタイで開催されたFATF第4回アジア・太平洋マネー・ローンダリング・シンポジウムで、アジア・太平洋地域内のマネー・ローンダリング対策を推進するため設置が決定された国際フォーラムである。2004年(16年)6月現在、我が国を含む28の国・地域が参加しており、警察庁もその活動に貢献している。

 第4節 来日外国人犯罪対策

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