第3章 生活安全の確保と警察活動 

2 サイバー犯罪対策の推進基盤の整備

(1) 警察の体制の整備

 〔1〕 警察庁情報技術犯罪対策課の設置
 サイバー犯罪のうち、特にインターネットその他の高度情報通信ネットワークに関係する事犯は、匿名性が高い、こん跡が残りにくい、不特定多数の者に被害が及びやすい、地理的・時間的制約が少ないなどの特性があり、被害が短時間のうちに広範に及びやすく、捜査を行う警察の側においても、複数の都道府県警察や複数の部門にわたって取締りの重複が生じ得るという問題がある。
 このようなサイバー犯罪の脅威が増大していることから、警察庁では、サイバー犯罪の捜査と予防を強力かつ一体的に推進することができるよう、平成16年4月、生活安全局に情報技術犯罪対策課を設置した。同課では、都道府県警察が行うサイバー犯罪捜査の調整を行うほか、産業界や外国関係機関との連携強化、適切な相談対応の実施等の施策を推進している。

 〔2〕 国による技術支援体制の確立
 情報通信技術の発展に伴い、サイバー犯罪に悪用される技術も高度化・複雑化し、その取締りには高度な技術的知見が必要とされるようになっている。このため、16年4月、警察庁では、都道府県(方面)情報通信部に情報技術解析課を設置し、専門的な知識及び技能を有する技術職員を配置するとともに、必要な資機材を整備し、都道府県警察が行うサイバー犯罪の取締りを国が技術面で支援するための体制を確立した。

 〔3〕 都道府県警察の体制整備
 都道府県警察では、サイバー犯罪の取締りや関連施策を効率的に進めるため、各部門が連携の上、サイバー犯罪対策に関する知識及び技能を有する捜査員等により構成される「サイバー犯罪対策プロジェクト」を設置している。また、企業でシステム・エンジニアとしての勤務経験を有する者をサイバー犯罪捜査官として中途採用したり、サイバー犯罪の予防のための広報啓発活動を行う情報セキュリティ・アドバイザーを配置したりするなど、サイバー犯罪対策のための要員の確保に努めている。

 〔4〕 資機材の整備及び教育訓練の実施
 最新の技術や新しい手口を用いたサイバー犯罪に対処するため、インターネット上の情報収集や電磁的記録の解析等を行うための捜査用資機材を整備しているほか、捜査能力向上のための教育訓練を実施している。

 第5節 高度情報通信ネットワークの安全確保

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