第2章 日本警察50年の軌跡と新たなる展開 

(1) 大震災、オウム真理教によるテロに対峙(じ)した警察

 7年は市民生活の安全と平穏を大きく脅かす重大特異な事案が相次いだ。7年1月17日に淡路島を震源地とする阪神・淡路大震災が発生し、死者約6,400人、負傷者約4万3,800人、避難住民約30万人という関東大震災以来の激甚災害となった。また、6年に松本サリン事件を起こしたオウム真理教は、7年3月20日地下鉄サリン事件を敢行し、乗客や駅職員12人が死亡、数千人が負傷する事態となった。続いて、同月30日に警察庁長官狙撃事件が発生した。これらの事案は、地震により一瞬のうちに多くの人命が奪われ、多大な混乱に見舞われた点、また、猛毒ガスが無差別的に市民に対して使用された点、警察組織のトップがねらわれた点において、我が国の治安の根幹を揺るがすものであった。
 警察は、これらの事案に対し、正に総力を挙げた取組みを行った。大震災に際しては、被災地を管轄する府県警察が、全国警察の協力を得て、救出救助活動や緊急輸送路の確保等の災害警備活動を実施した。オウム真理教関連事件では、関連施設の一斉捜索等を行うとともに、教団代表を含む多数の幹部を検挙し、更なるテロを封圧した。法制上の課題に対しても、サリン等による人身被害の防止に関する法律の制定(7年)、広域組織犯罪等に対処するための警察法改正(8年)、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の制定(11年)が措置された。

 
阪神・淡路大震災 ―機動隊による救出活動

阪神・淡路大震災 ―機動隊による救出活動

 
地下鉄サリン事件

地下鉄サリン事件

 第2節 日本警察50年史

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