第2章 日本警察50年の軌跡と新たなる展開 

(2) 交通警察の高度化

 交通事故死者数は、7年に10,679人を記録したのを最後に、毎年1万人を割り込み、15年には7,702人と昭和32年以来46年ぶりに8,000人を下回った。警察による一連の対策が交通安全の確保に大きく貢献してきた証であるが、事故発生件数及び負傷者数が過去最悪となるなど、依然として厳しい状況にあり、また、交通量の増大が渋滞や公害を招き、都市機能や生活環境の水準を低下させている。
 こうした状況を改善すべく、警察では、情報通信技術を取り入れて交通管制システムの高度化を図り、ネットワーク化された信号機、交通情報板等を的確に制御して、交通流の円滑化や交通事故の防止を図った。バスの優先信号制御やカーナビゲーション装置を介した渋滞情報提供のような新しいシステムも実用化され、多くの道路利用者がその利便性を享受できるようになった。
 他方、少子高齢化を背景に、道路交通のバリアフリー化にも力点を置き、道路管理者と連携して住宅地域や中心市街地の生活道路、細街路の安全対策を進めたほか、歩車分離式の信号制御の導入拡大や高齢者、視覚障害者等の安全な移動を支援するバリアフリー対応型信号機の整備も進めた。

 
道路交通情報通信システム(VICS)による情報提供

道路交通情報通信システム(VICS)による情報提供

 第2節 日本警察50年史

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