第2章 日本警察50年の軌跡と新たなる展開 

(2) 旧警察法の制定

 昭和20年8月の終戦直後、日本の民主化を進める連合国軍総司令部は、警察制度の根本的改革を図ろうとしたが、混乱した社会情勢等を踏まえ、憲法及び地方制度の改正に当たっても、当分の間、警察制度は現状を維持することとした。その後、総司令部内における意見の調整を経た後、片山内閣総理大臣の求めによりなされたマッカーサー元帥の裁定により、総司令部の最終案が作成され、旧警察法(昭和22年12月17日法律第196号)の制定に至った。

旧警察法の理念と特徴

 警察の地方分権
 それまでの国家警察制度を改め、市町村の自治体警察を基本とした。すべての市及び人口5,000人以上の市街的町村は自ら警察を維持する一方、その他の地域(主として村落部)は国の機関である国家地方警察の管轄とした。市町村警察は、国家非常事態の場合を除いて、国家地方警察の指揮監督を受けず、また、都道府県の国家地方警察は、知事の所轄の下に置かれる都道府県公安委員会がその運営を管理した。

 警察の民主的管理
 警察を民主的に管理し、かつ、その政治的中立性を確保する制度として、公安委員会制度を採り入れた。公安委員会は、市民の代表者たる委員によって構成される合議体の機関であり、国、都道府県及び市町村に置かれ、内閣総理大臣、都道府県知事及び市町村長から独立して職権を行使した。

 警察の責務の限定
 警察の責務を、国民の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の捜査、被疑者の逮捕及び公安の維持に当たることとし、警察の活動は厳格にその責務の範囲内に限られるべきことを明らかにした上、権能の濫用を戒める旨を特に規定した。

 
図2-1 旧警察法に定める警察の組織

図2-1 旧警察法に定める警察の組織

 第1節 現行警察制度の誕生と変遷

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