第5章 安全かつ快適な交通の確保 

(3)交通事故の発生状況

1)概況
 平成14年に発生した交通事故は,死者数が過去最悪であった昭和45年の1万6,765人からの半減を達成し,また,発生件数及び負傷者数についても平成2年以来12年ぶりに減少に転じた(図5-7)。
・ 発生件数・・・93万6,721件(前年比1万448件(1.1%)減)
・ 負傷者数・・・116万7,855人(前年比1万3,100人(1.1%)減)
・ 死者数・・・8,326人(前年比421人(4.8%)減)
・ 14年中の交通事故発生から30日以内の死者数・・・9,575人(前年比485人(4.8%)減)

 
図5-7 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和41~平成14年)

図5-7 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和41~平成14年)
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2)近年死者が減少している理由
 交通事故発生件数及び交通事故負傷者数は,14年は13年に比べ減少したものの,ここ数年,基本的に増加傾向にある。このような増加基調にもかかわらず,交通事故死者数が減少傾向にある要因としては,高速で走行する車両の事故が減少していること,シートベルトの着用者率が向上し事故の被害が軽減されていること,歩行中死傷者の違反割合が減少していることなどが考えられる。
○車両の事故直前の速度の低下
 80キロメートル毎時を超える高速の事故での致死率は,80キロメートル毎時以下の場合の30.9倍であるが,この高速の事故件数が大きく減少していることが,自動車乗車中の死者数が減少している一因と考えられる(図5-8)。

 
図5-8 一般道における危険認知速度(注)別交通事故件数の推移(平成5~14年)

図5-8 一般道における危険認知速度(注)別交通事故件数の推移(平成5~14年)
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○シートベルト着用者率の向上
 シートベルト着用者の致死率は,非着用者の約11分の1であり,シートベルトが事故の被害軽減に果たす役割は大きいと認められる。シートベルト着用者率が5年以降向上していることが,自動車乗車中の死者数が減少していることの一因であると考えられる(図5-9)。

 
図5-9 シートベルト着用有無別致死率及び自動車乗車中の死傷者のシートベルト着用者率の推移(平成5~14年)

図5-9 シートベルト着用有無別致死率及び自動車乗車中の死傷者のシートベルト着用者率の推移(平成5~14年)
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○違反のある歩行中死傷者の構成率の減少
 歩行者の致死率を違反の有無別でみると,違反のある者は4.1%,違反のない者は1.4%となっている。近年,歩行中の死傷者は横ばい傾向にあるものの,違反のある者の構成率が減少傾向にあることが,歩行中の死者数が減少している一因と考えられる(図5-10)。

 
図5-10 歩行中の死傷者の違反構成率と歩行中の死者数の推移(平成5~14年)

図5-10 歩行中の死傷者の違反構成率と歩行中の死者数の推移(平成5~14年)
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3)交通死亡事故の発生状況
○状態別にみた交通事故死者数(図5-11)
・ 自動車乗車中の死者数が3,438人で最も多く,全死者数の41.3%となっている。
・ 自動車乗車中の死者数の減少(前年比273人(7.4%)減),歩行中の死者数の減少(前年比72人(2.9%)減)が顕著である。

 
図5-11 状態別交通事故死者数(平成14年)

図5-11 状態別交通事故死者数(平成14年)
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○年齢層別にみた交通事故死者数の構成率と人口構成率の比較(図5-12)
・ 後期高齢者(75歳以上の者をいう。),前期高齢者(65歳以上74歳以下の者をいう。),若者(16歳以上24歳以下の者をいう。)の順に死者数の構成率が人口構成率より高くなっており,それぞれ2.6倍,1.6倍,1.5倍となっている。

 
図5-12 年齢層別にみた交通事故死者数の構成率と人口構成率の比較(平成14年)

図5-12 年齢層別にみた交通事故死者数の構成率と人口構成率の比較(平成14年)
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○状態別,年齢層別死者数の特徴(図5-13)
・ 自動車乗車中の死者数については若者が最も多い(21.8%)。
・ 自動二輪車乗車中の死者数については若者が最も多い(37.0%)。
・ 自転車乗用中の死者数については後期高齢者が最も多い(31.5%)。
・ 歩行中の死者数については後期高齢者が最も多い(40.9%)。

 
図5-13 状態別,年齢層別死者数(平成14年)

図5-13 状態別,年齢層別死者数(平成14年)
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○昼夜別にみた死亡事故の発生状況(図5-14)
・ 14年中の死亡事故件数は,昼間(日の出から日没まで)が3,757件(全体の47.0%),夜間(日没から日の出まで)が4,236件(53.0%)となっている。
・ 夜間の死亡事故件数は昼間の約1.1倍である。
・ 13年と比較して,昼間は135件(3.5%),夜間は286件(6.3%)減少した。

 
図5-14 昼夜別死亡事故件数の推移(平成5~14年)

図5-14 昼夜別死亡事故件数の推移(平成5~14年)
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