第2章 生活安全の確保と警察活動 

(2)被害少年対策

1)支援体制の整備・充実
 被害少年に対しては,長期にわたる継続的な支援が必要とされることから,警察では,少年補導職員等の増員や適切な配置等に努めている。
 また,「被害少年カウンセリングアドバイザー」(注1)及び「被害少年サポーター」(注2)の委嘱を推進している。


(注1)被害少年に対するカウンセリング等の継続的支援に当たっては,専門的な知識,技能が必要とされるが,支援担当者がその対応を誤れば,二次的被害を与えることも懸念されるなど,少年補導職員等のみでは対応が困難なケースも予想されることから,大学の研究者,精神科医,臨床心理士,民間のカウンセラー等の部外の専門家を「被害少年カウンセリングアドバイザー」として委嘱し,支援担当者がいつでも専門的な助言を受けることができるようにしている。
(注2)被害少年に対する継続的支援は,少年補導職員等によるカウンセリングの実施等による専門的支援ばかりでなく,平素から保護者等と連絡を密にしながら,きめ細かな訪問活動を行うことが効果的であることから,地域において実施担当者の指導,助言の下に,これらの活動を行う民間ボランティアを「被害少年サポーター」として委嘱し,継続的支援を効果的に実施するようにしている。

 
図2-24 被害少年の支援活動

図2-24 被害少年の支援活動

2)カウンセリング等の継続的支援の実施
 警察では,被害少年が精神的ダメージを早期に克服して立ち直ることができるように,少年補導職員や少年相談専門職員等による個々の少年の特性を踏まえたカウンセリング,保護者等と連携した家庭環境の改善等のきめ細かな継続的支援を行っている。

 
相談室でのカウンセリング

相談室でのカウンセリング

事例
 出会い系サイトで知り合った氏名,住所等が不明の男性と性交して妊娠した児童に対して,本部捜査員,保健師・臨床心理士の資格を持つ少年補導職員及び管轄警察職員からなる被害者支援プロジェクトチームを編成して継続的なカウンセリング等を粘り強く行った結果,児童の抱える精神的ダメージや将来への不安を解消し,安定した学校生活を取り戻した(京都)。

3)関係機関との連携の強化
 警察では,被害少年の継続的な支援に当たって,専門的な知識・技能に基づいたカウンセリング,きめ細かな支援活動を行うため,被害少年支援ネットワークを構築するなど,児童相談所,カウンセリング専門機関,保健医療機関やボランティア団体等との連携の強化に努めている。

4)警察職員に対する研修,教育訓練
 警察では,少年補導職員等に対し,被害少年の心理等に関する知識やカウンセリング技術を習得・向上させるため,臨床心理士,精神科医等の部外講師を招いた研修等を実施している。このほか,被害少年と接する警察職員に対し,被害少年対策の必要性,被害少年に接する際の留意事項等について教育訓練を実施している。

 

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