第1章 組織犯罪との闘い 

(4)第一線から見た暴力団と来日外国人との関係

 1(2)に記載した調査によれば,「近年,来日外国人(犯罪グループ)と暴力団の関係が密接になっているか」についての回答は,図1-67のとおりで,「密接になっている」,「どちらかと言えば密接になっている」という回答を合わせると,90%以上の警察官が,関係が密接になっていると回答している。

 
図1-67 近年の来日外国人(犯罪グループ)と暴力団の関係

図1-67 近年の来日外国人(犯罪グループ)と暴力団の関係
Excel形式のファイルはこちら


 また,「今後,来日外国人(犯罪グループ)と暴力団の関係は,どのようになっていくか」についての回答は,図1-68のとおりで,「連携が大いに進展する」,「連携が一定程度進展する」,「どちらかと言えば連携は進展する」という回答をあわせると,約9割の警察官が,連携が進展すると回答している。「対立関係が激化する」という回答も5.0%の警察官が回答している。
 このように,組織犯罪捜査に従事する第一線の警察官のほとんどが,暴力団と来日外国人組織の重なりを実感している。

 
図1-68 今後の暴力団と来日外国人(犯罪グループ)との関係

図1-68 今後の暴力団と来日外国人(犯罪グループ)との関係
Excel形式のファイルはこちら


 「暴力団と来日外国人(犯罪グループ)との関係が密接になっている分野」についての回答は,図1-69のとおりで,密入国,強・窃盗,薬物の不正取引が上位を占めている。

 
図1-69 暴力団と来日外国人(犯罪グループ)との関係が密接になっている分野

図1-69 暴力団と来日外国人(犯罪グループ)との関係が密接になっている分野
Excel形式のファイルはこちら


 「今後,暴力団と来日外国人(犯罪グループ)が連携を強める犯罪」についての回答についても,図1-70のとおりで,33.6%の警察官が強・窃盗と回答しており,続いて23.5%が密入国と22.1%が薬物の不正取引と回答し,この3種類の犯罪が上位を占めている。

 
図1-70 今後,暴力団と来日外国人(犯罪グループ)が連携を強める犯罪

図1-70 今後,暴力団と来日外国人(犯罪グループ)が連携を強める犯罪
Excel形式のファイルはこちら


 「暴力団と来日外国人(犯罪グループ)の上下関係」についての回答は,図1-71のとおりで,40.8%の警察官が「暴力団が来日外国人を使役している関係」,38.4%が「暴力団と来日外国人が対等の関係」と回答しており,暴力団と来日外国人の立場が対等であると感じている者も多い。さらに,15.0%が「来日外国人が暴力団を使役している関係」と感じている。

 
図1-71 暴力団と来日外国人(犯罪グループ)の上下関係

図1-71 暴力団と来日外国人(犯罪グループ)の上下関係
Excel形式のファイルはこちら


 また,「暴力団と来日外国人(犯罪グループ)の組織的な関係」についての回答は,図1-72のとおりで,51.7%が「組織同士の関係」であると回答した。逆に,「個人的な関係」と回答した警察官は5.7%であった。このように,組織犯罪捜査に従事する第一線の警察官の約半数は,暴力団と来日外国人が組織同士で連携していると感じていることがわかる。

 
図1-72 暴力団と来日外国人(犯罪グループ)の組織的な関係

図1-72 暴力団と来日外国人(犯罪グループ)の組織的な関係
Excel形式のファイルはこちら



(注)図1-69,図1-71及び図1-72は,図1-67において「密接になっている」あるいは「どちらかと言えば密接になっている」と回答した警察官に対して実施し,図1-70は,図1-68において「連携が大いに進展する」,「連携が一定程度進展する」あるいは「どちらかと言えば連携は進展する」と回答した警察官に対して実施した。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む