第1章 組織犯罪との闘い 

イ 薬物犯罪組織の取締りが困難な点

 薬物犯罪組織の取締りが困難な点(複数回答)については,「薬物の不正取引の形態が巧妙化し,犯罪の発見,立証が困難となった」と回答する警察官が67.3%と最も高い(図1-59)。巧妙化する薬物の不正取引の形態については,図1-60のとおりであり,携帯電話,インターネット等の通信手段を用いたり,警察官の職務質問等を警戒して,「薬物を所持せず,道路,公園等に隠匿して,取引を行うようになった」ことを挙げるなど,警察の取締りを逃れるため,薬物の取引方法や隠匿場所を巧妙化させていることが明らかとなっている。

 
図1-59 薬物犯罪の取締りが困難な点(複数回答)

図1-59 薬物犯罪の取締りが困難な点(複数回答)
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図1-60 巧妙化する薬物の不正取引の形態(複数回答)

図1-60 巧妙化する薬物の不正取引の形態(複数回答)
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 また,42.4%の警察官が「情報収集が困難になった」と回答しているが,その理由として,「捜査員が不足しているため,情報収集活動が十分に行えない」,「経験豊富なベテラン捜査員が減少している」ことなどから「核心情報を取れる捜査員が少なくなった」が挙げられている。「犯罪組織からの報復を恐れ,自分以外のことは話さない者が多い」,「捜査に対する警戒が強くなり,不要なことは話さなくなった」,「自供しても量刑が科され,被疑者にとって得がない」を理由に挙げる警察官も多い。

 

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